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2017年6月

I南小学校 朝の読み聞かせ 4年2組 ありがとう、エパミナンダス!

 I南小学校はボランティアの数が増え(うらやましい!)、助っ人で行く回数も減ってきた。今年度は今日が初めてで、楽しみに行ったのだが、教室で何か問題があったようす。昨年とても反応がよかった学年だったので、今回もそれを期待して、楽しいお話ばかり用意していた私は、こんな時にこんなお話でいいかしらん?でも、他に何も用意していないしと、ハラハラしながらのおはなし会になった。

プログラム
 絵本 ジローとぼく 大島妙子作 偕成社
 おはなし エパミナンダス ブライアント作

ジローとぼく』は、とても楽しくて笑いがまきおこるお話なのだが、子どもたちも(おそらく)、私もとても動揺していて、しーんとして終わってしまった。再起を願い、「犬を飼っている人る?」などと雑談をし、子どもたちとの気持ちを近づけつつ、自分の気持ちを落ち着けて「エパミナンダス」へ。初め、沈んだ顔で聞いていた子どもたちだが、次第に、おもしろがって笑顔になる子がひとり、ふたりと増え、とうとう小犬が現れるころから、笑いが巻き起こり、ついに他で語った時と同じような反応になった。心からよかったと思った。どうか、このお話で、朝のいやーな気分が、子どもたちの心から吹き飛んでくれましたように。ありがとう、エパミナンダス!

     

南K小学校 春の図書館祭 お昼休みのおはなし会 高学年向け

 先週の低学年に引き続いて、今日は高学年向け。学年を分けたところで実際には全学年が来ているのだけれど、私たちは高学年対象の絵本というつもりで選んでくる。

プログラム
 絵本 かようびのよる デヴィッド・ウィーズナー作 当麻ゆか訳 徳間書店
 絵本 多摩川のおさかなポスト 山崎充哲文 小島祥子絵 星の環会
 絵本 つみきのいえ 平田研也分  加藤久仁生絵 白泉社 (

 今日は前回よりも子どもたちがお利口で、委員さんの挨拶からちゃんと静かにすわっていた。私は最初の『かようびのよる』を読んだというか、見せた。最後のおちで「ええーっ!」。すぐにバトンタッチして『多摩川のおさかなポスト』へ。今、話題になっている外来種のお魚のお話。前の方の子はとくに魚の名前を読み手に何座も聞いたりして、よく聞いていた。最後は『つみきのいえ』。ちょっと絵が小さいので、心配したのだが、言葉でお話はつかめるので、静かに聞いていたようだ。今日は、2冊目と3冊目の間に数人が帰っていったが、あとは落ち着いている。先生の指導があったのかなあ。子どもたちはどういう思いで聞いているのかなあ。

      

課題図書を読む『干したから…』

 表紙はカラフルなドライフルーツ、後表紙は茶系配色の魚や穀物の写真。みんな干した食べ物だ。干した食べ物がこんなに多いことに改めて気づいた。

干したから… (ふしぎびっくり写真えほん)
 森枝卓士写真・文
 フレーベル館

     

 中表紙のタイトルの下には、オレンジがかった茶色をした楕円の乾物の写真があって、「さて、問題です。これ、なーんだ?」。ページをめくると、左ページに真っ二つにした、瑞々しい細長いトマト、右ページでは、干されてしわしわなっていく様子が紹介されている。ドライトマトは日本の家庭ではあまりなじみではないから、その変化に目を見張る小さな読者もいるのではないだろうか。

 かつおぶし、するめ、切り干し大根、のり、干しブドウ……。私たちは、すでに干されて袋入りになったものを買ってくるから、干すという過程を、普段意識しないが、考えれば、日本ではたくさんの干した食べ物がある。
 では、干すとどうなるのか? そのままでも食べられるのに、わざわざ干すのはなぜか? 世界では他にどんな干した食べ物があるか? この絵本がたくさんの写真を使って、きちんと言葉にして、わかりやすく教えてくれる。そこには驚きの発見がいくつもある。
 まず、イカと大根。干す前と後の姿を写真で並べて見てみよう。こんなに姿が違う。大根は、同じ重さでこんなにかさが違う! 普段、調理し、食べているものなのに、その差は本当に驚きだった。ページをめくるとミカン。ミカンを使って、干すことで変わるのはなにか、なぜ干すのかを、絵と言葉でしっかり説明してくれる。ミカンだからこそ、とてもわかりやすい。

