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課題図書を読む『最後のオオカミ』

 課題図書に選ばれない年が珍しいんじゃないかと思えるぐらい、よく選ばれているマイケル・モーパーゴ。歴史が絡む作品が多いせいでしょうか? 本作は、ロンドンの国立美術館テート・ブリテン付きの作家である(このことを、私は、この本のあとがきで初めて知りました)彼が、美術館の絵の1点にまつわる物語をと頼まれて書いた作品だそうです。

最後のオオカミ (文研ブックランド)
 マイケル・モーパーゴ作
 はら るい訳
 文研出版

     

 肺炎をこじらせ、家で安静治療をしているマイケル・マクロードは、孫娘から教わりながら、パソコンで自分の家のルーツ調査を始める。
 スコットランド人である父方の家系をさぐるうち、アメリカに住む女性マリアンからメールが届く。マイケルとマリアンは遠縁のいとこで、ふたりの祖先は、1700年代、スコットランド北部インバネス州にいたロビー・マクロードだろうというのだ。さらに彼女は、祖先ロビーの遺言書をみつけてスキャンしたから、送信してくれるという。送られた遺言書には、ロビーの驚くべき一生が物語られていた。

 ロビーは幼くして父母を失い、インバネス州の叔父に引き取られる。だが、ひどい扱いをうけ12歳のとき逃げ出し、物乞いや盗みで飢えをしのいだ。ある日、子どものいない親切な夫婦に引き取られ、実子のようにかわいがってもらう。3年の幸せな時を過ぎたあと、チャールズ王子ひきうるスコットランド軍が、イングランドめざして挙兵した。ロビーと養父は、養母の反対を押し切って入隊。カロデン・ムアでの戦いで養父は銃に撃たれて死亡する。ロビーは家に逃げ帰ったが、養母もイギリス軍に殺されていた。反乱軍兵士としてイギリス兵に追われる身となったロビーは、スコットランド高地へ逃げこんだ。
 逃げまどうなか、ロビーは、「スコットランド最後のオオカミ/この石の近くで射殺される/一七四六年四月二十四日」と印された石をみつける。その近くには、オオカミの子どもがいた。ロビーは、そのオオカミの子をチャーリーと名付け、ともに逃亡生活を続ける。
 ロビーは、チャーリーが大きくなってからは、猟犬に見えるように毛をかって連れて歩いた。そして、エジンバラに出て、仕事をみつける。だがイギリス兵も大勢いたので、目立たないように気をつけた。
 ある夜、港を散歩しているロビーとチャーリーに、アメリカへ渡らないかと、ペリカン号の船長が話しかけてきた。船長はロビーがイギリス兵に追われていること、チャーリーが実はオオカミであることを、はっきりと口にしないが見抜いていた。ロビーは船長に身をゆだねることにする――。

 かなり大きな文字でたった約80ページの遺言の手記に、ロビーの波乱万丈な人生がおさまっている。そのため、物語の展開がものすごく速い。出来事だけを追ってどんどん読み進める。
 イギリス兵を逃れて多くのスコットランド人がアメリカへ逃げた歴史、オオカミの子の成長とロビーとの気持ちの交流、新天地での自由、ルーツ探し……短いページに、ぎっしり詰め込まれているが、そのすべてが、ざっくりしている。読者によって興味を持つ対象は違うだろうが、興味のその先のへと進む入口となる作品となるかもしれない。
 ただ、やはり、ダイジェスト版のような読後感で、もっとみっちり書かれた物語で読みたかったと思ってしまう。日本の小学生たちは、おそらく歴史的背景になじみのないだろうが、この作品をどう読むだろうか?

*第64回青少年読書感想文全国コンクール 小学校中学年の部 課題図書

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