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2017年5月

課題図書を読む『すばこ』

 中高学年の読み聞かせで何度か学校で読んだけれど、低学年の課題図書となりました。

すばこ
 キム・ファン文
 イ・スンウォン絵
 ほるぷ出版

    

 巣箱は人がつくった鳥の家。でも、はじめは、なんと、鳥を捕まえるワナだったのだ! はじめに巣箱をつくったのは、ドイツのベルレプシュ男爵という、舌を噛みそうな名前の貴族で、彼は広大な領地を所有していた。その広さは日本では信じられないほどの規模だ。巻末の説名によれば、13ヘクタールの森と40ヘクタールの果樹園という。鳥が大好きな男爵は、もっと多くの鳥にきてほしいと考えて、鳥たちが安心して子育てできる家をつくってやればいいと思いついた。そして、数万本の木のある森に数千個(巻末の説明によると3000個)の巣箱をかけた。
 しばらくして、男爵の領地のある地域に害虫が大発生し、植物の葉を食べてしまい、森や林がほとんど枯れてしまう。ところが男爵の森だけは……。

 巣箱が世界中に広がった経過、巣箱の種類などをすっきりした美しい絵で教えてくれる。本文の最後は、自然に対する人間のありかたへの作者の願いで終わっている。
 巣箱は小鳥を観察するために作ったものだとばかり思っていたので、巣箱にこんな歴史、そして働きがあるなんて、驚きだった。

 私の家の庭にも、小鳥がやってくる。スズメ、メジロ、ヤマガラ……。庭木の枝でさえずったり、土をつんつんしたりする(種や虫を食べているのだろうか)姿は可愛らしく、見ているだけで心が和むから大歓迎だ。巣箱を作ってみたいなと思ったこともある。でも、イチゴがなる季節のヒヨドリだけは嫌いで追い払う。赤くなったばかりのイチゴを食べてしまうからだ。こんな風に、人間は自分勝手なものだ。
 この絵本は、そうした自分勝手な人間と自然の関係について、考えるきっかけともなるだろう。でも、巣箱について知るだけでも、十分に楽しい。この絵本から、バードウォッチングや巣箱づくりと世界を広げてもいけるだろう。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 小学校低学年の部 課題図書

課題図書を読む『月はぼくらの宇宙港』

 ロケット、宇宙開発に興味がある子にお薦め。大人が読んでも十分な読み応えがあります。

月はぼくらの宇宙港
 佐伯和人作
 新日本出版社

     

 作者は、現在大阪大学理学研究所宇宙地球科学専攻准教授。JAXAの月探査「かぐや」プロジェクトでは研究員、月探査SELENE-2で主査を務め、現在は月探査計画SLIMにもかかわっているという理学博士。このかたが、「月がどんな天体か」から始まって、人類が月を探査してきた歴史、今後の探査や開発の展望までを、小中学生向けに語る。内容はかなり専門的で濃厚なのだが、まるで、目の前にいる子どもたちに教えるように、言葉を噛み砕き、身近な現象や図で説明し、さらに家にあるものでできる実験を示して、宇宙での現象を納得させてくれる。ここまで詳しく教えてもらえるのは、宇宙に興味ある子には、たまらなく魅力的な本だろう。
 だが、宇宙にさほど興味のない私には、正直いってかなり読むのが大変だった。「地球のまわりを公転する月と月の満ち欠けの図」(p34 図1-2)を示して、著者が「『夕方に東の空から上がってくるのが満月』などとおぼえるのは苦手」だったれど、「この図をみつけて自分で描いてみたところ、ようやく月が見える時間と方角と形の関係がわかりました」と書いていたけれど、わたしは真逆。学校の教科書でこの図を見て、まったくわからず、理解するのを諦めたからだ。天動説のほうが感覚的にしっくりきてしまうのかもしれない。そんな私でも、いくつかは驚きをもって読んだ。
 そのなかのひとつは、月が(地球から見た)表側と裏側で近くのでき方、成分が違うことだ。アポロが着陸したのは、安全な月の表側の平坦な場所だったので、月の表面のでき方を調べるのにふさわしくなかったという。そして、月の裏側に世界ではじめて着陸するのはどうやら中国らしい。でも、いま日本で計画中のSLIMも、裏側にピンポイントで軟着陸に挑戦の予定とのこと。なんとも楽しみではないか。
 作者は、早くて20年後、遅くても50年後には月基地ができて、そこでエネルギーや野菜つくれるようになるといっている。本当なのだろうか? 自分の知らない世界で、調査や技術がどんどん進んでいる。あとがきが書かれた2016年9月現在から、進行形で進歩しているはずだ。だから、宇宙に興味のある子は今、ぜひ読んでほしい。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 中学校の部 課題図書

