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課題図書を読む『春さんのスケッチブック』

夏休みまであと2週間。課題図書全作品の紹介は今年も無理そうです。

第55回青少年読書感想文全国コンクール 小学校高学年の課題図書。辛口の書評になってしまいました。

春さんのスケッチブック
 
 依田逸夫文
 藤本四郎絵
 汐文社

     

 無言館をご存知だろうか? 太平洋戦争でなくなった画家たちの遺作・遺品が展示されている長野県上野市の美術館だ。

 中学受験に失敗した小学六年生の「ぼく」ツヨシは、お父さんとけんかして家出し、大おば、春おばさんの家へ頼っていく。春おばさんの家の近くにある美術館が、この無言館だ。
 春おばさんは、一冊のスケッチブックを見せ、終戦ごろの自分の娘時代の秘密を打ち明けて、努力してもどうにもならない運命もあると教える。

 作品が伝えたいのは戦争の酷さだろう。大おばさんが小学生に自らの体験を語るという形をとって、現在の子どもたちに伝わりやすくなっている。
 だが、ツヨシが受験に失敗したという設定が必要かどうかは疑問だ。春休みにツヨシが春おばさんの家に遊びにいき話を聞くというシンプルな設定では、作者のいいたいことは伝わらなかっただろうか?
 それとも、戦時の人々と比べれば、ツヨシの抱えている無念さはなんとちっぽけなこと、贅沢いってはいけない、いまは努力すれば報われるのだからがんばりなさい、そんなことをいいたいだろうか? それにしても、親すら戦争を知らない世代の子どもたちにとって、戦争ははるか遠くの違う世界のことだ。次元が違いすぎる。ツヨシの経験と春おばさんの経験が並べて書かれていることに、わたしはとってつけたような、不自然さを感じてしまった。

 戦争は伝えていかなければならない。生きた経験者が少なくなっているいま、春おばさんのような方から話をきく意義は大きい。そして無言館は、静かに物語っている。無言館を紹介したことが、この本のいちばんの功績かもしれない。

 作者の依田さんは、38年間小学校に勤務し、読書指導をされている。『読書かんそう文のかき方 中学年向き の著書もある。
 その方の著書が課題図書になったとは、おもしろい。感想文の書きやすい物語かもしれない。

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コメント

感想文の季節ですねー!うちの息子は、数週間前、
「ねえ、中学にも感想文あるんだってさー!」と
ウンザリしたように言って来ました(笑)

で、私に本を紹介してくれと。
で、今、本を読み込んでいます。
みなさんのブログをまわっては、感想文をテーマに
本探し。これはこれで、なんか楽しい読書です。
でも、一気に数冊読んだところで、
「感想文に書きやすい本って、なんなんだろう。」
と、止まってしまいました。

うちの息子は、ランサムやルパンなどの本が好きで
でも、感想文には書けないと言います。
面白い!だけでは、3文字にしかならないんですもの。
好きな本しか読まない子にとっては、違うジャンルの
本を読むきっかけになる良いチャンス!ではあるので、
良い本を紹介できたらいいなあと思っていますが・・・

でも、感想文を書きやすい本って・・・難しいですよね。
書ける子は、ルパンでも書くだろうなーというのが、
辿りついた答えです(笑)

こももさん

こももさんの息子さんの中学校は感想文が課題なのですね。ウチは、残念なのか、幸運なのか、必須課題ではありません。先生のまとめた夏の課題問題集のほかに、科学研究でも絵でもなんでもいいから、なにかひとつテーマを決めての課題をすればいいことになっています。息子さまはもちろん、読書感想文を選ばず、今年は数学1000問題に挑戦だそうです。あまり創造的ではありませんが、昨年織田信長を調べるといって放り出し、中途半端に終わったので、こういう実践的で具体的なのが息子には合っているかもと思っています。

読書感想文の書きやすい本、うーーーむですね。テーマがはっきりしているとか、共感しやすいとか、ではないでしょうか。知らないことがいっぱいのノンフィクションなんていうのもいいかもしれません。と、人のことだから、いい加減なことをいってしまいますが……。健闘をお祈りします。

愛する本への思いは、言葉にしたくないかもしれませんね。本との個人的なつながりですもの。

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