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ベーグル・チームの作戦

息子の春休み用に、そろそろこの本はどうかなと借りてきた。息子はあまり嬉しそうでない。強く薦める前に再読し、わたしにこそ必要な本だとわかった。

ベーグル・チームの作戦』 岩波少年文庫
 E・L・カニグズバーグ作
 松永ふみ子訳

 ぼく、マークはバーミツバ(ユダヤ人の成人式)をひかえた12歳の少年だ。兄のスペンサーはもう大学生で、精神的に親離れしようとし、ママを悲しませている。そんなママが、突然、ぼくのリトルリーグのチームの監督に立候補して就任。しかも、コーチをスペンサーにした。ママが監督で、兄さんがコーチ!! おかげてぼくは、自分もふくめてチームの知らなくてもいいことまで知るはめになるし(聞こえてしまうし、いや、聞き耳を立ててしまうし)、練習はやりにくしいし……。

 12歳は、子ども時代に別れをつげる時期がせまっている。それまで、無邪気に自分を世界の真ん中においていた世界が、外から見えるようになってくる。自分が、他人の目からみたらどう映るか、気になってくる。そして、自分を守るために、こうでありたい自分や、周りから求められる自分を演じたりもする。内と外の境がはっきりしてくるのだ。
 ところが、マークにとってまだ内の存在であるママと兄さんが、外にもいることになってしまった。マークはママと兄の会話に聞き耳をたて、外からの自分の評価、家族からの評価を知る。また、逆にママと兄さんを家族としてだけでなく、客観的に評価したりする。
 内にも外にも家族がいて、マークはさぞかし息ぐるしかろう。でも、マークは、チームのグラウンドでないところで草野球をしたりして、ちゃんと息抜きする。そして、ママは、マークの空間をそっとしておく。
 このママの息子との関わり方こそ、わたしが学びたいことだ。物語には、ママとちがうタイプのママが登場する。過保護なママ、教育熱心で隠し事をしないママ。けれど、母と子の関係は、まるごと保護でもなく、さっぱりつき放すでもなく、また、べったり同体でもなく、きっぱり他人でもなく、ほどほどがいい。互いのスペースを大切にし、それでも、他人同士とはちがう肉親の情でつながっている。そんなさじ加減が、マークのママはとてもいいのだ。

 自意識が発達して来たマークの心理は、見事に書き表されている。それがあまりにリアルすぎて、同年代の子どもたちのなかには、読むのが気恥ずかしいかもしれない。親に薦められて読むなんて、もってのほかだ。この本は、むしろ、扱いにくくなった子どもに戸惑う親に読んでほしいと思う。

 さらに、スポ少の保護者会役員となったわたしには、ママの勝負への考え方も、ためになった。まあ、ほどほどに遊ばせてもらえばいいぐらいに考えていたのだが、せっかくスポ少へはいったのだから、強くなる、うまくなる。そしてチームとして勝つ。そんなことを目指してみるのもいいかもしれない。でも、息子は息子のやり方があるから、口を出しすぎいように。この本を、1年間、スポ少活動のバイブルにしようかしら。

 

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児童読みもの」カテゴリの記事

コメント

お久しぶりです。
カニグズバーグ、「13歳大人説」にはかかせませんね。
私はまだリアルには感じられないけど(つばめは6歳なので)、この世界感に触れておくことは大事だなと思っています。
私も児童書にはまっていますが、「これは大人が読むべきよ!!」と思うことが多くて、育児と育自に大変役にたちます。そらこさんは本当にたくさん読んでおられるので、ブログに遊びにくるのが楽しみです。私もじゃんじゃん読みたいところですが、なんせ時間が・・・。そらこさんはいつ読まれてますか?やっぱり夜・

ふみにゃんさん

うちの息子は、今度の誕生日で12歳。子ども時代が終わりに近づいているでしょうか。息子を見ていとると、3、4年生。5、6年生と、段階をおって、あ、変わったなと思えます。このごろはとても、友だちの目が気になるようです。子どもの成長は、うれしいけれど、親としては、もうちょっと子どもでいてほしいと思います。つばめくんも、小学校へ入ったら、あっという間ですよ。
児童書では、成長がテーマにあったりするので、読んでいると、自分も成長できる気がして、元気がもらえるってこともあります。
夜は、わたしはぜんぜんだめなので、読むのはたいてい朝か、時間の空いた昼間です。わたしも、もっと読む時間がほしい~。

そらこさん、こんにちは。うちも思春期真っ只中の上の娘ともめることが多く、親も子も葛藤中ですが、きっと子には子の思いや言い分があるんでしょうね。
カニグズバーグの作品は、まだまだ読んでいないものもあるので、ぜひこの作品を、今の時期に読んでみようと思います!
ご紹介、ありがとうございます。

フラニーさん

ぜひ読んでください。娘さんだと、いっしょに読めるかもしれませんね。

うちの息子は、まだまだ、世界のど真ん中。
でも、今までなら起こりえなかった問題も、少しずつながら持って帰ってくるようになりました。何か注意したときに起こす癇癪も、今までとは違うような気がします。
恥ずかしながら、その度に、言われようのない不安に襲われているんですよ。そのうち、手に負えなくなる日がくるんじゃないかなって。駄目ですね。
「お互いのペースを大切にしながらも、繋がっている」そういう関係でいたいけれど、過保護な私は、なかなかそうもいかず・・・
是非読んでみたい一冊です。

こももさん

注意したときの癇癪はうちもときどき起きます。このごろは昨年よりへったかも。でも、そういうのって、子どもが順調に成長している証だと聞いたことがあります。自分ができている証拠ですよ。
うちも、友だちとの関係などで、つらいことを体験しているようです。ひとりっこなので、つい手が回りすぎちゃって、できるだけだまって見守ろうと思っています。そして、向こうから話してきたときは、ちゃんと聞いてうなずいてやることですよね。
だまっているの、つらいわ~。

読みました!とても、とても面白かった!!
12歳の頃の目線で読んだり、親の目線で読んだり・・・
楽しい一冊でした。
私も、こんな母親になれたらいいな。
追伸:カニズバーグの他の作品も、是非、読んでみたくなりました。

こももさん

マークのママ、いいですよね。
カニグズバーグの作品は、どれも知的でおもしろいです。魅力的な大人も出てきますし。
わたしはカニグズバーグの作品を、清水真砂子さんの『こどもの本のまなざし』とあわせて読みました。また、読みなおしたくなります。

続けて読んだ「バッテリー」と、同じ少年野球の物語だけれど、視点や描き方がまったくちがうのもまたおもしろいです。

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