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課題図書を読む『怪物はささやく』

 47歳で早逝し、死後にカーネギー賞を受賞した作家シヴォーン・ダウド。彼女の未完の遺作を、いまを時めく作家パトリツク・ネスが完成し、カーネギー賞を受賞した。ぞくぞくするような生誕ドラマをもつ作品だ。

怪物はささやく

 シヴォーン・ダウド案
 パトリック・ネス作
 ジム・ケイ挿絵
 池田真紀子訳
 あすなろ書房

    

 13歳の少年、コナー・オマリーは重病の母親と二人で暮らしている。母親は薬の副作用で髪の毛は抜けおち、調子の悪い日が多い。学校の友だちや先生は、コナーをかわいそうな子として特別扱いする。優等生のハリーは、陰で、とりまきふたりを使って、コナーをいじめた。
 コリーは、悪夢にうなされるようになっていた。誰かと握った手がするすると滑って離れていく夢だ。そして、真夜中になると、庭のイチイの木が、怪物となって、コナーを訪れ、物語をきかせるようになる。怪物はなぜ、コナーのところへやってきたのか? コナーになにをしようとしているのか?

 タイトルも挿絵も不気味で、一見、妖怪物語のように思えるが、内容はまったく違う。善と悪が複雑に絡み合う人間。その人間が包み隠している心の闇を、イチイの木の怪物があぶりだす。怪物の語る3つの物語、その物語と次第にシンクロしていくコリー少年の行動が、読む者を惑わす。とくに、若いコリーと同年齢の、思い通りではない自分、矛盾する気持ちが共存する自分に気づきはじめた読者には、衝撃であるが、救いにもなるだろう。

 家庭に問題があるとき、子どもはよい子になろうとすると、聞いたことがある。コナーにも、そんなところがあった。病気の母親を心配させまいとしていた。自分を押し殺しているつもりはない、自分でも無意識にしていることだ。コナーには自分でも気づかない本心があった。わたしも、後半までそれに全く気づかずに読んだ。それは、あたりまえの感情だ。でも、認めたくない感情、あってはならない感情に違いない。だから、一生懸命頑張っていているのに、つらい。もういやだ。こんなとき、どうすればいいのか、イチイの木が荒々しい方法で教えてくれる。
 ラスト数ページのイチイの木の言葉が、心に刻まれる。大人になりかけているあなたに、読んでほしい。

 
*第58回青少年読書感想文全国コンクール 中学生の部 課題図書
 

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児童読みもの」カテゴリの記事

コメント

この本以前読みました。
今年の課題図書になったのですね。

あそびっこさん

おお、すでに、読まれていたのですか。
考えさせられる本なので、読書感想文を書くと、さらに深く考えることになりそうな本ですね。

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