 世界各地の乾物も多数紹介されている。魚や唐辛子は日本にもあるが、その国ならではのものもたくさんある。ネズミの干物には、ぎょっとしないではいられない。でも、それ以上に、はっとさせられたのは、米、パスタも、干した保存食だということ。日常当たり前に食べているからだろうか? 米やパスタが保存食と考えたこともなかった。さらに、米などの干した穀物が主食になった所以にも、気づかされ、なるほどと納得した。
 干した食べ物には、栄養素がギュッと凝縮されているのと同じように、食べて生きるための祖先からの叡智が凝縮されているのだ。

 巻末には、自分で干す方法が載っている。100円ショップの品物を使って干せることが付記されているから、これはもう、自分でやってみるしかない。
 さらにあとがきで、干すとはまた違う、一風変わった保存方法も紹介されていて、これまたなるほどと感心した。

 干物なんて地味なものに驚きの発見があって、世界に視野が広がっていく。課題図書にふさわしい作品。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 小学校中学年の部 課題図書

南K小学校 春の図書館祭 お昼休みのおはなし会 低学年向け スタンプ目当て

 今年の図書館祭は、お話会にくるとひとつスタンプがもらえるようで、おそろしく大勢の子どもたちが来てくれた。それはいいのだが、ほとんどの子のお目当てはスタンプ。わいわいと騒いで、なかなか座らない。図書委員さんたちが一生懸命声をかけているのだが……。ようやく始まって、私が読み終わると、何人も席をたって出ていこうとした。うんうん、騒ぐなら出て行って!と思っていたら、先生が「まだあるから、だめ!」と制した。そこで、また戻ってきてしまった。
 次のは静かに読みたい絵本なのに……もうっ!と思ってしまう。それでも前列にいた子たちはきっとお話が好きなのだろう。喧騒などものともせずにじっと聞いていた。
 先生と相談して、次からは、1つだけ聞いたら、次の絵本が始まる前に出ていっていいとしてもらうことになった。

読んだのは、
 絵本 ノボルくんとフラミンゴのつえ (絵本・こどものひろば) 昼田弥子文 高畠純絵 童心社 *
 絵本 あかりの花 (日本傑作絵本シリーズ) 肖 甘牛採話 君島久子再話  赤羽末吉画 福音館書店

   

6月のひよこちゃん 『いないいないばあ』はやっぱりすごい

前回、2歳さんばかりで慌てたけれど、今日は5~9か月の乳児ばかり。ほんとうに予測がつかない。

プログラム
 わらべうた くまさんくまさん *
       お茶を飲みに来てください *
 絵本 かさちゃんです。 (たのしいいちにち) とよたかずひこ作 童心社
 絵本  みゃーんみゃーん 村松カツ作 こどものとも0.1.2. 2016.06号 福音館書店
 わらべうた じーじーばー *
 絵本 いないいないばあ (松谷みよ子 あかちゃんの本) 松谷みよ子文 瀬川康男絵 童心社 *
 わらべうた こーりゃーどーこのじーぞーさん *
       こまんかなみ *
 絵本 かさ さしてあげるね (0.1.2.えほん) はせがわせつこ文 にしまきかやこ絵 福音館書店 *
 紙芝居 ワンワンワン とよたかずひこ作 童心社
 紙芝居 いろいろ めしあがれ! (0・1・2かみしばい にっこり げんき うれしいな) マリマリマーチ作 教育画劇

 どの子もママのおひざに入ってご機嫌で、ときどき声をあげながら、楽しく聞いてくれた。『いないいないばあ (松谷みよ子 あかちゃんの本)』では、ページをめくると、6か月さんが手足をばたばたさせて大喜び。やはりこの絵本の威力はすごいと思う。あとから読み手3人で話して、「ページをめくると動物が左ページから右ページに変わるので、動物が飛んでいるように見えるのではないか」と分析した。『かさ さしてあげるね (0.1.2.えほん)』も、擬音にひかれてか、誰かが、ときどき嬉しそうに笑ってくる。
『ワンワンワン』は、ママたちがとても喜んでくれた。紙芝居とともに子どもの口をさわったり、ほっぺをつついたり、スキンシップのできる紙芝居だ。『いろいろ めしあがれ! (0・1・2かみしばい にっこり げんき うれしいな)』の方は、まだ乳児さんたちには早かったけれど、9か月の子が指をさして反応していた。さすが!
 赤ちゃんもママも穏やかで、楽しい時間をすごせた。ありがとう。

   

朝の読み聞かせ 6年1組 アイルランドの妖精ばなし

 梅雨入り後晴天が続いてい、やっと雨が、それも大雨が降った昨日のおはなし会。身支度なんかに時間がかかって、いつもよりおそめに学校に着いた上に、学校内で迷ってしまい(6年生はあまり行かないんで……(^_^;))、ぎりぎりに教室へ。でも、なにかクラス内で問題があったらしく、先生が廊下で数名の子と話をしていて、ちょうどよかったようです。(ほんとかな?)

