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課題図書を読む(2011)『わたしのとくべつな場所』

小学校中学年には難しい作品だけれど、感想文は書きやすいかも。

 青少年読書感想文全国コンクール小学校の課題図書。

わたしのとくべつな場所
 パトリシア・マキサック文
 ジェリー・ピンクニー絵
 藤原宏之訳
 新日本出版社

     

 黒人の女の子パトリシアは、「あの場所」へひとりで行くことをおばあちゃんに許してもらう。

「どんなことがあっても、胸をはって歩くんだよ」
おばあちゃは、パトリシアを送り出しながら声をかけた。

 パトリシアはまず、バス乗る。バスでは後の黒人指定席にすわらなくちゃならない。前の方の席があいていても、座ってはダメ。「こんなの不公平だわ」とパトリシアは思う。バスをおりて、公園の中を通り、噴水の前で一休みしようと思ったけれど、ベンチには「白人専用」と書いてある。ホテルの前を通ったとき、人ごみに押されて中へはいってしまった。「肌の黒い人間は立ち入り禁止」とホテルから追い払われ……。

 新日本出版社のアメリカの人権絵本シリーズのなかの1冊。
 著者あとがきによれば、テネシー州ナッシュビルが舞台。1950年代ナッシュビルには、ジム・クロー法という人種差別法があり、黒人は差別されていた。だが、1950年代の後半に公共図書館運営委員会がすべての人種が平等に公共図書館を使えることを議決したという。

 絵本では、パトリシアがひとりで公共図書館へ行くまでの道のりで、さまざまな差別に出会う。その様子を通して、当時、黒人差別がどのように行われていたかがわかるようになっている。また、主人公のパトリシアに心をそわせて読むことで、差別される側はどんな気持ちなのか、自尊心を強く持つことの大切さを感じ取ることができる。

 アメリカの人種差別を描いた翻訳絵本を見るといつも考える。日本の子に、どのように伝わるのだろうか? 子どもたちはいったいどのくらい理解ができるだろうか?「黒人の女の子」と聞いただけでも、アメリカの子と日本の子では、受ける印象は全く違う。
 この絵本では、黒人指定席や、黒人立ち入り禁止などで、はっきりとその差別の様子を表している。だが、それが小学校中学年ぐらいの子どもたちに理解できるかは、怪しい。
 まず、物語のはじまりが、パトリシアがおしゃれをして「あの場所」へひとりで行くという、楽しげなはじまりになっているので、差別について描かれているとわかるまでに時間がかかってしまう。また、「あの場所」がどこで、パトリシアたちに希望と喜びをもたらすのかは、最後になって明かされる。そのために、「あの場所」が出てくるたびに、もやもやした落ち着かない気持ちになる。
 淡い色彩をつかっているために、黒人と白人の差が際立っていないことも、絵本をわかりにくくしているのではないかと思う。もしかしたら、人間として差がないことを絵で表したかったのかもしれないが……。

 しかしながら、絵本を読む前に、著者あとがきを参照にするなどして、子どもたちに知識をあたえれば、パトリシアの気持ちを理解して感銘をうけ、差別について、人権について、自由について、深く考えることができると思う。課題図書にはふさわしい本といえよう。

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