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課題図書を読む『レイナが島にやってきた!』

 今年も、課題図書を読む季節がやってきました。子どもたちが読み始める前に、読破目指して頑張ります!! 今回は3冊すでに読んだことがあり、どれも良い作品だったので、再読したいです。

レイナが島にやってきた!
 長崎夏海作
 いちかわなつこ絵
 理論社

     

 作者が現在住んでいる沖永良部島がおそらく舞台。
 優愛(ゆうあ)の通う島の学校は全校36名。友愛は3、4年生の複式学級にいる。4年生は3人で女子は優愛だけ。ところが、2学期の始業式に女子が転校してくることになり、優愛は初めて同じ学年の女友だちができそうでとても嬉しかった。でも、転校生は初日から遅刻。教室に入らずに、禁止されている学校のガジュマルの木にのぼっていた。
 転校生の名は麗奈。麗奈は、ものすごい早口で、機関銃のように自己紹介し、麗奈は字が難しいのでレイナにすること、神奈川県の児童養護施設から養子になってこの島にきたこと、美しい島に来られて嬉しいことなどを話した。そして、遅刻した理由は、「よんどころのない事情」だという。
「よんどころない」といった聞きなれない言葉を使い、感性豊かに島の自然を感じとり、生き生きとしゃべるレイナは、クラスの子たちをすっかり魅了した。その一方で、レイナは、時に自由気ままで予測がつかず、掃除をせずに家に帰ったりもする。優愛はレイナと心を通わせたいが、レイナと親しく話せなかった。
 そんなある日、レイナが3年生の子をつきとばして泣かせ、謝りもせず早退し、次の日から学校に来なくなった。島から出て行くのではと心配した優愛が、家に行ってみると、レイナは本当に病気だったらしい。でも、もう回復したから、家の仕事をしなければならない、そういうケイヤクでこの家に来たからと言う。レイナはケイヤク子どもなの? 優愛にはわけがわからなかった。

 島の子である優愛にとって、クラスメイトは、1年生から6年生まで、もしかしたら幼稚園から中学校までずっと変わらない。なにも言わなくてもなんとなく気持ちを分かってもらえる、家族みたいな存在だ。そんな慣れ親しんだものだけの世界に、突然、異分子のレイナが飛び込んできた。本土から来ただけでなく、養護施設出身で、個性が強い。優愛は、このレイナという新しい存在に、きらきらするものを感じて魅かれながらも、理解できず戸惑う。
 レイナは自由奔放であっけらかんと明るく見える。だが、作品の後半になって次第にわかってくるのだか、実は不安を抱えている。自分の居場所ができたのを喜び、その場所を愛し、その一方で、決して逃すまいと必死になっている。機関銃のように話すのも自己アピールかもしれない。想像力が豊かなのは、つらい現実からの逃げ場所なのかもしれない。その姿は、美しいプリンスエドワード島にやってきたおしゃべりな「赤毛のアン」とよく似ている。

 居場所があるのが当たり前の優愛と、居場所を求め、新鮮に感じるレイナ。子どもたちは、レイナという異分子を受け入れることで、世界を広げていく。レイナが島の子どもたちの世界に窓をあけたと言えるかもしれない。優愛は、いままで見慣れて気にも留めなかった島の自然を、レイナがみずみずしい言葉で語るのを聞いて、その素晴らしさに気づく。また、気持ちを理解してもらうために、言葉にすることを知る。
 レイナと同じく、島に引っ越してきて、すぐに不登校になったのが、3年生の若葉だ。すっかり出来上がっている仲間の世界に、異分子が入っていくのは、かなりのパワーがいる。島の子たちにそんなつもりはなくても、おとなしい若葉には入るすきがなくて弾き飛ばされてしまったのかもしれない。でも、レイナが来たことで、若葉も力をもらい、島の子たちにも変化があって、良い方向に向かっていきそうだ。
 引っ越し、クラス替えなど、子どもたちにも環境の変化がある。それはストレスであると同時に、自分を広げるチャンスとなる。

 さて、この作品の魅力は、南方の島の自然が、いたるところに描かれているところだ。ガジュマルの木、サトウキビ畑、空に続く海、サンゴの砂……。月桃が咲くと長い梅雨が始まり、ソテツの雄花が咲くころ梅雨が終わると知り、同じ日本でありながら、まったく違うエキゾチックな世界だと感じた。北九州より南へ行ったことがない私。一度行ってみたい。

*第64回青少年読書感想文全国コンクール 小学校中学年の部 課題図書

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