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2013年6月15日 (土)

課題図書を読む『チャーシューの月』

チャーシューの月 (Green Books)
 村中李衣作
 佐藤真紀子絵
 小峰書店

     

 何らかの事情で親と暮らせない子どもたちが暮らす児童養護施設「あけぼの園」。2月、「あけぼの園」に6歳の明希が、父親に連れられてくる。それから約半年の出来事を、「あけぼの園」で暮らす美香の目を通して語る。美香は、明希と同じように父親につれられて園にきて園で育った。明希が来たときは、小学校卒業前だ。他の子とは、あまりかかわりたくないと思っているけれど、明希のことは気になる。
 作品は、父親から虐待を受けていたらしい明希の物語を軸にしているが、園のほかの子たちに持ちあがる問題も同時に描いていく。子どもたちが園にいる事情は様々だ。親が亡くなったり、精神的に病んでいたり、虐待したり……。どの子も心に傷を負っている。気持ちがささくれだって、感情がむき出しになり、かなり荒っぽい言葉使いや行動もとる。園内で起きるいざこざ、上下関係、学校で遭ういじめ、危ない恋、自分を育てられない親をなおも慕う切ない思い……そして希望。

 作者あとがきによれば、「この本は、ドキュメンタリーではありませんが、いまも日本のどこかの施設で起きているできごとを紡いだもの」だという。
 正直にいおう。子どもたちの辛い現実に驚き、圧倒され、一気に読んだものの、読後、心が沈むばかりだった。希望の光を感じさせるラストにはなっている。虐待された子が親となり虐待するといった負の連鎖を断ち切る予感もある。でも、その希望の光には、いつ黒雲に覆い隠されしまうかわからないような、はかなさがある。それが、この子たちの現実で、それでも、今日を明日を、生きていかなきゃいけないのだと――。
 中学生たちは、この本をどう読むのだろうか。家族の愛に恵まれている子たちは? 美香や明希と似た境遇にいる子たちは? もしかしたら、わたしよりずっと若い分、これから自分でつくる人生がわたしよりずっと長い分、希望の光は、明るく輝くのかもしれない。いや、輝いていてほしい。

*第59回青少年読書感想文全国コンクール 中学校の部 課題図書

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