雨の日のお昼休みのおはなし会 ほんとうにお久しぶり。でも来てくれてありがとう!

 昨年度は、雨の日と学校行事と私のタイミングが合わなくて、なんと6月にたったの1回しかできなかったお昼休みのおはなし会。今年度は新たな気持ちで出直すつもりだ。

 今日は朝たくさんふったのが、小雨になり、お昼ごろはふったりやんだりの微妙な天気で迷ったのだけれど、12時に雨がぽつぽつしていたので、思い切って行くことに。学校へ電話し、給食時間に子どもたちに放送でおはなし会の連絡をしてもらうようお願いして、出かけていった。

読んだ絵本
 にょっ!: ぴっかぴかえほん キャンビンカンパニー作 小学館 
 ゴナンとかいぶつ イチンノロブ・ガンバートル文 バーサンスレン・ボロルマー絵 津田紀子訳 偕成社
 ミミズのふしぎ (ふしぎいっぱい写真絵本 (3)) ポプラ社 皆越ようせい作 
 へろへろおじさん (こどものとも絵本) 佐々木マキ作 福音館書店

 

 昨年ほとんどなしだったのだから、果たして子どもたちが放送の呼びかけだけで来てくれるか、とても不安だった。でも、まず、3年生の子たちが来てくれた。そして、2年生。最後に1年生がひとり。とても嬉しかった。
 
にょっ!: ぴっかぴかえほん』は初めに来た3年生と読んだ。子どもたちはあまりに意外なものが海の中に隠れていることに納得がいかないながらも、いろいろ想像していた。人数がまとまってきたので『ゴナンとかいぶつ』へ。はじめ「ゴナン」を「コナン」とふざけて聞いていた子たちも、マンガス退治に難関を突破していくところから、しっかり聞き始めた。マンガスとの闘いでマンガスがれ性になると声をたてて喜んでいる。やはり、昔ばなしの力は強いと思う。終わりの辺で、戸の外から「おーい、外で遊べるよ」とさそう声。雨が上がったのだろう。数人が声に誘われて出て行ったが、「最後まで聞く」という子もいて、半分くらいが残ってくれた。
 2冊目が終わって、外へ遊びに行く?と聞くと、「もっと読んで」との声。なんて嬉しいこと。1年生の希望で『ミミズのふしぎ (ふしぎいっぱい写真絵本 (3)) ポプラ社』を。女の子は「キモー」と言いながら、それでも聞いている。途中で「ミミズのふんはえいようになる」と、子どもたちからいいだし、ラストに同じ言葉があるのを喜んだ。最後は『へろへろおじさん (こどものとも絵本)』。「ふこうなおじさんだねえ」と同情しながら聞いていた。続く不運をもっとおもしろがると思っていたので意外な反応だった。ラストの落ちでは「また、同じことがおきちゃったら……」と先を予想していた。
 次はいつできるかわからないけど、魅力ある絵本をいつも用意しておこう。

   

