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2016年7月

7月のひよこちゃんおはなし会 絵本と実体験

 このところ、2~3組の親子でしていたお話会なのだが、今日はなんと7組の親子が、早くから来てくれた。ありがとうございます。

プログラム
 わらべうた くまさんくまさん/おちゃをのみにきてください *
 絵本 あかいボール 高部晴一作 こどものとも0.1.2. 2016.07 福音館書店
 絵本 フルーツ めしあがれ (視覚デザインのえほん)  視覚デザイン研究所作 高原美和絵 視覚デザイン研究所
 わらべうた じーじーば *
       ももやももや *
 絵本 てんとうむし ぱっ  中川ひろたか作 奥田高文写真 ブロンズ新社
 絵本 がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん (福音館あかちゃんの絵本)  安西水丸作 福音館書店
 わらべうた こまんかなみ *
 紙芝居 ユックのおさんぽ (2010年度定期刊行紙しばい 年少向け おひさまこんにちは)  千世繭子脚本 山本祐司画 童心社
 紙芝居 おんぶおんぶ (あかちゃんかみしばいよちよちはーい!)  武鹿悦子脚本 相野谷由起画 童心社
 わらべうた さよなら あんころもち

 4月から続けている、「くまさんくまさん」と「おちゃをのみにきてください」。やっぱり、0歳の子から3歳の子まで、どの子もよーく見てくれて、集中できる。続けて行こうと思う。
『あかいボール』は、常連のNちゃんとAちゃんが少しだけ姿を見せていて次にでてくる動物を、大きな声であてていた。とくにNちゃんは、今まで指差しだけだったのが、言葉になっている。成長を感じた。『フルーツ めしあがれ (視覚デザインのえほん)』は、ほんものそっくりでとても美味しそう。お母さんかだたも「写真?絵?」と絵本を驚いたように見ていた。「食べたい」といってAちゃんが出てきて食べるふりをすると、歩ける大きな子たちが、みなならってでできて、食べる真似をした。読み手が、まだ小さくてお母さんといっしょにいる子たちにも絵本を見せて回る。
 「じーじーば」と「ももやももや」は、ハンカチを配って。どの子もにこにこしてやってくれた。これも、先月と同じわらべうた。家でも、やってほしいなあ。
てんとうむし ぱっ』も、大きな子たちが、でてくる虫や小動物をさわりに来た。そこで、みんなが触ってから、次のページを開いて変化させるようにした。面白かったのが、「だんごむしは外にいっぱいいるよ」とおしえてくれた子が、だんごむしには、おそるおそる触って、そのあとのカエルは平気で触ったったこと。身近な動物の動く様子外でも観察してほしい。『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん (福音館あかちゃんの絵本) 』は、毎年この時期に読むのだが、本当に驚くほど子どもたちが集中してみる。その力は何だろう? リズム? 汽車と身近なかわいらしいものたち? 犬がでてくると「迷子になったよ」いう子がいた。そうした出来事があったのだろうか?
 紙芝居『ユックのおさんぽ (2010年度定期刊行紙しばい 年少向け おひさまこんにちは)』では、カタツムリにひとりの男の子がとても興味をもって、何度も前にでて見に来た。
 小さな子どもたちは、自分の行動範囲のなかでいろいろなものに出会って知り、興味を持って、世界を少しずつ広げていく。絵本はその手助けができる。今日の子どもたちを見ていて、それを実感した。いっぱい見て、いっぱい聞いて、いっぱいさわって、いっぱい感じて、いっぱい遊んでね。

  
 

K市立図書館本館 夏休みのおはなし会 語り慣れていない話、つぎはもっと軽快に!!

