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課題図書を読む『時間をまきもどせ!』

 第55回青少年読書感想文全国コンクール 中学生の課題図書。

 面白いから、感想文は書かなくても、お薦め。

 あのとき、こうしていさえいればという瞬間がある。その時点に戻れてやり直せたらどんなにいい。だが、時間がもどって何かを変えたら、そこからまた新しい未知の未来がはじまる。物事は連鎖的にながっている。それを擬似体験させてくれるのがこの作品だ。

時間をまきもどせ!
  ナンシー・エチメンディ作 吉上恭太訳 杉田比呂美絵
  徳間書店

      

 ギブはその日ついていなかった。学校でも家でも。気分転回にギブは夕暮れ時に森へ散歩に行き、奇妙な老人に話しかけられる。老人なぜかギブの名前を知っていて、どんな間違いでもやり直せるという小さな機械「パワー・オブ・アン」を渡す。それには液晶画面らしきものがあり、黄、青、緑のボタン、赤いオーダーボタン、1から9の数字ボタンがついている。老人は使い方を教える前に、もう時間がないといって夜闇のなかへ消えた。その帰り道、ギブは「パワー・オブ・アン」を落とし、なくしてしまう。
 それから、妹のロキシー、友人のアッシュと移動遊園地にいったギブに、恐ろしい出来事が起きる。「パワー・オブ・アン」で、元に戻れたら……。

 物語の始まりは、ついていない一日の様子、家庭の様子がギブの話し口調で細々と語られ、やや退屈だ。だが、ギブたちが移動遊園地についてから俄然面白くなり、細々と語られた始まりの部分が生きてくる。読むものは、主人公ギブと同様に、この先どうなるかわからないギブたちの未来を知りたくて、ページを繰って一気に読み終えるだろう。
 その後で、じっくり作品を振り返ると、いろいろ疑問がでてくる。もしあのとき、ギブが違う行動に出たら、いったいどうなったか、謎の老人は……など、思考は堂々めぐりする。

「パワー・オブ・アン」で過去をやり直しても、その先どうなるかはわからない。わたしたちは、つねにいくつもの可能性を持った瞬間、瞬間を生きているのだ。かわりばえのしない退屈な毎日を送っていると思っていても、実は、スリリングな今を生きている。未来を決めるのは今だ、今このときを大切に。
 

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