 短い絵本も持っていたけれど、時間が足りないと思ったのでお話をひとつ。

お話を知らなかった若者 アイルランドの昔話

 パティという若者が、古い家に泊まらせてもらうと、棺桶をひきずった3人の男が現れ、棺桶を墓場に運ぶのを手伝わされて、穴をほらされ……という、恐ろしげなお話。子どもたちは気味わるそうにじーっと聞いていた。最後に種明かしがされるが、アイルランドの文化になじんでいない子どもたちがどのくらい分ってくれたかは不安だ。
 アイルランドに興味を持ってもらえるように、アイルランドの他の本を合わせて紹介できるといいかなあ。それには私自身がもっとよく知っていないと……これからの課題だ。

      

課題図書を読む『ストロベリーライフ』

 作者は直木賞作家。主人公は36歳。「えっ? 課題図書?」と思ったのだが、未来に向ける明るい展望に、高校生に読んでもらいたいと思った。

ストロベリーライフ
 荻原浩作
 毎日新聞出版社

     ;

 恵介は、東京に出てグラフィックデザイナーとなり、妻子を持って、2年前に独立したが、最近仕事は途絶え、行き詰まっていた。そこへ、静岡で農業を営む実家の父が倒れたと連絡が入る。帰郷すると、父親は脳梗塞で、一命はとりとめたものの先が見えない状態だった。
 しばらくは3人の姉と恵介、母親で順番に父親に付き添うことになった。だが問題は両親二人だけでやっていた農業だ。今は、ハウスで育てている苺の出荷の真っ最中。母親ひとりにまかせこともできず、恵介は手伝い始めるが、苺栽培はまったくのド素人。妻の美月はいい顔をせず、5歳の息子と帰ってしまった。
 恵介はグラフィックデザンの仕事をあきらめるつもりはなかった。けれども、苺が育っているかぎりはやめるわけにはいかない。今シーズンだけ頑張ろうと、恵介は、東京と静岡を行き来しながら、父親の農業日誌やガイドブック、母親の言葉足らずの説明、友人の苺農家の教えをたよりに、試行錯誤して奮闘する。そして、いつのまにか、東京へ帰るまを惜しんで苺栽培やほかの農作業をするようになり……。

 やむをえず農業をおろおろと手伝っていた恵介が、心を決めてある計画に向けてつき進んでいく。それとともに、家族が、大きな単位でも小さな単位でも再構成がなされていく。農業の現状と新しい形のひとつを示す物語であり、家族の物語と言えるだろう。
 恵介が抜群の行動力を見せる後半は、爽快で非常におもしろい。冷静に考えれば、農業経験2年目でそんなに思い通りにいくはずないだろうが、読んでいる間はみじんも疑問を感じない。恵介を応援して、夢中で一気に読んだ。
 それというのも、事細かく丁寧に描かれた前半がリアリティに満ち、後半の展開に説得力を持たせているからだろう。物語はほとんど恵介の視線からだが、ときおり妻美月の視線が挟み込まれ、特に人物がありありと見えるように描かれている。恵介にも美月にも共感できるところがたくさんある。たとえば、私がまず共感したのは、恵介がいつからか帰郷して東京へ帰るとき、「脱出」の気分を感じて、一抹の安堵を感じるようになったと考えるところだ。私もいまだにそうだ。
 父親が倒れるという突然の変化に、恵介夫妻や姉妹の家族が心配しながらも、先を案じて戸惑い、いざこざがおきる様子は、実際によくある家族の姿だろう。母親は、夫のやりかけた仕事を続けようと、もくもくと頑張る。働き者でいかにも農家の主婦らしい。でも私は思う。夫が倒れたのはたいへんだった。でも、子どもたちが集まってきて、母親は嬉しかったんじゃないだろうか。、また、農作業をするなかで、いままで頑固としか感じていなかった父親の心情を、恵介が次第に理解していくのが、心に触れてあたたかい。
 農作業についても事細かに描かれている。農薬についてや苺の収穫や出荷について、葉かきや芽かきといった作業……。私は家庭菜園ぐらいの知識がないが、とても興味が持てた。苺栽培について、いっぱしの知恵がついた気がしている。
 また、静岡が舞台のこの物語では、富士山がうまく使われている。富士山のふもとに暮らすものにとっては富士山は当たり前の存在で、恵介にとっては大きくそびえる姿は鬱陶しい、でも消えてほしいと思ったことはにないと初め書かれていたのが、私には新鮮だった。その富士山への恵介の気持ちは、恵介の心の変化とともに変わっていき、恵介は文字通り富士山を使う。
 他にも恵介の姉たちの家族の問題が挟まっていたり、農地の相続についての説明があったり、おいしそうな野菜料理のしかたがあったり、作品のなかに、なまの人間がいて、現実的な生活があって、私は最初から最後まで物語にはいりこんで読むことができた。ぜひ、読んで欲しい。思い通りにいかない現実のなかで、生きる元気をもらえる。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 高校の部 課題図書

