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続刊が待ち切れない「ステフィとネッリの物語」

 とてもいいと聴いていて、ずっと読みたいと思っていた、ステフとネッリのシリーズ、年末に1巻目を読み、すぐにも次が読みたかったのに我市の図書館になかったので、リクエストして隣市から借りていただいて、昨日読了した。

海の島―ステフィとネッリの物語
睡蓮の池―ステフィとネッリの物語

  アニカ・トール作 菱木晃子訳 新宿書房

         

1939年の夏、12歳のステフィと7歳のネッリの姉妹は、ウィーンからスウェーデンにやってきた。ふたりは裕福なユダヤ人家庭の子だったが、オーストリアがドイツに併合され、ユダヤ人に危険が迫ってきたため、両親が子どもたちを逃がしたのだ。当時ウェーデン政府はドイツ、オーストリアに暮らす、ユダヤ人の子どもを500人受け入れ、一般市民から募集した里親にあずけた。 

 1巻目『海の家』では、姉妹が里親との暮らしに慣れるまでの1年間が、2巻目『睡蓮の池』では、翌年、女子中学に入学した姉のステフィが、島をはなれて下宿し、学校に通う1年間が、ステフィを中心に描かれる。

 物語の背景には、ユダヤ人の追放、虐待といった痛ましい歴史がある。両親からの手紙や、人々の暮らしや言葉を通して、ユダヤ人が少しずつ追い詰められていく様子が、ひしひしと伝わってくる。

 だが、本を読むわたしの心をひきつけてやまなかったのは、ステフィの目を通して描かれる、周りの人々の多様でリアリティあふれる人間像と、その人たちとの関係で揺れ動くステフィの繊細で複雑な心情だ。

 ステフィは、スウェーデンで学校へ行き、勉強し、恋をし、その年頃の子と同じような普通の暮らしをしている。思春期にはいっているステフィは、ときに思いと行動がばらばらになる。現実を見違えたり、自分の本当の気持ちがわからなくなったり、自分でもびっくりするような行動をとったりもする。こうした心と体の波は誰もが経験することだ。ステフィの場合は、そのおかれた立場が絡んでさらに複雑で、揺れ幅が大きく、いっそう読むものの心を揺さぶる。

 里親メルタ、夫のエヴェルトは、「赤毛のアン」のマリラ、マシューを思いださせる。1巻では、ステフィが次第にメルタを理解し、メルタとの関係を強くしていくのが感動的だ。
 2巻のスヴェンとの恋は、まさに初恋の初々しさにあふれ、胸がきゅんとなる。尊敬するパパの考えにはじめて疑問を持つなど、ステフィが精神的に親から自立していく姿も描かれている。

 ところで、ステフィは、女中の仕事や下働きをいやしいと感じる。裕福な家庭で育ったステフィには、有産階級の優越意識があるのだ。
 それぞれの立場、育ち、その性格により、人々のステフィへの態度が違うように、ステフィもまた、いや、すべての人々が、時代と育ち、環境の影響をうけざるをえない。そこから、多種多様な予想もつかない人間関係、人間模様がうまれてくる。本当に人間とは興味深い。
 あとがきによれば、このシリーズは4巻まである(菱木晃子さんのHPによれば、ただいま3巻を校正中とのこと)。ステフィが時代の波の中で、どのように変わっていくのか、楽しみだ。

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