最近のトラックバック

« 春になると大きくなるのかなあ | トップページ | たいへん、学年を間違えた! »

バーニンガムおじさんの新作『ひみつだから!』

バーニンガムおじさんの新作。

「子どもの本にかかわる人は、うんと大人で、うんと子どもでなくちゃいけない」清水真砂子さんが朝日新聞(2010.2.16朝刊)で紹介されて瀬田貞二さんの言葉だが、『ひみつだから!』を読んで、ジョン・バーニンガムはまさにそういう人だと改めて思った。

ひみつだから!

   ジョン・バーニンガム作
   福本友美子訳
   岩崎書店

         

 マリ-・エレインのうちにいるネコは、毎晩出かけて、朝になると帰ってくる。どこに行くのだろう?と、マリー・エレインは思っていたけれど、ある夏の夕方、ネコがおめかししてネコの出入り口のそばに立っているのを見つけた。
「どこへいくの?」
「パーテイーへ いくんだよ」「でも、どこかは いえない。ひみつだから」
「つれてって」
「ちゃんとパーティーらしくしないと」
パーティの格好をしてくると、ネコは「まあ、いいでしょう」「あとは、ちいさくなれば」というので、マリー・エレインは小さくなってネコの入り口からネコと外へ飛びだした
 そのあと、ふたりは、小さな男の子ノーマンも道連れにし(ノーマンもパーティーのよそおいだ)、恐ろしいイヌたちにみつかって追いかけられるが、危機一髪のところを逃げ切って、ひみつのパーティー会場に到着する。

 日常生活ではじまる物語が、するりとファンタジーの世界にはいり、すぐに、はらはらどきどきの展開になる。そのストーリー展開は、楽しむためになんでもありで自分中心に進む、子どものごっこ遊びのようだ。そして、冒険が終わって再び日常生活にもどれば、心はあたたかな満足感に包まれている。

 絵本のファンタジーのなかで、読み手の子どもたちは嬉しくて楽しい体験をするだろう。幻想的で魅惑的なネコの夜のパーティーに迎えいれられ「とてもしんせつ」にしてもらい、ダンスをしたり、ネコたちと同じテーブルで「すばらしいごちそう」をいただいたり……バーニンガムはこうして、大人の大きな心で子どもたちをまるごと受けいれてもてなし、やさしく包みこむ。

 バーニンガム特有のほのぼのした素朴な絵は、一見して子どもが描いたようだが、実はデッサンも構図もしっかりしている。
 この作品では、さらさらっと描いた絵、濃く塗りつぶした絵、写真をあわせて使い、コラージュでドッキングもさせている。真夜中のパーティー場面や夜明け場面は、とくに使い分けが効果的で、ファンタジーの世界が生き生きと感じられる。
 そこに登場するものたちも、実に生き生きしている。そして、作家の彼らへの深い(子どもや孫への愛情のような)愛が、伝わってくる。

 バーニンガムは、自由な子どもの心で描きながら、子どもたちを大人の大きな心でやさしく包む、そんな作家なのだと思う。

     書評の達人
Tetu_bn_170_2

« 春になると大きくなるのかなあ | トップページ | たいへん、学年を間違えた! »

絵本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: バーニンガムおじさんの新作『ひみつだから!』:

« 春になると大きくなるのかなあ | トップページ | たいへん、学年を間違えた! »

2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

Amazonアソシエイト

  • 野はら花文庫は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。
  • Amazon、Amazon.co.jpおよびAmazon.co.jpロゴは、Amazon.com, Inc.またはその関連会社の商標です。
無料ブログはココログ