5月のひよこちゃん やっぱりママがいちばん

 朝からあいにくの雨(昨日までからから天気だったから、恵みの雨?)。はじめ図書館に子どもたの姿はなかったけれど、はじまりの時間になると2組の親子が来てくれた。ふたりとも女の子の2歳さんだ。先月赤ちゃんが多かったので、それを想定して準備していたわたしは、慌ててしまった。やはり年齢幅を考えておかないといけないなあ。

プログラム
 わらべうた くまさんくまさん *
       お茶を飲みに来てください *
 絵本 かえるさんくわっくわっ 廣野研一作 こどものとも0.1.2. 2015.08号 福音館書店
 絵本 だいすき、ママ! (主婦の友はじめてブック―おはなしシリーズ) マーガレット・ワイルド文 スティーブン・マイケル・キング絵 さんべりつこ訳 主婦の友社
 わらべうた ももやももや
 絵本 ちびすけどっこい (わらべうたえほんシリーズ) ましませつこ絵 こばやしえみこ案 こぐま社 *
 わらべうた ちびすけどっこい *
 絵本 おーい はーい (はじめてえほん) 和歌山静子作 アリス館 *
 紙芝居 どろんこおばけ (あかちゃんかみしばいよちよちはーい!) ころかわさえこ作 童心社
 紙芝居 はい、タッチ (2011年度定期刊行紙しばい 年少向け おひさまこんにちは) とよたかずひこ作 童心社
 わらべうた さうならあんころもち

 一人は常連さんで、もう一人はたまたまいらした初めての子。その場になれないようで、固くなって、きりっと座っていた。その子を見て、常連さんの方もきりりっ。なんだかとても可愛らしかった。そんなわけで、なんとなくずっと緊張気味だったのだが、「ももやももや」をハンカチを使って、何度か遊んでいるうちに、やっと雰囲気がほどけてきた。でも『ちびすけどっこい (わらべうたえほんシリーズ)』のあと、お相撲ごっこをしようとしたら、また固まってしまった。なかなかこちらの思うようにはいかない。でも、最後の『はい、タッチ (2011年度定期刊行紙しばい 年少向け おひさまこんにちは)』で、ふたりともママとタッチをして嬉しそう。へびとへびのお顔すりすりも、まねしてやっていた。やっぱりママが一番だね。

   

      

課題図書を読む『ホイッパーウィル川の伝説』

 二人の作者が、それぞれに二つの世界を著して、うつくしいアンサンブルを奏でた作品。 

ホイッパーウィル川の伝説
 キャシー・アッペルト
 アリスン・マギー 共著
 吉井知代子訳
 あすなろ書房

     

 11歳のジュールズは7年前にママを亡くしたが、石集めに興味を持ち、1歳上の姉シルヴィとパパと幸せに暮らしていた。シルヴィはいい姉だけれど、とても足が速くて時々ジュールズをおいてけぼりにして、ジュールズを怒らせる。
 家の敷地の森に流れるホイッパーウィル川には、願い石を投げこむと、切なる願いが叶うと言われる奈落の淵があった。淵には近づいてはいけないとパパに言われていたけれど、子どもたちは石を投げに行った。足の速いシルヴィの願いは「もっと速く走れますように」。友だちのサムは、今は「ピューマに遭えますように」。少し前まで「アフガニスタンに出征した兄のエルクが無事にもどってきますように」だったが、願いがかなえられて兄が帰ってきたのだ。でも、エルクは元の楽しい兄ではなかった。一緒に出征した親友のジークは戦死してしまったからだ。
 その年最後の雪が降った春の日、シルヴィは奈落の淵にひとりで走っていき、そのまま行方不明になる。ジュールズは、姉を失ったことを受け入れられなかった。あの時、姉をどうしてひきとめられなかったのか? 後悔しジュールズの心は乱れるばかりだ。