 毎年恒例の夏休みの3日連続のお話会。今年の担当は2日目の午後。でも、あちゃーーー、子どもがいない!! 図書館の方のお話では、午前に来る子が多いようだ。そんななか、おはなしの部屋をなんだろー?と興味をもって、覗いたのが、近くに住む5年生と6年生の女の子。図書館へは宿題をしにきたとのこと。会員が頼み込んで、聞いてもらう。

プログラム
 ひとり、ふたり、さんにんのこども 松岡享子作 *
 桃太郎 日本の昔話
 エパミナンダス ブライアント作

 一応、小学生向けなのだが、小さな子しかこないことを考えて、はじめの2つは特に、小さな子向けのおはなしにしてある。
 わたしは「ひとり、ふたり、さんにんのこども」を初めて語った。このおはなしは、思いっきり小さな子向けなので「簡単なお話だから、おぼえられるよ」といって、語りだした。6年生の子が、結構面白がって聞いてくれた気がする。「桃太郎」も、語り手がしずかに語ると、特に、一般的には知られていない、桃太郎がなまけているところでを二人で顔を見合わせてにこにこ笑っている。
 最後のお話の前に4、5歳の女の子がおかあさんと入ってきた。残念、「エパミナンダス」はまだわからなかったみたい。その前の2つのおはなしを聞いてもらえたらよかったのに……。でも、小学生のお姉ちゃんたちは、このお話をにこにこ笑って、先を想像しながら聞いていた。お
 お話会のあと、なかなか、プログラムと聞き手のマッチングがうまくいかないものだ、でも、聞いてくれる人が良かったと、話した。小学生のふたりは、「おもしろいおはなしをありかとう」という感想の手紙を書いていってくれた。

 わたしの「ひとり、ふたり、さんにんのこども」は、もっとリズムを楽しむように軽快に語ってみては?というアドバイスを会員からもらった。まだ語り慣れていないから、自分自身が語りを、まだ楽しめていないから、それが出てしまっているのだろう。つたない語りで、小学生の子には二重にごめんなさいだった。
 それなのに、よく聞いてくれてありがとう。糧にするね。

K児童館 夏休みのストーリーテリングによるおはなし会 「アリョーヌシカとイワーヌシカ」初語り

 夏休みに入ってはじめての雨、いつもは学校のプールへいく小学生が来ているとのことで、大勢の子たちが集まっていて、45名もの子が聞いてくれた。

プログラム

 ろうそくぱっ *
 おはなし アリーョーヌシカとイワーヌシカ ロシアの昔話 *
 手遊び かたどん ひじどん *
 おはなし エパミナンダス ブライアント作
 ろうそくぱっ

「アリョーヌシカとイワーヌシカ」は子どもの前で初めて語る。子どもたちがどんな反応を見せるのか、とても不安だった。そのうえ、はじめる前、中学年の男の子たちが、ふざけっこをしていて、しずかに聞ける雰囲気ではない。ああー、困ったなあ、と思った。でも、語り始めると、はじめにやにやしていた子も、真面目な顔をして聞き出した。不思議なことが起こると、ときどき面白がってふざけたりするのたが、またすぐに戻ってくる。なかなかいい感触だった。ほっとした。
 しーんと聞いた後、「エパミナンダス」で、場の空気がはじけたのも、よかった。とても反応がよくて、エパミナンダスがケーキを手で握りしめて持ってくるところから、笑いが起こっている。とてもよく想像できているのだと思う。

 このプログラムで、8月にはHキッズクラブでも語る予定。今日より少し自信を持って語れると思う。がんばろうっと!!

7月のI市立図書館おはなし会 

 夏休みにはいってはじめてのお話会。子ども20人と大人10人。3~5歳の子が多い中、勉強しにきていた中学生の子が3人、おはなしの部屋に出たり入ったりして聞いてくれた。

プログラム
 詩 うさぎ まどみちお詩 *
 絵本 わたしのワンピース  にしまきかやこ作 こぐま社
 絵本 がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん (福音館あかちゃんの絵本) 安西水丸作 福音館書店 *
 ベーブサート 風船クイズ *
 絵本 おまつりやさん  飯野由希代文 大島妙子絵 ひさかたチャイルド
 紙芝居 かっぱのかめ 須藤出穂脚本 沼野正子絵 NHKサービスセンター
 わらべうた さよならあんころもち

