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2015年6月11日 (木)

課題図書を読む『レジェンド! 葛西紀明選手と下川ジャンプ少年団ものがたり』

 葛西選手のこれからのご活躍も期待しています!!

レジェンド! 葛西紀明選手と下川ジャンプ少年団ものがたり (世の中への扉)
 城島充著
 講談社

     

 ソチオリンピック、スキージャンプの葛西紀明選手のことは記憶に新しい。ラージヒル個人2回目のスーパージャンプあと、日本選手がみんなかけよったこと。惜しくも僅差で金メダルを逃して銀メダルになったときの一瞬の悔しそうな表情、そしてその後の破顔。団体胴メダルを獲ったとき、だれよりもはしゃいで、うれしそうに見えたこと……。感動の場面はたくさん心に刻まれたけれど、ほかに私は、彼の飛ぶ前のひょうひょうとした、楽しそうな表情が印象に残った。さすが、彼ほど才能があるベテランだと、プレッシャーなんて感じないんだ、心がでっかいなあと、考えていた。でも、この本を読んで、それまでに数多くの困難をのりこえてきたのを知った。

 この本はタイトルの通り、葛西選手と、彼をはじめたくさんのジャンパーを育てているジャンプ少年団について、葛西選手とまわりの人々の証言、写真を差し込みつつ書いてある。少年団については歴史、名選手が育つ秘密、名選手たちと団の子どもたちとのつながりなど興味深い。だが、読ませるのは、やはり、葛西選手の小学校3年生でジャンプを始めてからソチオリンピックまでの艱難辛苦に満ちた道のりだ。
 子どもの頃の貧困、妹さんの病気、お母さんの大やけど、けが、不調、オリンピック団体メンバー落ち、所属する会社の倒産……。よくもまあ、こんなにもたくさんの不運が重なるものだと思わざるをえない。そのなかで、葛西選手はオリンピック7大会連続出場を成し遂げ、さらに進化し続けようとしている。なぜそんなことができるのか。

 まずは、ずばぬけたなジャンプの才能。そして多くのトップアスリートがそうであるように負けず嫌いな性格だ。彼は、だれよりも練習し、走ったという。ジャンプは人一倍好きだっただろう。けれど、肉体的な苦しさをこらえて鍛えるのは、強靭な精神力がいる。頑張れる精神力もある意味、才能だろう。
 しかし不運が続き、さすがの彼も、情けなくて格好悪い時もあった。その悔しさや不安は、彼やお姉さんの言葉などを通して、生々しいまでに伝わってきた。
 そのとき、なによりも彼を支えたのは、子ども時代に葛西選手がジャンプ少年団で練習てぎるように、夜遅くまで働いてくれたお母さん、貧しさに耐えて応援してくれた姉妹の存在だ。自分を思っている家族がいるからこそ、葛西選手はどんなときも再び立ち上がって歩き出したのだろう。
 家族とくに、お母さんの思い、手紙、お母さんの気持ちを十分にわかっている葛西選手の思いには、読みながら私は何度も熱い涙を流した。

 栄光の背後にある努力と苦しみ。それを知ることで私たちは、レジェンドと呼ばれる人を違う世界の憧れの人でなく、同じ世界の尊敬する人として見ることができる。栄光を握れるのはひとにぎりの人たちだ。でも、前を向いて歩き続けることは、だれでも目指せる。

*第61回青少年読書感想文全国コンクール 小学校高学年の部 課題図書

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