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2007年4月23日 (月)

バッテリー

ふぅーっ。本日 4:45PM  全巻、読み終わる。ただ、ただ、ため息。

それにしても、こういう終わり方ってないんじゃない? ひどい~っとひとりごちながら、でも、この先が書かれていたら、胸がつぶれてしまうかもしれないと思う。それほど、真剣に物語に入りこんでしまった。

実は、1巻目だけずいぶん前に読んでいて、そのまま、映画を先に観てしまったので、ラストは知っていた。それでも、やっぱり張り詰めて読み、ううーんとうならされてしまう。なんとも吸引力のある作品だ。

バッテリーI~VI』 あさのあつこ作 角川文庫

主人公の天才投手、原田巧は、中学入学直前に、祖父の暮らす新田市へ引っ越してきた。春休みにキャッチャーの永田豪と知り合い、そろって新田東中学の野球部へはいる。そして、天才バッター門脇がいて全国大会ベスト4に入った、隣の市の横手ニ中野球部と対戦していく。
物語は、春休みから春休みまでほぼ1年間。巧を中心に、野球少年たちと、彼らをとりまく大人たちの機微を追っていく。その追い方が、とても丁寧で濃厚だ。主人公と主要人物だけでなく、脇役まで(いや、主要人物がたくさんいるといったほうがいいかもしれない)、会話とそれぞれの心の声が書きこまれているのだが、登場人物は、だれもが、みなぐちゃぐちゃ考えている。
読んでいるうちにわたしは、その人物が、いい性格なのか悪い性格なのか、わからなくなった。そして、考えた。ひとりひとりが違っていて、そのひとりひとりが、いろいろな面をもっている。人にはいいとか悪いとかないのだ、と。
おそらく作者は、登場人物のひとりひとりを人間として愛し、尊んでいる。だからこそ、登場人物がこんなにもいきいきと生き、読み手に、夢中でページを繰らせのだ。

彼らのその後を書いた『ラストイニング』が、いま手元にある。『バッテリーVI』のラストの あと、どうなったのか、この本には書かれているのだろうか? 読みたくてたまらないのだが、その一方でこわくてたまらない。一晩、待とう。

さて、映画版の方は、原作とちょっと違っていた。家族のつながり(とくに母子関係、母親役が天海祐希だから)が、脚色してあって、原作と比べてずいぶん重要視されていたし、巧の弟の青波以外は、登場人物のイメージにずれがあった。でも、はじめに映画を観たわたしは、何もかもわすれて楽しめたから、観終わって、「ああ、おもしろかった」と満足のため息をついた。するとすでに全巻読んでいた息子が、隣の席でぼそっと、「本の方がずっとおもしろい」。
それから、わたしも本を読んで、うん、確かに本の方がずっとおもしろいと思った。もしかしたら、本を読んでからだと、映画は満足できなかったかもしれない。
『エラゴン』と同じく、この作品も、映画を観るなら、原作より前に観た方がいいように思うのだが、人によりそれぞれかな?

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コメント

 全巻読破、おめでとうございます。
 実はわたしは1巻しか読まずに映画観ました〜。
 わたしとしては、母親と祖父の親子関係がほとんど描かれてないのがちょっと不満だったかな。なぜ母親が野球を嫌うのか、とか。2巻以降を読んでないので、それ以外の部分がどれほど映画で描ききれてたのかはわかりませんけど。
 まあ、映画は映画としてみれば、とてもおもしろかったです。

おお、ぎねびあさんもご覧になられましたか。1巻だけ読んでから――わたしといっしょです。映画では母親と巧の関係が、テーマのひとつになっていたように思いますが、本ではそれほどではありません。母親像もちょっと違います。祖父と母の親子関係は、本でもさらりと書いてあるだけですね。祖父と巧の関係も、ちょっと異なりますし……。本では、家庭よりむしろ、少年たちの関係の方に重点が置かれています。
あーだこーだと悩むところが多いので、映像化して見所をつくるには、ああした脚色が必要なんだろうなと思います。でも、登場人物の性格をほぼ的確にとらえていたと思いますよ。

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