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2008年6月21日 (土)

課題図書を読む『曲芸師ハリドン』

中学生の課題図書。菱木晃子さんが訳者ときいただけで、期待が高まる。

曲芸師ハリドン
 ヤコブ・ヴェゲリウス作 
 菱木晃子訳
 あすなろ出版

      

 ハリドンは一輪車に乗って芸をする街頭曲芸師だ。醜く不気味な顔をしていたが、芸をしているときは誰もが芸だけをみてくれるのを知っていた。
 曲芸を終え、家に帰れば「船長」が夕飯をつくって待っている。いつもは……。だが、その日、家に船長はいなかった。夜中になっても帰ってこない。ハリドンは、一輪車に乗って船長をさがしにでかけた。

 逃げても逃げてもだれかに追いかけられる夢を見たことがあるだろうか。何かをさがして見つかったと思ったらちがっていて、またさがし、見つかったと思ったらまた違うという夢をみたことがあるだろうか。エンドレスに繰り返される不気味な夢だ。
 この作品は、そんな夢に似ている。小さな希望、落胆、不安、恐怖が、これでもか、これでもかと繰り返される。小さな者、弱い者への人々の蔑視があり、もっとも小さくて弱いハリドンは人々の悲しみや苦悩のはけ口にされている気がして、読んでいて、とても辛かった。

 物語が終わってみれば、一連の出来事はいったいなんだったのだろうと思わずにいられない。幼い頃から辛い目に合わされて、裏切られてきたハリドンは、つねに不安に追われているから、こんな目に合ったのだろうか。この体験と、新しい友をみつけたことで、心のよりどころが増えただろうか。と。

 人々の悲しみを含んだ作品だ。これから晴れやかな人生がはじまる中学生には、ちょっぴりきつくないかというのが、正直な感想である。

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