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2010年7月25日 (日)

課題図書を読む ビーバー族のしるし

 息子の部活(サッカー)の中体連が昨日終わった。3年生が7名しかいない弱小チームで、地区大会まで進出したのは立派。最終試合は、優勝するに決まっている強豪チームとの戦い。多くのチームが2桁の点をとられたなか、5-0でおさめた彼らに感動だ。

 さて、課題図書。部活保護者役員の最後の仕事に追われて、なかなか進まない。課題本を私が借りてちゃいけないとあせっている。

中学校の部

ビーバー族のしるし

     

 エリザベス・ジョージア・スピア文
 こだまともこ訳
 沢田としき装画・カット
 あすなろ書房

 1768年の春、マットは父さんといっしょに、メイン地方の森にやってきた。新しい居住地の最初の住人になるのだ。母さんと妹は、マサチューセッツ州のクィンシーの家に残してきた。まず、マットと父さんが土地を切り開き、丸太小屋を建てて、トウモロコシを植える。そして夏になったら父さんがクィンシーに戻り、母さんと妹、それから生まれてくる赤ん坊をつれて戻ってくることになっていた。そのあいだ、マットがひとりで小屋を守り、トウモロコシの世話をする。
 マットは誕生日がきてもまだ13歳。父さんが戻ってくるまでには6、7週間あった。

 このあと、マットは危機にを陥ったところを、インディアン、ビーバー族の族長と孫のエイティアンに救われる。それからマットとエイティアンの交流がはじまった。

 学校で教わった米国史が、白人の観点によるものだと聞いたことがある。コロンブスは新大陸を発見したというけれど、彼の発見の前からインディアンたちはその大陸に住んでいた。そして、西部への開拓はインディアンの追放であり侵略だ。

 作者は、米国開拓の歴史の一部分を、開拓者の息子の冒険と、彼とインディアンの少年の友情の物語にしてあらわした。そして、歴史的事実を公正に見る目をそっと差し出している。

 もしマットがひとりではなく家族と暮らしていたら、こうしたインディアンとの交流はできなかっただろう。またすでに開拓地の町ができていたら、インディアンと敵対していたかもしれない。
 未開の森にたったひとり、無防備でいたから、マットは素直にインディアンたちのやり方、文化・風習を素直に受け入れ、惹かれて敬うことができただろう。森のサバイバル生活をするにはインディアンの方法に頼らないではいられない弱者の立場であるから謙虚になれる。そして自然を開拓して征服していこうとする自分たちの傲慢さに気づいていく。聖書の他に1冊だけ持っていた本「ロビンソン・クルーソー」をエイティアンに読んできかせながら、そこに流れる都合主義や独善を感じとったりもする。
 人間が自然を支配するのではなく、人間も自然のなかの一部にすぎないと考え、そのようにインディアンたちは生きている。私たち読むものは、マットとともに、インディアンたちの崇高な精神に触れ、彼らの知恵に感心しないではいられない。

 ラストはいかにも切ない。表面的には希望と喜びに満ちあふれている。でも心の奥底には、やりきれなさの小さな固い塊が残る。ラストの情景が、米国開拓の歴史を象徴している。

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