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2013年3月22日 (金)

オーストラリアの本『アリブランディを探して』

 オーストラリアが舞台だからこそ描けた、すべての若者たちに共通する自分探しの物語。

アリブランディを探して (STAMP BOOKS)

 メリーナ・マーケッタ作
 神戸万知訳
 岩波書店
 2013.1.25

     

 アリブランディは、オーストラリアのシドニーで聖マルタ校に通う17歳。聖マルタ校は、金持ちのアングロ・サクソン系が主流。イタリア系奨学生のアリブランディは肩身がせまい。そのうえアルブランディの母は、未婚の母。イタリア系の人たちからも、後ろ指をさされて育ってきた。
 高校最後の年、アリブランディは、決して会うことがないと思っていた父親に会い、ぜったい近寄りたくないと思っていた公立高の生徒会長と恋をし、移民してきた祖母の過去を知る。

 まず、この本で初めて知り驚いたことがふたつある。
 ひとつは、移民の国オーストラリアに、人種間の隔たりがあり、その人種差は、主流のアングロ・サクソン系に対するイタリア系、スラブ系というような、私にすれば、ささいな違いも含まれていること。アングロ・サクソン系でないヨーロッパ系は「色つき」と呼ばれる。
 そして、もうひとつはイタリア系女性の厳格さ。イタリア人というと開放的なイメージがあったのだが、カトリック教徒なのだから、その厳格さ、特に性に対して保守的なのは当たり前なのだと、気づかされた。

 さて、主人公のアリブランディは、オーストラリア人としては純正ではなく色つきで、イタリア系としても、罪深い生まれの子である。このことが、大きなコンプレックスとなっていて、彼女の気持ちや行動を縛る。アリブランディは、さまざまな経験を通して、その縛りからとかれて、自分自身をみつけていく。

 日本の中高生は、人種差について意識することはあまりないだろう。けれど、学校カースト制が存在するといわれも教育格差も広がるいま、アリブランディの物語は、自分の物語として読めるのではないだろうか。いや、それでなくても、思春期、青年期のころは、いろいろな価値感のなかで揺れ、自分がわからなくなりがちだ。そんなときの助けともなる本だ。

 テーマは真面目で固く、シリアスな事件も起こるが、アリブランディの、その年齢の子らしい話し言葉による軽妙な語りは読みやすい。賢く根は真面目だが、優等生ではないアリブランディのキャラクターや、ドキッとするような恋愛の台詞や描写にひかれる読者も多いだろう。だが私がなんといっても魅力を感じたのは、聖マルタ校の校長シスター・ルイーズ。真の教育が、どういうものかを見せてくれた。

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コメント

この本を読もうか迷っていました。
ですが内容が少しわかったので読もうという気になりました。
ありがとうございます!

メイさん

紹介文を読んでくださってありがとうございます。

お役にたてて、うれしいです!

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