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2010年7月11日 (日)

課題図書を読む『こぶとりたろう』

中高学年の部の課題図書

こぶとりたろう
 たかどのほうこ文
 杉浦範茂絵
 童心社

     

 ちょん子のおにいちゃんのたろうは、おかあさんに、勉強ができないのは頭が固いせいだといって、「やわらかくなあれ、ちちんぷいぷいのぐりっ」と頭をなでられた。そのあとシャカシャカ勉強をしていると、なぜか4つこぶが出てきた。算数、国語、理科、社会のそれぞれの教科を勉強するたびに、ひとつずつ決まったこぶがぴくぴく動いて、なんでもすぐ覚えられる。勉強がよくできても、こぶがあるなんてかっこ悪くていやだ! たろうとちょん子は、昔話の「こぶじいさま」のように、鬼にこぶをとってもらうことにした――。

 なんとまあ楽しい。もし勉強のこぶができたらという想像を、ふざけてどんどんふくらました、毒のないうそっこばなしだ。学校の4教科など、小学生の生活に密着しているから、子どもたちには余計に楽しいだろう。しっかりものの妹ちょんこが、おろおろする兄をひっぱっていくところも、子どもたちの生活になじんでいて愉快だ。
 ストーリーはよく知られた昔話を基にしている。先がすこし想像できて、そのとおりになったりならなかったり。そのバランスが心地よい。絵は想像の手助けをして、ぷっと吹き出したくなる楽しい情景を思い浮かべさせてくれる。
 おはなしは楽しむもの。それに徹した作品と思える。15分くらいあれば読み聞かせもできるし、子どもが自分でも読みやすいだろう。でも、そのあとに感想文を書けというのは、ちょっと酷かもしれない。だって面白すぎる。わははと笑ってその楽しさを心に残したい。

 ところで「こぶじいさま」を知らない子には、面白さが半減してしまうから、前もって教えてあげたほうがいい。その場合、この本にそってお話を教えてあげるようにしたい。絵本のうしろに<本文中の「こぶとりじいさん」の文章表現は、「こぶじいさま」(松井直・再話 赤羽末吉・画 福音館書店刊)にもとづいたものです。>と書いてある。でも福音館書店の『こぶじいさま』を読んではいけない(いい作品だけれど、この場合はね)。文章表現は同じだが、基にしている昔話の内容が少し異なっているので、子どもたちが混乱する。このあたり、もう少し作り手側の配慮がほしかった。

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