 はじまりは、『わたしのワンピース』のうさぎさんの人形をだして、「うさぎ」の詩を読んだ。残念ながら、子どもたちが出入りしてざわついて、集中させることができなかった。ごめんなさい。そのまま『わたしのワンピース』へ。ざわつきは続いたが、次第に静かに見てくれるようになった。「にあうかしら?」というと「にあう」と言ってくれる男の子は、家にこの本があるといっていた。『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん (福音館あかちゃんの絵本)』は、3歳くらいの男の子が、でてくるものの名前を言って嬉しそうだった。ペープサートで、楽しんだ後、『おまつりやさん』。子どもたちがどこまでお話にはいっていけるか、心配していた絵本。でも、子どもたちは、とても嬉しそうにお祭りの絵を眺めていた。お祭りでやりたい放題できるのは、やっぱり憧れだ。紙芝居は、今日の子たちはには、少し難しかったかな? 
 I市立図書館は、家族連れでくるリピーターも多い。土曜日の家族のお楽しみになってくれると嬉しい。

 

S幼稚園 ストーリーテリングによるおはなし会 あつくて……

 昨夜は雷のなる大嵐。梅雨の終わり掛けの降り方だった。今日は晴れて、湿気が少ないのか爽やかな感じ。でも、エアコンのない園の部屋で待っている子どもたちは汗びっしょりだった。

プログラム
 手遊び 頭にぼうし 目にめがね *
 おはなし 鳥呑爺 日本の昔話 *
 手遊び みみずの体操 *
 おはなし こぶたのバーナビー  *U.ハウリハン作

 暑さのせいなのか、心なしか子どもたちに元気がない感じがする。「鳥呑爺というのは、鳥をのんじゃったおじいさんのお話だよ」と説明しても、反応がない。語り始めても、反応が少なくて、いいんだろうか?と思ううちに終わってしまった。このお話は、お話を始めたころにおぼえたもので、子どもたちがとても楽しんでくれたものだが、ここのところ、子どもたちの反応が薄い。なんだろうか。私が、お話に慣れ過ぎて、手あかがつくというか、さらりと語り過ぎなのだろうか? 子どもたちがおはなしの流れが理解できないのだろうか? 
 みみずの体操の手遊び(これは、みんな大真面目にやってくれた)をしたあと、「こぶたのバーナビー」へ。このお話も、静かに聞いているものの、なんたが反応が薄い気がする。でも、何人かの子は、じっと耳を澄ませて聞いていた。やっぱり暑さのせいで、ぐったりなのかも……。
 お話が終わって部屋からでて廊下を歩いていると、年長さんたちも帰りの時間で部屋からでてくると、何人か私たちを追っかけてきて、「タッチしよう」、「また来てね」と行ってきてくれた。人なつっこい子たちだ。
 今年、まだまだ何度もおはなしで会える。おはなしを通して気持ちがもっと通じあえますように。

課題図書を読む『さかさ町』

 ルイス・スロボドキンが挿し絵をつけている本。彼は、1975年にすでに亡くなっているけれど、その作品は、今もなお、読み継がれるばかりか、新たに邦訳され続けている。ユーモラスな動きのある線が私は好き。そのルイス・スロボドキンの作品が課題図書というのは、とても嬉しい。

さかさ町
 F.エマーソン・アンドリュース文
 ルイス・スロボドキン絵
 小宮 由訳
 岩波書店

     

 リッキーとアンの兄妹は、おじいちゃんの家に行くのに汽車に乗っていた。でも、行く先途中の線路の橋が壊れたために、橋が直るまで、「さかさ町」で待つことになった。
「さかさ町」は名前の通り、さかさまのルールがある、奇妙な町だった。看板は上下さかさまになっているし、自動車は後ろ向きに走り、家は、屋根と天井がさかさまになって建っている。
 リッキーとアンが泊まったホテルも、外から見ると2階建てだけれど、客室は地下にある。ベッドは、頭の方側の掛布団がマットレスのしたに入れこんであって、足の方側から入るようになっている。ホテルで働いているのは子どもで、年をとったら遊んでいていい。
 再び汽車が動き出すまでのあいだ、リッキーとアンは、レストラン、病院、野球、小学校、ショッピングセンターを巡り、さかさまの世界を満喫する。

 なんとも楽しいお話だ。さかさまだと、不便だったり不都合があったりするのじゃないかと思うのだが、むしろその逆。たとえば、上下さかさまの家では、屋根が平らだから、屋根にヘリコプターがとまれるし、地下にある客室は、高層階の部屋より涼しくて、安全で静かなのだ。
 さかさまのルールでは、価値観がひっくり返る。すると、前より素敵なルールになったりするから、不思議で面白い。病院や、アンストアーと呼ばれるショッピングセンターでの、私たちの世界とは、まるきりさかさまの支払いシステムは、なるほど、理にかなっている。このルールなら、健康保険も失業保険もいらなくて、弱者にやさしい、平等な社会ができそうだと、膝を打って感心した。