2017.06.22加筆

H小学校 朝の読み聞かせ 1年2組 子どもたちにわかりにくいところ

 今年の梅雨はどこへいった? 今日もこの地域はさわやかだ。1年生の教室の前にいくと、男の子がひとり出てきて、「ああーっ、この人知っている!」という。どうやらD保育園に行っていた子らしい。この小学校でD保育園に行っていた子は、おそらく年に1人か2人いるかいないかぐらいなので、自分だけ知っているのがとても嬉しそうだった。

プログラム
 絵本 ながいいぬのかいかた (矢玉四郎のあいうえほん) 矢玉四郎作 ポプラ社
 おはなし ひなどりとネコ ミャンマーの昔話
 絵本 まるさんかくぞう 及川賢治・竹内繭子作 文渓堂

ながいいぬのかいかた (矢玉四郎のあいうえほん)』は、最初と最後、長い犬は犬小屋に入っている。そっくりの絵、場面なのだが、最初は「なんでながいの犬なの?」と思い、終わりは「どうやって入っているの?」と思う。そんな、絵本の中での心の旅がおもしろいと思う。
「ひなどりとネコ」は、とてもよく聞いてくれた。この子たちも、前に語った園と同じように、くしゃみが繰り返されるくだりを笑って楽しんでいる。くしゃみの音でネコが逃げて行ってしまうと、ひとりの子が「どういうこと?」と声を出した。そのあとの、「雷が落ちたとでもおもったにちがいあません」という文章がその答えになったならいいのだが……。このあたり、聞き手が大人だとさっとわかるのだが、小さな子だと理解を超えてしまうらしい。できるだけゆっくり語っているが、なにかいい方法はないかと思う。
 最後は少し時間が余ったので、『まるさんかくぞう』をみんなで声を出して言ってもらった。「しかく」を正確に「ながしかく」という子もいた。「しかく」に合わせて呼んでもらったが、そのまま「ながしかく」でもおもしろかったかもしれない。
 おはなし会のあと、他のボランティアのみなさんと交流会があった。わたしよりおそらく一回り以上若い方々が、自分の読んだ絵本をしっかり紹介してくださっている姿を見て、素敵だなと思った。読み聞かせはいろいろな人との出会いも楽しい。

      

課題図書を読む『フラダン』

 表紙で6人の男女の若者が、お日さまのように明るく笑いかけてくる。タイトルから見て、フラダンスのお話のようだ。男性のフラダンスってあるの? などと思いながら読み始めた

フラダン (Sunnyside Books)
 古内一絵作
 小峰書店

     

 主人公の穰は、高2になって水泳部をやめた。同学年でそりの合わない松下が次期主将になるからだ。松下は、穣に勝手にライバル心を燃やし、弱いものに強く、強いものにへつらう。そんなやつと部活をやる気はない。とはいうものの、穣は放課後、暇を持て余す。そんな穰の前に、フラ愛好会アーヌエヌエ・オハナの会長、詩織が突然現れ、強引に入会を勧める。しかも穣の「体が目当てだ」とまで言って迫ってくる。穣はことわり続けるが、同じころ転校生がやってきて、彼と一緒に無理矢理入会させられてしまう。
 転校生は、宙彦(おきひこ)といい、前はシンガポールのインタースクールにいた。抜群に素晴らしい容姿に恵まれ、帰国子女のせいか、何をやるのもスマートだ。女の子たちにもモテモテで、すべての子に平等に愛想をふりまく。
 フラダン愛好会の会員は2年女子が詩織と副会長の基子、穣と同じクラスのマヤ。1年女子が4人。そして、1年男子は、柔道部兼任の夏目と色白でもやしのような薄葉の2人だった。
 初めは、女のやる腰ふりダンスなんか、ちゃらくて、とてもやっていられないと思った穣だが、やり始めてみると、意外に身体能力が必要で、きついとわかる。フラダンスやタヒチアンダンスの歴史を読んでその深さを知り、会員たちの真剣さに打たれる。練習を重ね、慰問訪問へいくうち、次第にフラダンスにのめりこんでいく。
 詩織たちの目標はフラガールズ甲子園の男女混合フラでの優勝だった。
 入会者がさらに増え優勝まっしぐらのはずだったが、あることで詩織がショックを受けて落ち込み、会員の間にも亀裂が入り……。

