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課題図書を読む『ふたり』

 今年の課題図書では、現代の子どもの身近な日常を描いた作品は、読み物ではこの1作だけだ。

ふたり
 福田隆浩作
 講談社

     

 主人公のふたりは、6年3組の村井准と小野佳澄。佳澄は昨年に転校してきて、クラスの女子の中で陰湿ないじめの対象になっている。准は、注意する勇気はないが、気がかりに思っている。
 ある日、たがいに覆面作家、月森和のミステリーのファンだとわかる。ふりたは県立図書館でいっしょに読むようになるが、学校では互いに知らないふりをしていた。やがて、「月森和」が別名で違うジャンルの本を出版していて、その別名が月森和の作品から推測できると知ったふたりは、協力して突き止めることにした。そうして、県立図書館ですごすふたりの時間は楽しかった。
 だが学校では佳澄への嫌がらせは続いた。中学受験をめざす准も、離婚して別に暮らす父親のことで心を悩ませた。そして、とうとうクラスのみんなに知れてしまい……。

 准と佳澄が1人称で交互に語る形式で進む。
 小学校高学年の男女が仲良くなり、友だちに冷やかされ、親に勉強のこともふくめて心配される。ふたりはただそばにいたくて、互いを悩みをわかち、支え合う。とっても健全な初恋物語――昔からあるクラスメイトとのあわい恋の物語だ。

 そこに、いまどきの学校や家庭の問題や話題を織り込み、リアルタイムの子どもたちを主人公に描いている。
 今、学校では、子どもたちは周りを気にしてふるまい、だれかを標的にして、いじめることでまとまるということが起きている。両親の離婚も増えている。大人たちのなかで、どんなに円満に離婚が成立しても、子どもを動揺させないはずはなく、未来への不信感も生みだしてしまう。
 いじめの標的になっている佳澄と両親が離婚した准。ふたりの主人公は、今どきの問題の被害者ともいえる。だが、ふたりは悩みはするものの、大きな問題をおこすことも、不幸ぶることもない。淡々と日常を過ごしているように見える。そして、ミステリー作家の謎をいっしょに調べることに救いをもとめ。それがふたりの悩みの解決にもつながっていく。
 主人公たちのよい子ふぶりが、物語としては、ものたりない気がする。だが、これが今のリアルな子どもの姿といえるかもしれない。子ども読者が、このふたりにどれだけ共感できるか。それは、大人のわたしにはわからない。でも、小学校中学校のころをを思い出した。男子と一緒にいるだけでわくわくしたことや、卒業すればお別れだと真剣に悲しんだこと、そして「つきあっている」という言葉の響き……。

 ところで、主人公たちが愛したミステリー作家「月森和」の作品を、わたしも読みたい。作中にあらすじが紹介されているが、とても面白そう。もしかしたら、いま作品が書かれていて、そのうち出版されるのかしら?

*第60回青少年読書感想文全国コンクール 小学校高学年の部 課題図書

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