 このお話は、一見、ユーモアたっぷりの、でたらめなうそっこ話のようだが、実はとても奥行きが深い。ものごとをまったく逆から見ると、まったく違うものが見えてきて、常識がひっくりかえったり、新しい発想が生まれたりする。その意外性や発想の広がりがとても楽しくて心地よい。この本は、常識の域内だけにとどまっている私たちに、一歩外へでて、多角的な見方と柔らかな考え方をするようにと促してくれるのだ。

 ただ、翻訳本のため、日本の子どもたちには、レストランの料理や指ぬきなど、生活でのなじみがあまりなくて、ぴんとこない部分があるかもしれない。でも、それは、ほんの一部。中学年以上の子なら、十分にこの発想の転換を楽しめると思う。さらに、読後に、さかさまに考えるゲームなどしたら、もっと楽しいだろう。

*第62回青少年読書感想文全国コンクール 小学校中学年の部 課題図書

朝の読み聞かせ 2年2組 楽しんで語る「おばけ学校の三人の生徒」

 昨日の朝の読み聞かせ。教室に行くと、今日が読み聞かせだと知らない様子。私の顔を見ると、みんなで声を掛け合って聞く体勢になってくれた。素晴らしい。

プログラム
 絵本 しろねこしろちゃん (幼児絵本シリーズ)  森佐智子文 MAYA MAXX絵 福音館書店 福音館書店
 おはなし おばけ学校の三人の生徒 松岡享子作

しろねこしろちゃん (幼児絵本シリーズ)』のタイトルを読んで表紙を見せた後、表紙をめくると、くろねこ母さんと3びきのの黒こねこと白こねこが現れる。またタイトルを読むと、小さな白こねこが目に入らないのか、白から黒への変化に驚いたのか、「あれーっ、くろねこだよ」の声。でも、次第に話の内容が分かったみたいだ。この絵本は短いだけれど、仲間外れの気持ちや、認められる嬉しさがきゅっとつまっていて、子どもたちの心をつかむ。静かに聞いてくれた。
 さてもおはなしをと「おばけ学校の三人の生徒」を語った。はじめは、つまらなそうだったが、おばけたちがテストを受けて、1年生、2年生、3年生と順番に上手になるというくりかえしがわかると、笑ったり、批評したりして聞き出した。いろいろな語り方があるが、今回私は、1年生をとにかくへたくそに、2年生を普通に、3年生をやりすぎなくらい趣向をこらしてやってみた。すると、子どもたちは1年生では大笑い。2年生でうなずく。そして3年生が先生に「たいへん素晴らしい」と褒められると、「ええー! 上手なの? 2年生のほうがいい」と声をあげたりする。自分たちが2年生なので、2年生びいきなのか、3年生はやり過ぎだと思うのか、その反応を見ていて語りながら、とてもおかしくて、楽しく語れた。最後はびっくりしたあと、みんなで大笑い。すてきな朝のスタートとなった。

     

課題図書を読む『大村智ものがたり』

 昨年、2015年の日本人ノーベル賞受賞者はお二人だった。そのうちのおひとり、生理学・医学賞を受賞された大村智さんの伝記。10月5日に受賞が発表されて、この作品が出版されたのが12月15日で、作者あとがきの日付は11月9日になっている。受賞が決まってからの執筆なら、なんというスピード! 作者は、新聞社出身の科学ジャーナリスト。以前から大村先生を取材され、2012年には、すでに『大村智 - 2億人を病魔から守った化学者 』(中央公論新社)を出版されている。

大村智ものがたり~苦しい道こそ楽しい人生
 馬場錬成著
 毎日新聞出版

     

