「三びきの子ブタ」考
南K小学校1年生のおはなし広場も、今年度はあと2回。入学したころ、ぎちぎちに緊張していた子どもたちもすっかり慣れて、元気のいいこと。
プログラム
紙をつかって コートのはなし *
絵本 だごだご ころころ (日本傑作絵本シリーズ) 再話 石黒ナミ子・梶山俊夫再話 梶山俊夫絵 福音館書店
絵本 ペネロペのはるなつあきふゆ (ペネロペおはなしえほん) アン・グッドマン文 ゲオルグ・ハレンスレーベン絵 ひがし かずこ訳 岩崎書店
おはなし 三びきの子ブタ イギリスの昔話 *
詩の朗読 金子みすず 「土」「明るいほうへ」「大漁」
にしうちさとし 「ふゆのよぞら」「ごはん」「はるはどこから」
『だごだご ころころ (日本傑作絵本シリーズ)』は、読み手がゆっくりと落ちついて読んだので、子どもたちはよくお話についていったと思う。ペネロペは人気者だ。「知っているよー」といい、ペネロペが季節を間違えるのをわいわいいいながら聞いていた。
わたしの「三びきの子ブタ」も、反応の声が大きい。まず1匹目の子ブタが食べられたところで、「ええー!?」そのあと、3ひき目の子ブタとおおかみのだましあいがはじまると一瞬静かになった。だが、すぐまた、おおかみが何かいえば「うそだよー」、子ブタがやりこめれば「あったま、いいー」。これほどの反応ははじめてだ。おはなしでは、おおかみが6時といえば子ブタは5時、5時といえば4時と先回りする。だがテキストで3回目は、おおかみの3時に対して子ブタは「時間より早くでかけ」と時間をいわない。わたしが「3時」とおおかみのセリフをいったとたん、子どもたちは指を2本出して「2時」といいだしたので、テキストを変えたいくらいだった。もしかしたら、「2時にでかけ」といってもよかったかもしれない。
おはなしが終わり、「子ブタはずっと、しあわせにくらしましたとさ」というと、子どもたちはまた、「ええーっ、あとの2ひきは?」と聞いてきた。「どうなったか、考えてね」といったが、どうも不満足らしい。はっきりと、「おおかみに食べられてしまったよ。でも、最後の子ブタは幸せになったからね」といえばよかった。そういう厳しいこともいっているお話なのだから。
このおはなしは、1ひき目、2ひき目は食べられてしまうけれど、子どもたちは、1ひき目、2ひき目、3びき目と順に感情移入していくので、最後におおかみをやっつけたところで満足できる話なのだと思う。それが、最初の2ひきが食べられたことが気になって満足できないのは、一般的に知られている「3びきの子ブタ」の影響にちがいない。つまり、子ブタの兄2ひきは、弟ブタの家に逃げて、おおかみを退治したあと幸せになるという、みんなが知っているおはなしのイメージが、しっかり頭にすりこまれているので、子ブタは3匹とも生きて幸せになると信じているのだ。「赤ずきんちゃん」や「おおかみと七ひきの子やぎ」のように、食べられた子ブタが、おなかからぽんと出てくると思ったかもしれない。
たしか、おととし1年生に語ったときも、一人の子が、他の2ひきは?と不満の声をあげた(その年の1年生はおとなしくて、他の子は黙ってきいていた)。
伝承の「3びきの子ブタ」はもはや、現代の子には向かないのだろうか? いや、だからこそ、語って伝えるべきなのだろうか? まだ先入観のできない小さいうちに語るべきなのか?(でも、あまり小さいと、かけひきの面白さが理解できない)
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