 こうあらすじを書くと、友情と恋愛をからめた高校生の熱血部活物語と思われるだろう。確かにそうなのだが、実は、ずしんと重いテーマを抱え込んでいる。舞台が福島県立工業高校といえば分るだろう。転校生の宙彦以外は、みな小学生(穣は6年生)だった時、震災に遭っているのだ。だが彼らを「被災者」とひとからげにしてはいけない。それぞれ事情が異なる。被害のほとんどなかったもの、家族をなくしたもの、家をなくしたもの、家はあるのに帰還困難区域のため帰れないもの、原発の関係者家族……。被災者の苦しみは、いろいろな感情や思いが複雑にからみあい、被害者同士でも計りかねている。だから、互いに口にすることを避けてしまう。思春期で、ただでさえ他者を意識し始めるころに、常識を覆す不条理な体験をし、極端な差が生まれ、その混沌から抜け出すことができずに立ちすくんでしまう。自分では何もできない。それを主人公の穰は「閉塞感」と言っている。作品では、それぞれ事情の異なる高校生たちが、フラダンスをともにする中で、自分のことを語りはじめ、ぶちまけ、分かりあい、開放的になっていく。
 福島から遠く離れた地に住む私は、福島の子どもたちが、現在も体験している苦しみをまったく気付いていなかったので、まずその実情に驚かされ、読んでよかったと思った。

 だがこの作品のすごいのところは、このように重いテーマをしっかりと伝えながら、とんでなく楽しく読ませてくれることだ。まず、物語を、穣の心の声が高校生らしい視点と言葉で語っていくのだが、それがとても軽妙で、非常に面白い。空気を読まずに入会を迫る詩織(ストーカー女)と宙彦(シンガポール男)を「非日常コンビ」と呼び、色白をかくすために全身に濃いファンデーションを塗られたもやし男子を「瀕死のナナフシ」と比喩する。自分を慕っていると思いこんでいるマヤへの敏感な視線と、マヤの言動への穣の気持ちの微妙な揺れや、穣と宙彦の軽いノリの会話も楽しく、わたしは何度も吹き出しそうになって読んだ。その同じ口が、震災なシビアな側面を真剣に語っていくと、心にずしんと入ってくる。
 登場人物がすべて個性的で、際立っているのもいい。とくに宙彦は日本人に珍しいタイプだけに楽しい。震災を体験していない帰国子女の彼が登場人物に加わることで、風穴をあけ、希望を吹きこんだといえるかもしれない。外見がまったく違うけれど仲のよい1年生男子の夏目と薄葉のつながりには泣かされた。そして、ひときわ魅力的なのは、後半にでてくるヤンキーな浜子だ。包み隠しのないまっすぐな人だと思う。表紙裏に並んで描かれているのはこの浜子ともやしみたいな薄葉。読み終わって見て、ふふっと思う。

 クライマックスは、フラガールズ甲子園でのパフォーマンス。課題曲の歌詞と彼らの思いが重なって、全力で踊る彼らに涙が止まらなかった。愛好会の名前、アーヌエヌエ・オハナ(虹のファミリー)ができあがる瞬間を見ることができた。

 さて、エピローグのラストを手帳に書き写しておきたいと私は思う。現実社会を生きていて、ときに閉塞感に襲われるとき自分をはげますために。
 
*第63回青少年読書感想文全国コンクール 高校の部 課題図書

 面白く読めるし、考えさせられるところがたくさんあるし、読書感想文が書きやすいんじゃないかと思う。

J保育園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 はじめて語るおはなし

 前回、工事のために通行禁止で迷走してたどり着いた園。今日は工事も修了していて無事たどりついた。しかし、涼しい。5月に行ったときよりも涼しいさわやかだ。

プログラム
 おはなし 鳥のみじい 日本の昔話
 おはなし おおかみと七ひきの子やぎ グリムの昔話
 手遊び 木がのびる *
 おはなし ねずみのおむこさん 日本の昔話 *

