2019年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

« 正直な読み聞かせ | トップページ | 「なにかな?」系の絵本に偏りがち »

2010年8月 8日 (日)

課題図書を読む『風をつかまえて』

今年の「課題図書を読む」はこれで最後です。
全部は読みきれていないけれど、そろそろ手作り絵本の製作にかからないと間に合わないので(いや、もう間に合わないかもしれない)……。

今年はなんだか、落ち着いた時間がとれなくて、読書数も少なく、内容も薄くて申し訳ないです。

高校生の部

風をつかまえて
 高嶋哲夫著
 NHK出版

     

 過疎化が進み破綻寸前の北海道の町で、町おこしのため風車建設プロジェクトがたちあがった。仕事を請け負うことになったのは、町で唯一の鉄工所、東間鉄工所だった。不景気で従業員一人を残して解雇した、倒産すれすれの町工場で、職人気質の社長は呑んだくれ、しっかりものの娘が切り盛りしていた。
 そこへ、次男の優輝が戻ってきた。優輝は工業高校時代、暴走族でバイクをのりまわし、母親の葬式の夜に家出し、それっきり7年間不通だった。その間に造船所で働
き、技術を身につけていた。

 無謀なプロジェクトに取り組んだ、小さな町工場の物語だ。風車造りを通して、家族の再生がなされる。風車造りとともに、家族の絆、友情、主人公が、壊れては再生と、倒れては建て直し、転んでは起き上がる。彼らが成功に向かって進んでいった道のりは感動ものである。風車のしくみ、社会のしくみも書かれていて面白い。
 そのあたりは本を読んで味わってほしいが、わたしは、ふたつのことが気になった。 ひとつは、登場する女性がみなたくましい。もくもくと働いて家を支える古風な姉の知恵から、優輝の幼馴染で大学院生の知的な由紀、それに鼻にピアスをして一見ヤンキーに見えるスクラップ屋の娘の清美まで、だれひとり、男に守られるか弱い女は登場しない。それどころか、意地っ張りで、ときどき情けない男たちをなだめすかし、尻をたたき、自分の力を発揮する。男性の作家さんが書いたことを思うと、こうした力強い女性がいま望まれているのだろうかと思ったりする。
 もうひとつは、学問の大切さを説いていることだ。学歴がどうのこうのというのではない。もちろん工業高校を卒業しただけの優輝は、学歴にコンプレックスを抱きもする。しかし持ち前のセンスと頭脳と大変な努力で、学びなおす。そして理解のできないところは専門家に聞き、またゆだねるという形で、学問を現場に生かしていく。それこそ生きた学問だ。学生時代、退屈に思える学問が、こうして実際に使われている様が描かれているのは、いま学んでいる若い人たちにとってとても意義があるだろう。

 とろこで、北海道には風車はたくさんあるが、この物語はまったくのフィクション。舞台となっている内知町も実在しないみたいだから、お間違えなく(って、間違えるのはわたしだけか)。

« 正直な読み聞かせ | トップページ | 「なにかな?」系の絵本に偏りがち »

児童読みもの」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 課題図書を読む『風をつかまえて』:

« 正直な読み聞かせ | トップページ | 「なにかな?」系の絵本に偏りがち »

Amazonアソシエイト

  • 野はら花文庫は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。
  • Amazon、Amazon.co.jpおよびAmazon.co.jpロゴは、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。

NetGalley 本の応援団

  • グッドレビュアー
  • プロフェッショナルな読者