 大村先生の経歴は、すでにあちこちで報道されたが、この著書に書かれたものをまとめると次のようになる。
 山梨県の農家の長男として生まれ、10歳のときに終戦をむかえる。地元の高校を卒業して山梨大学に入学。東京で夜間高校の教師をしながら、勉強して2年後に東京理科大学大学院に入学。教師も続けながら大学院で学んで博士論文を書く。3年後に結婚して、山梨大学に戻って助手として働くが、2年後、29才でで再び上京して北里研究所の研究員となる。そこで書いた論文で、東京大学で薬学博士号、東京理科大学では理学博士号を取得し、36才でアメリカのウエスレーヤン大学に留学。2年で帰国し、留学時代に取り決めたメルク社との共同研究を始め、1975年北里大学薬学部教授になる。そして、ゴルフ場の土を培養した微生物が作った化学物質から、動物の寄生虫やダニを殺すエバーメクチンを発見。エバーメクチンを改良して、人間の寄生虫に効くイベルメクチンを開発。この感染症の治療法の業績でノーベル賞の受賞となる。

 高校教師というまわり道はあるものの、とんとん拍子の華々しい研究者人生だ。その陰には、人の何倍もの努力があっただろうし、苦しみもあっただろう。本書でも、「徹夜で実験するのは慣れている」(p96)、「朝6時に研究室に出勤する」(p106)、「精神科へ行くと、医師から研究に熱中し過ぎているので何か他の楽しみをもちなさいと言われました。」(P115)と、書かれている。
 だが、本全体から受ける大村先生の印象は、とても精力的で、努力を苦とせずに、前へ前へと進んでいくのを楽しんでいる。
 小学校から大学までは、勉強よりもスポーツに夢中だった。高校では卓球部とスキー部。卓球では部長を務め、スキーでは、県大会・県インターハイで優勝している。スキーは大学に進んでも続け、体力をつけるために、大学までの15キロを走って通った。
 好きなことには熱中して打ち込み、結果を残せる。優れた資質を持っている。

 また、大村先生はすばらしい両親のもとで育ち、人との出会いにも恵まれた。戦時、敵国の英語を子どもたちに内緒で習わせたお父さん。「教師たる資格は、自分自身が進歩していること」(p40)と日記に書いていた元教員のお母さん。スキー指導員の横山先生は「人のまねではその人のレベルどまり」と教え、大学院の都築先生は、論文を英語で書くようにと指導した。こうした、先見の目をもち、自分を磨く人たちの言葉や行動を、大村先生は吸収してエネルギッシュに行動に移した。目上の人だけでない、夜間高校で教えた生徒たちからも、「勉強の重要性とそれに向かう意欲」(P99)を学んだ。そうした大村先生のひたむきな姿を見た人が、また大村先生に目をかけて引き上げる。
 引き上げられるのを待つだけではない。大村先生は、自分からも積極的にはたらきかけて、チャンスを引き寄せた。アメリカへの留学は、まずアメリカを回って教授たちと交流し、帰国してから自分を売り込む手紙を5つの大学に出して獲得した。
 人からパワーをもらって、そのパワーを発散して人に与え、また人からもらって……と、パワーは、人とのつながりの中で好循環し、人間として、研究者として、大村先生はどんどん伸びた。
 熱中していることには、苦労を惜しまない。どんなに苦しくとも楽しめる。それが大村先生なのだ。
 考えても見てほしい。ノーベル賞につながった化学物質をみつけだすまでに、大村先生率いる研究者たちが、どれだけのたくさんの場所から土を採取し、どれだけの回数、培養したことか――。
 大村先生のような精力的な生き方は、なかなかできないし、能力がないからとあきらめてもしまうだろう。でも、どんなことも楽しんで精いっぱいやろうと心がけることはできる。すると、きっと、世界が違ってくるだろう。
「至誠天に通ず」(p183)。大村先生から頂いた言葉を、心にとめておきたい。

*第62回青少年読書感想文全国コンクール 小学校高学年の部 課題図書

7月のK図書館分館おはなし会 『まゆとかっぱ』ハードカバーにしてー

 今日も朝から暑くなった。湿度が高くて、衣服がまつわりつく感じ。図書館には常連の子が3人とお初に見る子がひとり来てくれた。4歳~6歳くらいの子たちだ。

プログラム
 紙芝居 みんなでぽん! (ひろがるせかい) (まついのりこ・かみしばいひろがるせかい)  まついのりこ作 童心社
 絵本 ぼくはこどものぞうです (リブロの絵本) タナ・ホーバン写真 ミエラ・フォード文 五味太郎訳 リブロポート 
 絵本 まゆとかっぱ 富安陽子文 降矢奈々絵 こどものとも2015.04 福音館書店
 手遊び ふくすけさん
 絵本 とべ、カエル、とべ! (児童図書館・絵本の部屋)  ロバート・カラン文 バイロン・バートン絵 松川真弓訳 評論社
 エプロンシアター はらぺこかいじゅう