 おはなしは2回目とあって、子どもたちも慣れたのだろうか?涼しいせいだろうか? 前回より、全体によく聞いている気がする。「おおかみと七ひきの子やぎ」では、オオカミが来て子どもたちをたべてしまうころから、子どもたちの体の動きがとまってよく聞いているのがわかった。でも、さすがに長いお話なので、終わると「はぁーっ」とため息。「木がのびる」の手遊びをしてから、「ねずみのおむこさん」を私が語った。このお話は、他に語っている人をまだ見たことないし、私も初めて子どもの前で語るのでとても心配だった。子どもたちは長い話を聞いて疲れているので、できるだけ、楽しい感じで語ることを心がけた。反応は……どうなのだろうか? 何人も体を揺らしているから、すべてを集中してきいているわけではない。でも、お日さま、雲、風、壁にネズミのおとうさんが呼びかけるところ、それに答えるセリフのところになると、子どもたちがぴっと止まって、興味をもって聞いている感じがする。そんな繰り返しだつた。もし、一番目に語ったら、また違う聞き方をしてくれたかもしれないと思ったりする。また、どこかで語りたいお話だ。

        ←「ねずみのおむこさん」の出典本

K第2幼稚園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 楽しみな年長さん

 今年度はじめての第2K幼稚園でのおはなし会。全員で70数名。この子たちがホールにバーンとならんで待っていてくれた。今日はさらりとした空気で、白い夏服がひときわ、さわやかだ。

 プログラム
 はじまりのうた ろうそくぱっ *
 おはなし ひなどりとネコ ミャンマーの昔話 *
 手遊び 木がのびる *
 おはなし ついでにペロリ デンマークの昔話
 おしまいのうた ろうそくぱっ

 初めてなので、先生からお話の説明があり、わたしから始めた。ちょっとでかけにがバタバタして焦っていた私は、思わず最初の「ろうしくぱっ」をやらずにはじめそうになったが、なんとか思い出した。
 おはなしは、すごくよく聞いていたし、反応もよかった。「ひなどりとネコ」も興味をもって聞いてくれた。ひなどりがくしゃみをしそうになると、真剣になる子がおおいなか、可笑しそうに笑う子もいた。こうした反応は小さな子では珍しい。「ついでにペロリ」も楽しそうだった。終わると、「ネコのお腹はこんなだよ」としぐさをする子がいる。
 今年の年長さん、楽しみだ。

雨の日のお昼休みのおはなし会 2回目

 朝の読み聞かせのあと、「今日はお昼休みに読み聞かせをしたいと思う」と、会員を誘ったら、ちょうど学校に用事があるのでと、現役のお母さんが一緒に読みに来てくださった。

読んだ本
 るるるるる 五味太郎作 偕成社 *
 まよなかのトイレ まるやまあやこ作 こどものとも年中向き2010.06 福音館書店
 てがみをください (ぽっぽライブラリ みるみる絵本) 山下明生文 村上勉絵 文研出版 *
 おさるとぼうしうり (世界傑作絵本シリーズ) エズフィール スロボドキーナ作 松岡享子訳 福音館書店 *

 最初来たのは、やっぱり3年生と2年生数人。『るるるるる』を読んでいると1年生がどどっと入ってきた。遊びだしそうなので、「お話を聞きたい子、静かにできる子だけだよ」といって、2列にすわらせた。1年生の担任の先生も少し見に来てくださって、子どもたちがお利口しているのを安心していかれた。『まよなかのトイレ』はとてもよく聞いていた。そのあと何人かが出でいって、またざわざわしているので「静かに聞きたい子だけだよ」ともう一度念を押すと半分くらいに。『てがみをください (ぽっぽライブラリ みるみる絵本)』を読んだ。読み終わると、「カエルの住所なんてしらないよー」との声。ここで、もう1冊聞きたい子だけ残ってね。といって10人ばかり残ったので、小さな『おさるとぼうしうり (世界傑作絵本シリーズ)』。近くへ寄ってきてしまう子が何人もいる。それでも、最後まで真剣に聞いている子がいて、とても嬉しく思う。
 次の機会がとても楽しみだ。

     

朝の読み聞かせ 3年2組 あっ! モンシロチョウ

 廊下で図書室からもどってくる大勢の子を見る。いつもと様子が違うなあと思っていると、パソコンに不具合が起きて復旧したけれど、貸し出し本のバーコード読み取りの列ができてしまったのこと。全員が戻ってくるのを待って始めた。

