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課題図書を読む『とっておきの詩』

小学生低学年の部

 2002年、毎日新聞「小さな童話大賞」俵万智賞を受賞した作品を加筆修正した作品。
 わたしは受賞作を、朗読をしている方に読んでいただいたことがあり、なんて、おもしろい作品だろう。と思っていた。作者の村上しいこさんとは、それから少しして『れいぞうこのなつやすみ』で再会。常識破りの発想と、おもしろさ重視のストーリー展開にすっかりとりこになった。
 そこで、受賞作の「とっておきの『し』」が、『とっておきの詩』として製本出版され、しかも課題図書になったと知り、嬉しく思った。

とっておきの詩 (とっておきのどうわ)

 村上しいこ文
 市居みか絵
 PHP研究所

     

 つよしは小学2年生。冬休みに詩の宿題がでて、冬休みはあと3日しかないのに書けていない。かあちゃんのことを詩にして、ばんごはんのあと読んで聞かせたら、かあちゃんがかんかんにおこった。とうちゃんとばあちゃんは結構喜んでいたけれど。
 ヒントを探すために夏の文集をみたら、ほそいみさきの「せみ」という詩が一番よかった。あのとき担任の先生はベタホメだった。先生はみさきをひいきにしている。「先生を喜ばせるツボがあって。みさきちゃんはわかってるんや」とかあちゃんはいう。
 次の日も、かあちゃんと商店街に買い物にいったときのことを詩に書いて、ばんごはんのあと読んで聞かせたら、とうちゃんがほめてくれただけだったのでボツ。
 とうとう最後の日、父ちゃんの車で電気屋へ行く途中で、黒雲の間に青空がのぞいていた。「春みたいな色しとる」「冬のくせになまいきやー」というと、とうちゃんが今のを詩に書いたらという。その詩は……。

 関西弁で書かれている。だからあらすじも関西弁で書くといいのだが、わたしが書くと「もどき」になってしまうので、標準語で。標準語だと面白さが1割ぐらいダウンするのが悲しい。
 
 詩も関西弁だ。それがまためちゃくちゃに面白いから楽しんでほしい。素朴な言葉で事実を書いて、痛いところをついている。そりゃ、かあちゃん怒るよ。でも、真実をぱしっといいあてるのが詩だよなと思う。
 一方で優等生の「ほそいみさき」の詩も関西弁で、本質をいいあてているのだけれど、きれいにまとめている。だから、先生のお気に入りになるのだ。二人の詩の対比が、受賞作のほうがもっと際立っていたし思うのだけれど、気のせいだろうか。

 また受賞作では弟もいたような気がするけれど、この作品ではひとりっこ。両親の他におばあちゃんも一緒に暮らしている。この家族がそれぞれ個性的で、からっとして楽しい。ばんごはんのあとに詩を発表できる家庭環境がいいではないか。団欒のあるうちなのだ。こういう家庭だと、子どもは安心して本音を文章にできるのかもしれない。

 読み終わって詩が無償に書きたくなる。つよしみたいなら詩ならたやすく書けるかもしれないと……。でも、なかなか。観察する目と感動する心がいるのだ。

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