みんなでぽん! (ひろがるせかい) (まついのりこ・かみしばいひろがるせかい)』は、みんなでいっしょに「ぽん!」と手をたたくのだが、なかなか気持ちが合わなくて、いっしょにたたけない。何度か練習して、ようやく紙芝居を進めていった。『ぼくはこどものぞうです (リブロの絵本)  』は、ぞうの子が水浴びをする写真絵本。転んだり、水にもぐったりするのを喜んで見ていた。ここまでは、きゃあきゃあ、とはしゃいで見ていたのだが、『まゆとかっぱ』になると、急に静まり返った。いつのまにかどんどん絵本ににじり寄ってきている。この絵本、本当に子どもの気持ちをひきつける。前にも書いたけれど、ハードカバーにしてーー!! 『とべ、カエル、とべ! (児童図書館・絵本の部屋)』は最初、よくわからなかったようだが、だんだんわかってくると、「かえるは、どうやって、にげるのかな?」で、「ジャーンプ」と答えてくれるようになった。最後のところは、よく絵を見て、はらはらしていた。
 エプロンシアターは、怪獣がなんでも食べてしまうもの。演じ手が、ケーキ、アイスクリーム、キャンディなどを子どもたちに持たせて、かいじゅうの口にいれて食べさせたので、大喜びだ。でも、飛行機をまるごと食べてしまうと「えええー、だめー」と叫ぶ。怪獣のお腹がいたくなると、かわいそーと言い、お医者さんにお薬をもらうとほっとしていた。この年の子どもたちは、容易にかいじゅうに感情移入できるのだと思う。

  

課題図書を読む『タスキメシ』

 お正月の2日と3日に行われる箱根駅伝を、毎年、テレビで観戦している。学校の名をらおって襷をつなげていく団体競技は、ランナーに残酷なほどの使命をあたえる。その使命を果たそうとひたすら孤独に走り続けるランナーが、炬燵にはいってぬくぬくしている私を感動させてくれるのだ。
 箱根駅伝から始まるこの作品では、選手がそこにいたるまでのドラマが描かれる。なぜか、お腹が鳴るほどおいしそうな料理とともに……。

タスキメシ
 額賀 澪作
 小学館

     

 真家春馬は箱根駅伝の花の2区の中継ラインにまっさきに立って、1位で走ってくるランナーを待っている。春馬には、3度目の箱根駅伝だ。1位から遅れること10メートル、2校のランナーが姿を見せ、その2大学のランナーが、中継ラインの春馬に並んだ。高校の先輩、助川と、高校の時のライバル校の藤澤だ。
 襷を受取り、先頭で走り出した春馬は、1歳上の兄、早馬が走る姿を思い浮かべた――。

 そこから、話は突然、兄、早馬の高校3年生の初夏にさかのぼる。早馬は高校2年の冬に右膝を剥離骨折して手術をうけた。いまは、リハビリをし、陸上部で軽いメニューをこなしている。少しずつ身体をならせば、夏のインターハイ予選を目指せるはずなのだが、一向に練習に身をいれず、ぐだぐだしていた。
 そんな早馬に、担任で料理研究部顧問の教師が、調理実習室に食材を持っていく使いを頼んだ。その日から、早馬は料理研究部に入り浸るようになる。料理研究部の部員は、3年女子の井坂都ひとり。都はそっけない態度で、言葉使いも荒いが、料理の腕は抜群だった。早馬は料理を覚えて弟の春馬に食べさせようとした。兄弟の家は父子家庭のため、食事が貧しくがちなのに、弟の春馬は加えて、恐ろしい偏食だった。自分より走る才能のある弟が、あんな食生活では故障しかねないと思うのだ。
 そんな兄を、弟の春馬は、美味しい料理を喜んで食べながらも、不満に思っていた。兄にはリハビリをして、陸上にもどってきて欲しい。だが、長距離走者として致命傷ともいえる膝の手術した兄の思いを、故障したことのない春馬には推し量ることができず、強くは言えなかった。
 陸上部の部長の助川も、複雑な思いで早馬を見ていた。早馬がリハビリをさぼって、都調理実習室に通い、都とふたりきりで料理することも気になった。けれども、本人の意志に任せるしかないと考えていた。
 都は、家庭の事情を抱えていて、ひとりで料理するのが好きだった。だが、早馬の苦しみを感じ取り、料理がなにかの救いになるのならいいと考えた。それに、だれかと料理するのもいいと感じはじめていた。

