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2007年5月23日 (水)

おばさんの感覚

1学期に1回の6年生の朝の読み聞かせ

 ☆絵本『ねむる』長新太/作 文溪堂
 ☆絵本『人がねむる動物がねむる』(「たくさんのふしぎ」2000.02)井上昌次郎/文 横山 三菜七子/絵 福音館書店 
 ☆おはなし「寝太郎」(『日本の昔話1』より) おざわとしお/再話 福音館書店
 ☆本の紹介『母からの伝言-刺しゅう画に込めた思い-』エスター・ニセンタール・クリニッツ/作 バニース・スタインハート/作 片岡しのぶ/訳 光村教育図書

この春、大好きなおはなし『寝太郎』をおぼえて、小6の息子に語ったところ、「だますのがいや」といって、喜んでもらえなかった。わたしが「お母さんはおもしろくてたまらないけれど」というと「それ、完璧におばさんの感覚だよ」という。わたしが家でしつこく、そして気持ちよく練習しているとしていると、息子はそのつど、「長者はなんでだまされるのか」などと、文句をいってくる。気にいらないらしい。でも、それはおはなしが気になっている証拠。それにわたしは聞くのも語るのも好きだから、子どもたちに語りたくてしかたがない。そこでできたのが上の3つまでの「ねむり」をテーマにしたプログラムだ。

今年度は息子のクラスには入らないことに決めたので、隣のクラスに入った。

『ねむる』は意外に反応がいい。これも息子に「こどもをなめんなよー」と極評されたのだが……。担任の先生が笑ってくださったので、子どもたちもつられたのかもしれないと思う。『人がねむる動物がねむる』は、ねむると傷ついた大脳のニューロンなどが修復されるし、成長もおこるといったことを書いている。まじめにきいてくれた(当たり前か)。そして、いよいよ「寝太郎」。それはそれは、むずかしい顔をして聞いてくれた。最後まで。あー、やはりおもしろくなかったのかもしない。
もしかして、その前に『人がねむる動物がねむる』を読んで、むずかしいおはなしだと思わせてしまったのかもしれない。順序を逆にすればよかったと反省する。それとも、やはりおばさんの感覚だからだろうか。

さて、本の紹介をした『母からの伝言』は、ポーランドで生まれ育ったユダヤ人少女のホロコースト体験を布と刺しゅうで表した絵本だ。ポーランドでホロコーストを生き延びた彼女が戦後、アメリカへ渡り、母となり、老齢になってからこの刺繍画を長い年月をかけて制作して娘たちに遺した。それを、人々に伝えようと、娘たちが絵本にしたのだ。
色鮮やかで丹念な針仕事がしてあり、たいへん美しいのだが、残酷な出来事もきっちり画に描いている。しかし文章は淡々と事実を述べているので、読むものは、起きたことをしっかり理解し、少女に感情移入して不安や恐怖や苦しみを感じられる。さらに読み返していけば、いろいろな立場にいた周りの人々へも思いがふくらむ。

ぜひとも子どもたちに読んでほしい。でも、朝の10分で読むのはとても無理。それに朝から読みたい本ではないだろう。こういうおはなしはまだ耐えられないという子もいるだろう。というので、好きに読めるようにワーク(教室の外の広い作業スペース。うちの学校は教室の横に廊下はないのだ)の本棚においてもらった。読んでもらえるといいなあ。

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コメント

う~ん、難しいと思ったのかな?六年生という年齢がそうさせるのでしょうかね~。
今日のプログラムは知らない本が多いので、探してみたいと思いました。いつも参考になります。
『母からの伝言』興味を持った子が手に取ってくれるといいですね。一人でも多くの子に本を手渡していけたらと、思います。

ふみにゃんさん

うそはいけないと教わっている子たちには、価値観がひっくりかえって、どう反応していいか惑ったのかもしれません。でも、いつか、ああこんな話もあったと思い出してくれたらうれしいです。

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