プログラム
 カメの笛 ブラジルの昔話
 絵本 うまれたよ! モンシロチョウ (よみきかせ いきものしゃしんえほん1) 安田守写真 小杉みのり構成・文 岩崎書店

 お話は、先月4年生で語ったのと同じお話。子どもたちは、最初からおもしろがって聞いてくれたので、こちらも語りやすかった。前回は初語りで緊張していたので、子どもたちも余計に緊張してきいたのかもしれない。
 次に『うまれたよ! モンシロチョウ (よみきかせ いきものしゃしんえほん1) 』を出すと、いちばん前の子が「あっ、モンシロチョウ!」 ふふっ。実は、3年生がモンシロチョウを幼虫から育てたと、ある3年生から聞いて、この絵本を持ってきたのだ。よく聞いてくれた。でも、残念ながら、途中でチャイムがなってしまい、後半は焦って読むことに。巻末をゆっくり見てほしかったが仕方がない。この本は『生まれたよ!~』と、10巻シリーズの1冊。肉眼ではなかなか見えないところも写真で見せてくれて、子どもたちの科学への興味を養ってくれそうだ。
 

       

Sキッズクラブ 3年生~ ストーリーテリングによるおはなし会 ちゃんと聞けばちゃんと面白い

今日は午前と午後のダブルヘッダー。

 Sキッズクラブは、1、2年と3年生以上と分けて、毎月交互におはなし会をさせてもらっている。今日は3年生以上の子で、今年度ははじめてだ。

プログラム
 カメの笛 ブラジルの昔話 *
 きつねにょうぼう 日本の昔話

 3年生以上ともなると反抗する気持ちもでてきて、ふざけたりして、なかなか静かに座っていてくれない。でも、語り始めれば、聞いてくれるものだ。
 今日もそうだった。私は「カメの笛」を語ったのだが、はじめ、知らんふりをしてリズムをとったり、ふにゃふにゃしていた子も、すぐにじっとして聞き始めた。カメがヒョウをだます面白い話なので、深刻な話にならないよう、なるべく軽い感じで語ったのだが、子どもたちはどうだったろうか。
 次の「きつねにょうぼう」も、最初からよく聞いていた。語り手ものりにのっていた。ただ歌のいいところで、放送やらチャイムが鳴ってしまったのが残念。小学校の敷地内にある施設なので、仕方ないのだが……。でも、子どもたちはあまり気にならないようでちゃんと聞いていた。
 今年度、初めてということもあるかもしれないが、やはり、ちゃんと聞けば、ちゃんと面白いのだ。

G保育園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 前と同じお話で

 2週間前、J保育園でしたのと同じお話を、語る順番を替えてのおはなし会

プログラム
 手遊び あたまはてんてんてん まどみちお詩 
 おはなし おいしいおかゆ グリムの昔話
 おはなし ねずみのすもう 日本の昔話 *
 手遊び でんでんむし
 おはなし ひなどりとネコ ミャンマーの昔話

 子どもは14人で、前の時の半分くらいでこじんまりしている。「おいしいおかゆ」はとても反応がよく、「食べるものがなくなってしまいました」でまず、驚きの声が上がり、おかゆがどんどん増えていくところでは、笑い声が上がった。これはいいな、私が語る「ねずみのすもう」も楽しみと思って語りだした。ところが、途中で、遅れて来た子がお母さんにつれられてやってきて、先生が出て行って挨拶したり、その子が入ってきたりで、そのたびに子どもたちがそちらに気を取られてしまい、なんだかあまり聞いてもらえなかった感じ。長者のこえネズミがやせネズミを投げるところで、ふふっと何人かが笑ってくれたのが救い。はらはらするお話ではないので、そのくらいの反応かなと思う。
 次の「ひなどりとネコ」は、ひなどりがネコにやるケーキを食べてしまったところで、「ええー」という声が何人か上がったので、やはり惹きつける力のある話だと思ったのだが、後半のくしゃみのところは、あまりよくわかっていないようだった。
 初めてのおはなし会。1つ目のお話でもう疲れてしまったかしれない。

課題図書を読む『ぼくたちのリアル』

 第56回(2015年)講談社児童文学新人賞をとった作品。出版されて、2017年の児童文芸新人賞・産経児童出版文化賞フジテレビ賞を受賞し、さらに課題図書に選ばれた。今を生きる作品です。

ぼくたちのリアル
 戸森しるこ作
 佐藤真紀子絵
 講談社

     