 その頃、森で3びきの子ギツネが生まれる。その中の一匹、メスのキツネのセナは、ただのキツネではなく、ケネンだった。ケネンとは魂とつながるもので、なにかを助けるためにやってきて、使命を果たしたら祖先のいる安息の地に戻るといわれていた。森を歩き回るようになったセナは、悲しみの中にいるジュールズをみつけ、つながりを感じる。
 森には一度いなくなったといわれたピューマが戻ってきていた。そのピューマはいつも、森を歩き回るエルクのそばにいた。セナは、ピューマがエルクのケネンであると感じていた。

 ジュールズは、出征前エルクから、もしふたりが戻らなかったら、森のどこかに隠されているといわれる石の洞窟を探して、この2つの石を納めてほしいと、メノウ石を渡されていた。ジュールズは頼られて嬉しかったが、一人だけ戻ってきたエルクにその石を返せないでいた。
 姉を失くしたジュールズには、エルクの苦しみが痛いようにわかった。そして「石の洞窟をみつけたい」と、切に願うようになる。姉の事故以来、パパから森に入るのを禁じられていた。だが、とうとうある日、パパとの約束を破って、森に踏み入り、親友の死を悼むエルクと、その近くにいたヒョウを見る。そして、あのキツネ、セナと出会う。

 ジュールは石の洞窟をみつけられるだろうか? 石の洞窟に隠された秘密は? 姉のシルヴィはなぜそんなに速く走りたがったのか? キツネのセナは、どんな使命を果たすか?

 なんとも不思議な、神秘体験をしたような読後感だった。
 物語は、ジュールズの視点から描いた人間世界のストーリーと、母キツネとセナの視点から見たキツネ世界のストーリーが別々に、並行して語られていく。だから、ジュールズたちは、セナがケネンであることを知らない。けれども、私たち読者は知っていて、人間と動物との心の交流というより、もっと深いところの魂のつながりを感じる。

 身近な人の死は受け入れられがたいもの。それが、シルヴィとジュールズのママのように突然だったり、アフガニスタンで戦死したジークのように不条理なものだったり、シルヴィのように行方不明のままだったりしたらなおさらだろう。残されたものを癒すのは、時間、死者とのひそやかな語らい、死者への理解……。
 主人公が姉の死を受け入れ、前進していく過程を、ケネンの存在なしに、現実世界だけで感動的に描くこともできたと思う。というのも、姉シルヴィの思いを、ジュールズが理解していくところが、私にはいちばん胸に響いたからだ。
 現実世界に、スピリチュアルな世界を持ちこむことで、より美しく静謐な雰囲気を醸し出し、読者の心に静かに染みわたる作品となっている。

 ところで、人間を守るケネンという存在が私には、神秘的だけれど、一方で、人間を中心にした都合のよい存在に思えてならない。その違和感は、自然観の違いであり、私が、美しく切ないラストに納得できず、物足りなさを感じた所以でもあるだろう。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 中学校の部 課題図書

J保育園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 やっとたどり着いたけれど、

 今年度はじめての保育園でのおはなし会。ところが……、園へ行くための曲がり角が工事中で通行止めに。ええい仕方ないと次の角で曲がったら、道がどんとん細くなり、こみあう住宅を曲がりぬける迷路に迷い込んで、結局、ぐるりとまわって元の国道に戻ってしまった。そこで、こんどは国道をもどって、次の曲がり角からトライ。ああ、残念ながらここも、細い道がくねくね。どうしようと思ったところで、庭仕事をしているおじさんを発見。道をきいて「道が狭いけれどあんたの車(軽)なら行けるで、突き当りを左に曲がって、右に曲がって……」と教えていただき、ようやくぎりぎりにたどり着いた。今日語るメンバー3人のうち、ひとりは自転車だったので無事到着していたけれど、もう一人の車でくるメンバーがこない。と心配しているとメールが、「大変! いつものところが工事で曲がれません。少し遅れます」。やっぱり!! なんとかしてきてくれと願いつつ、時間も過ぎたので先にはじめていると、遅れていた一人が到着した。聞くと、私と同じ道に迷い込んだが、バックして戻り、工事の人に頼みこんで、通してもらったらしい。帰りは先生方に迂回路を教えてもらい難なく帰ったけれど、お話より、運転でエネルギーを使い果たしてしまった。

