最近のトラックバック

« 南K小学校 春の図書館祭 お昼休みのおはなし会 低学年 | トップページ | H保育園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 次が楽しみ »

課題図書を読む『星空ロック』

ドイツに暮らす那須田 淳さんの作品です。

星空ロック
 那須田 淳作
 あすなろ書房

     

 レオ(玲音)は、ロック好きの少年。セミアコースティックのエレキギターを弾く。練習場は、アパートの大家のケチルが庭の小屋を貸してくれた。1年でドイツのコーラス・グループ、コメディアン・ハーモニスツの『世界のどこかで』という曲を弾けるようになるという条件つきだ。ケチルは90歳をこえ、一見気難しそうに見え、ケチなのでケチルと呼ばれていたが、音楽に詳しかった。小屋にあったオルガンを弾き、レオのたったひとりのバンド仲間にもなった。
 レオは、中学2年生の夏休みに、家族旅行でベルリンに立ち寄ることになった。その話をきくとケチルは若い時ドイツのベルリンに留学していつも出入りしていた楽器工房、そこの姉妹と『世界のどこかで』にまつわる話を聞かせる。ケチルはそのSPレコードを手に入れて姉妹に渡す約束をしていたが、戦争がはじまり、約束を果たせないまま帰国した。日本でレコードを見つけて手に入れたものの、ベルリンの姉妹とは連絡も取れないままになっていると。
 レオが旅立つ前にケチルは亡くなる。レオは、ケチルに代わって姉妹との約束を果たそうと、SPレコードを持ってベルリンへいくことにした。

 さて、レオは、家族の事情でひとりでベルリンに行き、家族と合流するまで、留学しているいとこのマリちゃんのところで滞在することになる。ひとりでの旅は不安だったが、空港で同じ年のハーフの少年、ユリアンと出会い、一緒にベルリンにつく。
 ところが、ユリアンは、ベルリンでマリちゃんがマンションの1戸をシェアしているシングルマザーの息子だった。ユリアンには同じ年で血のつながらない妹リサがいた。リサは、ユリアンの母親の再婚相手の娘で、仲間とバンドをくんでいた。
 レオは、ユリアンの助けをえて、楽器工房をさがしにいくが……。

 ここまでが、前半までのあらすじ。うまくまとめられずに、こまごまと書いてしまったが、これでも、まだ物語をきちんと伝えるには足りない。
 この作品には、実にたくさんの問題が入り組んで提起されているのだ。ステップ・ファミリー、移民、人種、ナチス、大戦後のドイツ。読みはじめのは、ドイツを舞台に、現代社会の実情をつぎつぎに並べ立てた作品のように思えた。
 だが、後半になって、それら多種多様なものが、まざりあってうねり、つながり、俄然面白くなった。やがて、ふたつのストーリーが浮きでて、重なっていく。ひとつは、レオがケチルの思い出の人を探すストーリー、もうひとつはサマーフェスティバルで演奏するリサのバンドのストーリー。さらに若い日のケチルのストーリーが入れ子になっている。
 つながる物語のなかで大きな役割をはたすのは、ジャズ、クラシック、ロックなど様々なジャンルの音楽だ。クラシックをロックにアレンジして演奏するカノンロックやユダヤ人メンバーの混じっていたコーラス・グループ、コメディアン・ハーモニスツなどが象徴的に使われている。
 違いはある。でも、つながることはできるのだ。

*第60回青少年読書感想文全国コンクール 中学校の部 課題図書

« 南K小学校 春の図書館祭 お昼休みのおはなし会 低学年 | トップページ | H保育園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 次が楽しみ »

児童読みもの」カテゴリの記事

コメント

とてもいい話だったと思います

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 課題図書を読む『星空ロック』:

« 南K小学校 春の図書館祭 お昼休みのおはなし会 低学年 | トップページ | H保育園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 次が楽しみ »

2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

Amazonアソシエイト

  • 野はら花文庫は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。
  • Amazon、Amazon.co.jpおよびAmazon.co.jpロゴは、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
無料ブログはココログ