 ぼく、新学期、飛鳥井渡は5年生になって、はじめてリアル(璃在)と同じクラスになった。リアルとは家が隣同士だけれど、それほど仲がいいわけではない。というか、一緒のクラスになるのは浮かない気分。リアルがスポーツも勉強もなんでもできてカリスマ性がある人気者なのに、ぼくは地味でコンプレックスを感じるからだ。リアルは「アスカ」と、ぼくの幼稚園の時のあだ名を呼んで親しげにしてくる。転校生の美少年サジにも親切で優しい。先生には軽い友だちのような口調で話しかける。
 リアルを敬遠していたぼくだが、班がいっしょだし、分団がいっしょだし、なんだかんだと一緒に行動することが多くなる。リアルにたちまち魅了されたサジも、いつもふたりのそばにいた。
 7月になり、リアルが少しだけおかしい。そういえば毎年そうだった。それは、リアルが負っていた、ある過去の傷が関係していた。

 リアルが背負うものは、想像を超えるほど重い。その一方で物語は、クラス替え、学級委員決め、分団登校、合唱祭、林間学校といった、どこにでもある学校生活を丁寧に描いている。そのため、読者の子どもたちは、リアルの特異な過去も、自分たちのリアルな日常の延長としてリアリティを持って読むことができるだろう。

 リアルは、お調子者のように軽く振る舞いながら、実は、だれも傷つかないように考えて行動する。主人公のぼくはリアルのすごさに気づき感服する。私も、これほどまっすぐでいい子はそうそういないと不思議に思った。だが、リアルの苦しみを知った時、なぜリアルが人を傷つけるのをこれほど避けるのか分かった。リアルが罪悪感と寂しさを忘れるにはこうするしかなくて、精いっぱい気張っていたのだろう。リアルはわがままが言えないのだ。
 サジは、児童文学には新しいキャラクターだ。この作品では、転校生であることもあって、守ってあげたくなる存在だ。繊細な感性を持っていて、一見弱々しく見えるけれど、自分の気持ちに忠実に行動する。リアルと対象的かもしれない。
 主人公の渡は、リアルとサジに振り回されながらも、いつのまにか楽しい時を過ごしている。そして、幼馴染のリアルを遠ざけてきたのは、リアルが恰好よすぎるからはなくて、リアルに触れてはいけない秘密があって、それを知るのが怖かったからだと気付く。リアルの方も、気持ちに整理がついてなくて、口に出すことができなかっただろうし、渡がどこまで知っているかもわからなかった。
 渡とリアルは、互いを慮って遠ざかっていた。だがそこに一途なサジが加わることで、本当のことを話せるようになっていく。

 それにしても「ぼくたちのリアル」とは素晴らしいタイトルだ。璃在という名前のリアル、リアルに描かれている学校生活のリアル、璃在に隠されていたリアル。
 そして、私たちも自分のリアルを生きている。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 小学校高学年の部 課題図書

6月のK図書館分館おはなし会 紙芝居をなめにくる

 風がふいて、さわやかな日。4人の姫が来てくれた。1人は小学生。あと3人は年中さんぐらいだ。

プログラム
 折り紙シアター ちょうちょう
 絵本 パパと10にんのこども ベネディクト・ゲッティエール作 那須田淳訳 ひのくま出版
 紙芝居 ごきげんのわるいコックさん (とびだすせかい)まついのりこ&ひょうしぎ絵・脚本 童心社
 絵本 矢玉史郎 ながいいぬのかいかた (矢玉四郎のあいうえほん) ポプラ社
 絵本 ガストン (講談社の翻訳絵本) ケリー・ディップチオ文 クリスチャン・ロビンソン絵 木坂涼訳 講談社
 エプロンシアター かえるののどじまん

パパと10にんのこども』は、どの子も知っている~というものの、読み始めると、パパのてんやわんやを笑いながらよく聞いていた。紙芝居の『ごきげんのわるいコックさん (とびだすせかい)』は、大喜び。キャンディが現れると、小学生以外の子は、競争でなめに走ってくる。『ながいいぬのかいかた (矢玉四郎のあいうえほん)』では、長い犬をとても不思議がっていた。『ガストン (講談社の翻訳絵本)』は小学生がいるので読んでみた。小さな子たちはどこまで理解できたかなあ? 「アントワネット」という犬の名前が日本ではあまりないので、それが不思議な様子。最後まで食い入るように見ていたのは、小学生とその妹。後の二人は途中から、おしゃべりしたりしていた。つまんなくなっちゃったかな? 最後は楽しいエプロンシアター。演じ手が布でつくったマイクを子どもたちに向けて名前を尋ねると、急に緊張して小さな声で「○○です」と答えるのが可愛らしかった。

       

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