プログラム
 手遊び 頭に帽子 *
 おはなし ねずみのすもう 日本の昔話 *
 おはなし ひなどりとネコ ミャンマーの昔話
 手遊び 元気のいい手
 おはなし おいしいおかゆ グリムの昔話

 私は2番目に語る予定だったけれど、上に書いたように1番目の語り手が遅れたので、1番目に「ネズミのすもう」を語った。おはなしが初めてということもあったのだろう。静かに聞いていたが、今一つ反応がない。きょろきょろしている子も何人かいる。どのくらいわかって聞いているのが知りたいが、聞くわけにはいかず。でも、自分としては、イメージしながらきちんと語れたと思う。「ひなどりとネコ」は、ネコに追いかけられて隠れているあたりをよく聞いていた。このお話は初めて聞くのに良いお話だと思う。最後は、子どもたちも疲れた様子で、きょろきょろと落ち着きがない。なにしろ、先週終わりから急に暑くなったし、初めてのおはなしだったし、おはなし3つを、おりこうしてきくのは、大変だったかもしれない。実は同じプログラムで、2週間後に違う園へ行く予定。次はどうかな?

課題図書を読む『チキン!』

 今年の課題図書、読みはじめました!! まずは、市立図書館の新刊コーナーに飾ってあったこの本から。図書館では、この時期、夏休みに備えて、課題図書をそろえているのですね。
 作者いとうみくさんの作品は昨年度も『二日月 (ホップステップキッズ!)』で課題図書に選ばれています。実はまだ読んでいなくて……近いうちに読みたいな。

チキン! (文研じゅべにーる)
 いとうみく作
 こがしわかおり絵
 文研出版

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 小学6年生の日色拓は、小さなときから気弱で、苦い経験を重ねるうち、争い事を避けるようになった。その拓のクラスに、とんでもない転校生がやってきた。真中凛。ほんの少しでも曲がったことをした人を見逃さない。真正面から注意して、反省を促す。それまでクラスの女子たちは、リーダー格の仙道さんを敵に回さないように気を使ってきたが、凛はその仙道さんをもぴしゃりと注意する。凛のせいでクラスにもめごとが起き、女子の中で凛は孤立していく。
 拓はできることなら関わりたくなかったが、席が凛の前で、仙道さんの隣。その上、家が拓の住むマンションの隣。その家は、家族のように親しくしている麻子さんというおばあさんがひとり暮らしをしていたのだが、なにかの事情で凛が、しばらくいっしょに暮らすことになったらしい。麻子さんに孫をよろしくと頼まれるし……拓はいくら自分は関係ないと思っても、凛の言動を見ないでいることはできない――。

