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課題図書を読んでみる『かわいいこねこをもらってください』

図書館の司書さんたちが中心の児童図書館研究会に今年度からいれてもらった。5月6月の定例会では青少年読書感想文の課題図書を読みあうことになっている(といっても5月は都合で参加できなくて残念)。そこで、6月の定例会までに読めるだけ読もうと考えている。

まずは、小学校低学年『かわいいこねこをもらってください (ポプラちいさなおはなし 12)』から。
  なりゆきわかこ 作
  垂石 眞子 絵
  ポプラ社 

            

表紙のこねこちゃんがかわいい。この表紙の絵は、本文中でも白黒の挿絵で登場する。
このこねこちゃんは捨て猫。主人公の女の子ちいちゃんが学校の帰り道でダンボールに捨てられているのを発見して、家に持ち帰る。でもアパート住まいのちいちゃんの家では飼えない。そこで、お母さんのお友だちがパソコンでつくってくれたのが、この表紙絵のポスターなのだ(『7日だけのローリー』(片山健作 学習研究社)も同じようにパソコンでポスターをつくっていた。そういう時代だなあ)。

ちいちゃんの家は父親がいないので、ちいちゃんはお母さんを悲しませたくなくて、お金のことでも、生活のことでも、いろいろと我慢している。今度も、こねこをどうしても飼いたいといって駄々をこねたりしないで、懸命に貰い手探しをする。そのあいだ、こねこがどんどんかわいくなり、飼いたいという気持ちもますます膨らんでいく。学校で辛いことを経験しながらもがんばるが、とうとうちいちゃんの我慢がいっぱいいっぱいになって……。
お母さんを思いやって自分をおさえているちいちゃんが、とてもけなげでかわいそうだ。

ちいちゃんの境遇と気持ちに焦点をあてれば湿っぽくなるのを、すくっているのがこねこのかわいらしさだ。こねこがちいちゃんになついていく様子は心温まる。同時に、こねこに慕われるうれしさとこねこを飼えないつらさで、ちいちゃんの気持ちはいっそう複雑になるから、さらに、ちいちゃんがかわいそうにもなる。それでも、ちいちゃんとこねことがふれあう場面では、心和まずにいられない。読むものは、ちいちちゃんと同じ複雑な思いをあじわう。こねこがかわいいから、ちいちゃんも、あんなにがんばれたのだ。
挿絵のこねこも、表情が豊かで愛くるしく、ときにはユーモラスで、読むものを楽しい気持ちにしてくれる。小さな小学生読者がちいちゃんの気持ちを実感する手助けとなるだろう。

大人読者として素敵だと思うのは、お母さんだ。生活は苦しいし、自分の子どもの望みを十分にかなえてあげられないつらさもある。どうしていいかわからず「ダメ!」と強く子どもをしかりつけてしまったり、逆に自分と子どもを哀れんだりしがちだ。だが、このお母さんは、子どもの気持ちをまず理解し、できることをしようと前向きだ。現実にはなかなかこうはできないが、理想的なお母さんの姿として、心にとめておきたい。

     書評の達人
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