クモの巣の展覧会
昨日の雨が上がって、今朝は町中が霧につつまれましたが、子どもたちが家をでるころには霧がきえ、青空がのぞきはじめました。
子どもたちの後について学校まで歩いて行く途中、家の垣根や柵、植木にかかっている大きなクモの巣が、お日様に照らされ、レース模様がくっきりと見えて、とてもきれいでした。特に見事だったのが、歩道橋から学校へ向かう道路の上の、電線と電線の間に、数え切れないほど並ぶクモの巣。それぞれが思い思いの形をして、学校までつらなっていました。まるで、クモの巣の展覧会を観るようで、思わず子どもたちと足を止め、見入ってしまいました。
子どもたちはそれぞれ感嘆の声をあげ、いつもはちょっと怖い分団長さんが、低学年の子に「ほら」と指差して教えてあげたりしています。「夜のうちにこんなに張ったのかなあ。それとも、いつも、張っていたのに気がつかなかっただけかなあ」といっている子もいて、わたしも、うんうんとうなづきました。
クモの巣は、この季節にとくに目立つような気がします。冬眠のため、子作りのために栄養を蓄えているんじゃないかと、勝手に解釈しているのですが……。
クモの本といえば、今年の夏、『くものニイド』(いとうひろし作 ポプラ社)が出ました。
クモの巣作り名人、くものニイドのつくる巣は、カブトムシといった大きな昆虫だけでなく、ジェット機や空飛ぶ円盤だって捕まえることができるほど。でも、そのニイドの巣にゴミを放り込んでいく不届き者がいる。風だ。そこでニイドは……。
夢がぐんぐん広がるお話です。でも、季節が夏なのが残念でなりません。わたしにとって、クモは秋なのです。
わたしが、クモの巣が秋に目立つと気づいたのは、『シャーロットのおくりもの』(E.B.ホワイト作 さくまゆみこ訳 あすなろ書房)を読んでから、クモの巣を注意して見るようになったからかもしれません。この物語でシャーロットが美しいクモの巣を張るのは、夏だったでしょうか?(手元に本がないので確認できませんが)
昨年は、今森光彦さんの写真絵本『クモ(やあ!出会えたね)』(アリス館)に、魅せられました。クモの巣を実際に作らせるところがあって、わたしもやってみたいと思ったものです。でも、息子は意外とクールで、この絵本にあまり興味を示してくれませんで(反抗期なのか、ほんとうに興味がないのか)。
その頃、わたしはダイニングの電灯にクモを飼って(つまり張っていたクモの巣をそのままにしていた)観察していました。不注意で何度かクモの巣を破ってしまったのですが、早朝、クモは修繕するとわかったり、なかなか面白かったです。
クモの絵本といえば、もうひとつル=グウィンの絵本『いちばん美しいクモの巣』(みすず書房)を思い出します。こちらは、すっかり内容を忘れてしまっています。今一度読み返してみたいです。