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ラストの60ページが……

旅行の前に読みはじめたのだが、クライマックスで時間切れ。図書館で借りた本なので、ぐっと我慢して、家で留守番させて、帰ってきてから読んだ本。

マハラジャのルビー』東京創元社
 フィリップ・プルマン作
 山田順子訳

 舞台は1872年のロンドン。16歳のレディが、ロンドン金融街にある海運業社の前で馬車からおりた。15分後、彼女は、ひとりの男を殺すことになる。

 すばらしく劇的なはじまりだ。波乱に満ちた冒険物語がはじまる予感に胸躍らせて読みすすめば、期待に違うことなく、つぎつぎと謎が生まれ、事件が起きていく。

 赤ん坊のころ母親と死にわかれていた主人公のサリーは、父親を船の事故で3か月前に亡くしている。一人ぼっちの身の上になったところに、謎めいた手紙がとどき、身の危険にさらされる。だが、父親に男の子と同じように育てられたサリーは、おびえるだけの、か弱い女性ではない。自分で考え勇気を持って行動する、現代的な(この物語の時代にあっては先駆的な)魅力あふれるヒロインだ。

 ヒロインは、なぞめいた恐ろしい老婆につけ狙われるのだが、危いところでタイミングよく、脇役たちが現れて助ける。この脇役たちの活躍が目覚しい。彼らもまた、人間味ある魅力的な者、つまりは変わり者たちなのだが、あっというまにヒロイン、サリーの友になる。彼らの会話場面は、ストーリーから脇道へそれるが、心豊かで心地よく、ユーモアがあって楽しく、ロマンスのほのかな兆しもあり、もうひとつの読みどころだろう。

 さて、ラスト約60ページ――謎がいよいよ一気に明かされるところで、私は旅行にでた。3日間じれたあと、再び本を開き、一気に読んだのだが、あれれ? よくわからなくなってしまった。3日間で記憶が薄れたせいか、読解力のせいか。何度も前に戻って読み返しようやく整理できたのだが、うーん、ちょっぴり拍子抜けだった。サリーの父親と知り合いたちの、過去の行動の動機も、いまひとつ弱い気がする。

 だが、それまでの波乱万丈の冒険、謎ときのおもしろさ、登場人物の魅力、友人たちが交流する心地よさは、ラストの拍子抜けを圧倒的に上回るから、許せてしまう。

 このサリーと変わり者の友人たちの物語は、あと3作続いて完結するという。ぜひ、続けて読んで、わくわくどきどき感をまた体験したいものだ。

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