 こうして高校時代を、早馬、春馬、都、助川が交替で語り、そのあいまに、箱根駅伝での春馬の走りを、春馬自身が語る。さらに、都と助川の小学生時代の思い出話もはさまり、時系列はかなり前後する。そのなかで、早馬がどう決心するか、その決心に、春馬、都、助川がどう関わったか、逆に早馬が三人にどんな影響を与えたかが次第にはっきりと見えてくる。大学4年の早馬が箱根駅伝の日にどうしているかは、読者をじらすように伏せられ、おしまいの方で明かされる。そして箱根駅伝2区の勝負は……。実にうまい構成で、読み進むほど、面白い。
 本人ですらわからない、複雑な登場人物の心境も、よく伝わってくる。弱身をもったもののひがみ、不安、追われるものの苦しみや焦り、逃げの気持ち、それを隠そうとするごまかしなど、情けないけれど、だれもが持っているに違いない負の感情が丁寧に描き出されている。
 辛い家庭環境で育って負の感情を味わい尽くした都は、早馬、春馬、助川にさばさばとした思いやりで接する。そのことが、彼らに自分や相手の本当の思いを気づかせる助けになっていく。
 素質、運、環境……人は決して平等ではない。だから、自分の置かれた場所で、もがきながら、恰好悪くても、前を向いて生きる。それしかない。

 ところで、この作品のさらなる魅力は、都と早馬のつくるおいしそうな家庭料理だ。細かなレシピはなく、ざっくりと描写してあって、物語に溶けこんでいる。その都らしいざっくり感がいい。しかし、手際よく、心憎い心づかいがあり(そしてこの心づかいが味を左右するのだ)、主婦としては、その技を盗みたくなる。特に取り入れたいのは、水だしティーポットでつくる、鰹節と昆布のだし汁。そのだし汁を使う和風ピクルスも作りたい。今の季節なら鯵のなめろうが美味しいだろうか。
 作者は料理上手? 小学館文庫小説賞受賞、松本清張賞をW受賞したという、まだ20代の若い才能。ほかの作品もぜひ読んでいきたい。

*第62回青少年読書感想文全国コンクール 高校の部 課題図書

D保育園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 1回目 子どもたちから教わる 

 梅雨の合間の晴れの今日は、暑いっ! 夏が確実に近づいているのを感じる。今年度のD保育園年長さんは30名ほど。ひとり、暑さのせいか、お昼ね中。先生が揺り起こそうとしていたけれど、あまりぐっすり眠っているので、そのままにしてもらった。

プログラム
 はじまりのうた ろうそくぱっ *
 おはなし ひなどりとネコ ミャンマーの昔話 *
 手遊び ででむし *
 おはなし ついでにペロリ デンマークの昔話
 おしまいのうた ろうそくぱっ

 先月のK第2幼稚園と同じプログラムだ。人数がすくないし、部屋も狭いこともあって、やはり今日の方が、お話が届く感じだ。子どもたちの反応もいい。「ひなどりとネコ」では、ネコに追いかけられるところ、隠れていた壺が割れてしまうところで、とくに耳を澄まして聞いてくれた。
 手遊びはグーとチョキでカタツムリの形を作るもの。「でんでんむしむし」の歌でやろうとしたら、「ででむし」のわらべ歌で習っているようだったので、子どもたちに教わりながら、そちらでやった。それでも、できる子とできない子といる。個人差が大きいのだなと感じる。
「ついでにペロリ」の反応もよかった。つぎつぎにネコが食べていくたびに「えーっ!」とか、「おなかが痛くなるよ」と言っている。先生方も楽しそうに聞いてくれて、それがなによりと思う。

 次は9月。また楽しんでもらえますように。

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