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課題図書を読む『ルラルさんのだいくしごと』

ルラルさんのにわ (いとうひろしの本)』からはじまったルラルさんシリーズ。1巻で、心が狭くケチだったルラルさんは、すっかり心の広いやさしいおじさんになって、庭のみんな(ネコ、サル、ブタ、ワニなどの動物たち)と、いろいろなことをしてきた。ルラルさんシリーズのお話は、どれも、ほわっとあたたかいもので、心を包んでくれて、大好きだけれど、まさか、8作目にして、課題図書となるとは思わなかった!!

ルラルさんのだいくしごと (いとうひろしの本)
 いとうひろし作
 ポプラ社

     

 ルラルさんは、大工仕事がとても上手。ある日、雨もりを直そうと、梯子をつかって屋根へ。瓦のひびをうめて、もう大丈夫。さあ、屋根をおりようとしたけれど、梯子がない! 梯子が地面にたおれてしまったのだ。梯子をたてかけてもらおうと、庭のみんなに声をかける。みんな来てくれたけれど、梯子が、きしゃごっこするのに、ぴったりだったものだから……。

 動物たちが梯子の電車で庭からでていったものだから、ルラルさんは屋根のうえで呆然となる。でも、ここで、かっかと怒りだしたり、なんとかして降りようと奮闘したりはしないのが、ルラルさんだ。屋根からおりて、やりたいことがあるけれど、ま、しかたないと、さっさと、あきらめて寝ころべば、思いがけず、こんなことが起きなければ得られない素敵な時間となる。
 ルラルさんみたいに、不測の事態に無駄に抵抗せず、さっと心の切り替え、あるがままを受けとめて楽しめたら、どんなに心が穏やかだろう。自分の意志に固執せずに、物事の流れにのって、その景色を堪能する。ああ、ルラルさんを見ていると、気がほっとぬけて楽になるな、ルラルさんみたいに生きたいなと素直に思える。現実的な考えれば、屋根の上にずっといたら、熱中症になるんじゃないかと、気になるが……。

 白を背景にした明るく淡い色調の絵は、ルラルさんシリーズのほんわかした世界観を生み出している。シンプルな線で描かれているが、ルラルさんと動物たちの表情が、生き生きと伝わってくる。動物たちはいつもにこにこして、楽しくてしょうがないという様子だし、ルラルさんは様々な表情を見せている。目や口の線が表情をつくるだけではない。ルラルさんの呆然とした様子は、小さな立ち姿と、禿げ頭の後ろ姿が十二分に表している。私たち読む者は、ルラルさんワールドにすっぽりはいりこみ、いつのまにか庭のみんなの中のひとりになってしまう。
 あくせくしていたら、心が疲れたら、いつでももどってきたい世界だ。

 小さな子どもたちは、どうだろう。こんな世界にいてほしいなあ。

*第64回青少年読書感想文全国コンクール 小学校低学年の部 課題図書

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