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2020年6月

2020年6月 2日 (火)

課題図書を読む『ねこと王さま』

 おはなし会がすべて中止になり、図書館も閉鎖になり、更新が3か月滞っていましたが、課題図書で再開です。まだ、おはなし会は図書館も学校関係もおやすみですが、図書館の貸し出しがはじまり、公立小学校が分散登校ながらはじまり、少しずつ始動しはじめました。
 まずは、楽しい作品から。
 
 ジャクリーン・ウィルソンの本のイラストでおなじみのニック・シャラットが、文・絵ともにてがけた作品。読み物の体裁だが、まるで絵本のように、絵と文章が一体となっていて、楽しみながら読み進められるようになっている。それほど難しい内容ではないので、低学年向けでもいいのではと思う。

 イギリスが舞台な
ので、二階建てバスやショートブレッドなどイギリスの雰囲気が漂っている。読み手の子どもたちは異文化をどう感じるだろう。自然にうけてめるか、なじめないか、好奇心をいだくか、知りたいと思う。


ねこと王さま (児童書)
 ニック・シャラット作・絵
 市田泉訳
 徳間書店

   


 王さまは友だちのねことお城に住み、王さまのしごとを上手にしていたのだが、ある日、火を噴くドラゴンがやってきて、お城を燃やしてしまった。しかたなく、ねこと王さまは、二軒長屋の片方、「おしろ横町三十七番地」に引っ越す。

 ねこと王さまの設定とふたりの関係がおもしろい。
 ねこは猫だから人間の言葉は話せないのだが、それ以外は、きれいな字が書けることをはじめパーフェクトにできる。とくに優れているのは、王さまを思いやる気持ちだ。
 一方王さまは、たとえ小さな家に住もうが、どこまでも王さま然としている。まるで小さな子のように純粋で、心に汚れがない。さらに王さまがかわいいのは、さびしいとき、惨めなとき、かんしゃくを起こしたり、だだをこねたりせず、しょんぼりすること。
 その王さまの気持ちを、ねこは察して、新しい暮らしのなかで工夫して、王さまの願いをかなえようてする。実は、お城にいたときも、王さまを楽しませるために、ねこが奮闘していたことが、読者には、次第にわかってくるのだが、無邪気な王さまは、そのときまったく気づいていない。それでも、ねこは、王さまが幸せな顔をするのが、なにより幸せなのだ。

 王さまはお城を出てからは、必要に応じて、あるいはねこを手伝って、少しずつ家事ができるようになっていく。それとともに、王さまの心も広がっていくように見える。それは、まるで、子どもが育っていく過程に似ている。
 ねこは、なにもできない王さまをそのまま、まるごと受け止めて、あれこれいわず(もともとねこは話せないが)、いっしょに行動することで自然に生きる力を教えていく。子を伸ばす親のお手本に見えてくる。

 でも、ねこと王さまは、あくまでも友だち。互いを互いのままに認めて、思いやりあう。友達とか親子とか師弟とか、身分や人種(動物種?)。どの関係においても、それが大切なんじゃないだろうか?

*第66回青少年読書感想文全国コンクール 小さい学校中学年の部 課題図書。
 

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