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2007年6月26日 (火)

昔話絵本を考える

グリム童話 あいててて!」評論社
 ナタリー・バビット再話 フレッド・マルチェリーノ絵 せなあいこ訳 

表紙にはタイトルがなくて、再話者と画家の名前が天と地に並んでいる。タイトルは裏表紙に「あいててて!」と頭をおさえている悪魔の横顔の絵とともに書かれている。しゃれた装丁だ。
わたしが、絵本を手にしたのは再話者が、『時をさまようタック』の作者ナタリー・バビットだったから。
「あいててて!」なんていうグリムの昔話あったっけ?と思いながら読むと、ストーリーは、「三本の金髪をもった悪魔」だった。原書のタイトルはそのまま "OUCH!" なんとまあ、大胆かつユーモラスなタイトルだろう。
遠近法をもちいた絵が奥行きがあり、美しくて、魅せられた。主人公、王様、悪魔、地獄のおばあとん、どろぼうたち、それにロバにまで、それぞれに性格や気持ちをしっかりとあらわす表情があって楽しい。また、たとえば「なんせ……からね」とか。「……さ。」といった、文体のせいもあるだろう。自分が今までおはなしから感じていたものより、ユーモラスで軽い印象だ。とてもおもしろかった。

ところが、昔話にある3回の繰り返しがけずってある。これは、白雪姫が、3回殺されそうになるのではなく、最後のりんごだけが描かれる再話と同じことをしたことになるだろうか。昔ばなし大学では、3回の繰り返しにリズムだけでなく、メッセージがこめられていると教わった。この作品では、はじめに3回の繰り返しをけずったために、3本の金髪を1本ずつでなく、一気に抜かなければならなくなった。こうした省略と、先に書いた、グリムの物語で読んだときと絵本で読んだときの印象のちがい、それを思うと再話絵本としては?ということになってしまうのか?
ところが、絵がとても素敵だし、読んでいて楽しいから、困ってしまう。再話としてではなく、別の作品として考えてもいいんじゃないかと思ったりもする。しかし、ほんとうのところ、どうなのか、まったくわからない。なさけないことだ。
「三本の金髪をもった悪魔」を、耳から聞いてみて、比べてみたいなあ。それからおぼえて語りたいとも思うが、ちょっと長くて、まだ自信がない。

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