 みんな無邪気に仲良しとはいかないのが、高学年のクラス。そんなクラスの様子が、数人の登場人物でリアルに描き出されている。クラスには、目に見えない力関係が存在する。といっても、男子と女子は違う。腕力がものをいう単純な男子と、仲良しグループがあって、そのなかでも悪口や陰口があり、ちょっとした関係で力関係がひっくりかえる複雑な女子。子どもたちはそれぞれ自分の位置を見極めて、その子なりに巧く立ち回ろうと努力する。つまり空気を読んで、振る舞う。
 そうして力関係が定まり、表面的に均整とれていたクラスに、爆弾を落として、揺るがしたのが真中凛だ。
 なにしろ、凛の正義感の強さ、とがった率直さは強烈だ。転校初日、音楽室でバッハの肖像画を見て、髪の毛がマジキモーイといった子を、「相手(肖像画)がいいかえせないのに悪口いうのは許せない、謝れ」と咎める。読んでいて、さすがに、ついていけない気がした。凛は空気を読めないわけでない、読んでいても無視。なにより自分の正義感を優先して、名前通り、不正をみつけたせ真ん中に突撃していく。
 拓は、クラスから一歩離れて、トラブルにまきこまれないよう外から見ている。心やさしくて、自身も他人も傷つくが耐えられない。空気を読めば、悩んで傷つきそうだから読まない。なにより平和であることを優先する。
 自分のカプセルの中でゆったりと暮らしていた拓が、凛のせいで、さまざまなトラブルに見舞われる。凛の融通のきかない正義感を、まちがってないけれど正直うざいと思い、女子の権力闘争に巻き込まれ、女子の怖さを思い知り、毎日散々だと嘆く。このあたりの拓の不満と狼狽ぶりは、とても共感できる。だか、ユーモラスに描かれていて、拓には悪いけれど笑ってしまった。
 読み進めるうち、凛の行き過ぎた正義感や鋭どすぎる言動にわけがあること、その言動が人を傷つけるだけでなく彼女自身も傷ついていることがわかってくる。凛は、正しければ、何をどう言ってもいいわけではないことに気づいてもいく。
 凛も、拓も、クラスの子たちも、それぞれが、自分と違う価値観に感化され、変わっていくのだ。

 さて、読み手の子どもたちはかならず、登場人物の誰かに、自分や友だちをみいだせるだろう。私も元女子だから分かる。女子なら、リーダーの仙道さん、金魚のふんの久田さん、おとなしい藤谷になった覚えがあるはずだ。凛になった覚えがある子もいるたろう。男子は、ボスの嵐君と情報通なのを自慢な本馬君と拓と、シンプルに書きわけられているが、嵐君も本間君も憎めない。とくに後半は、ふたりともいい奴感があふれてくる。これは、主人公の拓がクラスの部外者から少しずつ中に入っていった証拠なのかもしれない。
 学校は小さな社会。クラスの人間関係は煩わしいけれど、その中でもまれるのはとてもいい社会勉強だ。この作品では、拓と凛だけでなく、すべての登場人物が、明るい方向へむかって終わっていて、読後感がとてもいい。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 小学校中学年の部 課題図書

5月のおはなし広場 笑顔がはじけて、よかった!!

 新1年生、初めてのおはなし広場。今年の子はどんなかなあ、楽しんでもらえるかなあと、初めての日は、やっぱり緊張する。

プログラム
 大型絵本 バルボンさんのおでかけ (ワニのバルボン) とよたかずひこ作
 わらべうた たんぽぽたんぽぽむこうやまへとんでいけ
 詩の朗読 川崎洋詩(『おーい ぽぽんた  声で読む日本の詩歌166』より)
 絵本 ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ (世界こども図書館B) 林明子作 福音館書店
 紙芝居 アサガオ 七尾純構成/文 あかね書房
 エプロンシアター 三びきのヤギのガラガラドン

 子どもたちは先生に率いられ2列に並んで入ってきて、静かに座った。なんだか、とっても緊張しているみたい。『バルボンさんのおでかけ (ワニのバルボン』も前半は、じーっと絵本をみつめる感じ。大丈夫かな~と思っていたが、バスに乗ったバルボンさんが口で吊革につかまるところ辺りから、くすくすと笑い声がでてきた。一人が笑うと、他の子も笑っていいんだと思ったのだろう。笑い始めて、最後は、みなにこにこ笑顔になった。「たんぽぽ」の詩も、「たぽんぽ、ぽぽんた、ぽんたぽ、ぽたぽん」の響きを楽しんでいた。
ぼくはあるいたまっすぐまっすぐ (世界こども図書館B)』も、最初じいーっと見ていたが、僕が犬小屋をおばあさんの家と間違えるところから、大笑い。だんだん笑いが大きくなった。「まっすぐまっすぐ」を読み手に合わせて言う子がいて、リズム感を感じているのがわかる。
 紙芝居『アサガオ』は、1年生で朝顔を栽培するのでと読み手が選んだ写真の紙芝居。種のなかにもう双葉が入っているところのなど、私も初めて知ることが写真できれいに見えて、興味深った。少し長かったので、よく見ている子と途中で飽きちゃった子に分かれた。1年生なので、そこまで科学的には理解できない子もいたかも知れない。でも、これからの観察に興味を持ってくれればと思う。
 最後は毎年恒例のエプロンシアター「三びきのヤギのガラガラドン」。今年も熱演しました。(#^.^#)。
 終わってから、「また、やってね~」といってくれた子が何人かいて、嬉しい限り。楽しい時間にできたみたいでよかった。

     

朝の読み聞かせ 4年2組 子どもの反応が気になる。

 先月の大失敗から、初めての朝の読み聞かせ。あの失敗の恐怖は私に取り付いていて、他のお話会の語りで自信を取り戻したものの、やはり不安が顔をのぞく。しかも、今日は子どもの前で初語りのお話。不安を消すには練習しかないと、5分余りのお話をくりかえし練習していった。

プログラム
 おはなし カメの笛 ブラジルの昔話
 絵本 これはすいへいせん 谷川俊太郎文 tuperatupera絵 金の星社

 おはなしは、初語りにしてはまあまあの出来だったと思う。ただ、子どもの反応がよくわからなかった。とてもまじめな顔をして聞いているのだが、カメが機転を利かせてヒョウをだます、このお話の面白さが伝わっているのかいないのか……。私が真剣に練習し過ぎて、軽い感じで語れなかったからかもしれない。ううむ、気の抜き方が難しい。
 時間よりだいぶ早めに入れてもらえたので、3冊持っていた絵本のうち、いちばん長い『これはすいへいせん』を読んだ。これも、なんだろう、にこにこしている子が時々いるものの、反応があまりない。以前他の小学校の4年生で読んだときには、とても面白がってくれていたので、その反応の差にたじろいでしまい、集中力が抜けて、読み間違えたりしていけなかったなあ。
 ううむ、子どもの反応を気にしすぎているかもしれない。

      

5月のK図書館分館おはなし会 リピーターがいる喜び

 ゴールデンウィークのおしまいの土曜日は曇り空。常連さんばかり4人の子どもが来てくれた。繰り返してきてくれるのはとても嬉しい。

プログラム
 手袋シアター はながさいた まどみちお詩 *
 絵本 ねえ どっちがすき? (幼児絵本シリーズ) 安江リエ文 降矢なな絵 福音館書店
 絵本 にんじんと ごぼうと だいこん (たんぽぽえほんシリーズ) 和歌山静子作 すずき出版 *
 絵本 もりのおやつやさん (学研おはなし絵本) とりごえまり作 教育学習社 *
 わらべうた たけんこがのびた *
 絵本 ルラルさんのにわ (いとうひろしの本) いとうひろし作 ポプラ社 *
 紙芝居 おにぎりさんきょうだい (おもしろゆかいなたべもの紙芝居) つぼいじゅり作 教育画劇

 4~6歳くらいの小さな子たち。どの子もお行儀のいい子ばかりで、きっちり座って静かに聞いていたが『ねえ どっちがすき? (幼児絵本シリーズ) 』のときは、それぞれが、他の子につられずに自分の好き嫌いを言えたのがすごいなと思った。『もりのおやつやさん (学研おはなし絵本)』は。前半、みつばち、ねずみ、うさぎがつぎづきにおいしそうな食べ物を持っていくのを、特に一番小さな子が喜んで見ていた。でも、後半は良くわからなかったかもしれない。『ルラルさんのにわ (いとうひろしの本)』も、最後の落ちが、大人たち(お母さんとお父さん)にはくすっと笑えるけれど、子どもたちはポカンという感じだ。本選び、本当に難しい。

    

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