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ひなぎくの冠をかぶって

小さな本の中に、人のやさしさ、あたたかさがぎゅっとつまった、心の琴線にふれる珠玉作品。2004年オーストラリア児童図書賞Young Reader オナーブックとのこと。

ひなぎくの冠をかぶって』 くもん出版
 グレンダ・ミラー作
 伏見操訳
 板垣しゅん画 

 グリフィンははじめて学校へ行った。いままで家でお母さんが、グリフィンと5人の姉さんたちに勉強を教えてくれていたけれど、お母さんが家にいなくなったから学校へいかなくてはならなくなったのだ。クラスの子は、五人の姉さんがいるグリフィンを赤んぼよばわりしてからかった。グリフィンはいった「ぼくは赤んぼうじゃない」「もうすぐお母さんが、妹を連れてもどってくるんだ」。学校の一日目は散々だった。
 でも、いいこともあった。学校の帰りにひなぎくの花輪を冠にした女の子ライラと友達になったのだ。

 友だちと家族の物語、思いやりと勇気の物語だ。グリフィンとライラの心の動きを、じっくりときめ細やかに描いて、大きな感動を呼ぶ。

 グリフィンは、深い悲しみと苦悩を、心の奥底にそっと潜ませている。ライラはそれに気づいていて、それがなになのかとても気になる。でも、その心に土足で踏みこんでほじくりだすようなことはしない。グリフィンを思いやり、ただ見守るのだ。そしてグリフィンと同じ憂いをもつグリフィンの家族もまた、悲しみや苦しみもぶちまけない。言葉はなくても、たがいの気持ちはわかっていて、たがいに思いやりながら穏やかに暮らす。

 グリフィンの家では、いつも時がゆったりと静かに流れている
。子どもが生まれてもすぐに名づけない。1年かけて、その子にふさわしい名前をつける。それは、はじめから自分の思いや期待をおしつけるのではなく、ひとりひとりをその子にあわせて大切にする姿勢の表れだろう
 友だちと家族のやさしさや思いやりが、グリフィンの、つらい現実に立ち向かう勇気を育てる。そうして一歩前に進んだグリフィンが、家族にも勇気をあたえていく。

 勇気をもって進むことが、グリフィンと家族にとってどれだけ大変だったか、どれだけ必要だったか。そこまで静かに淡々と語られてくるだけにその感動は大きい。そして、言葉がなくてもわかるものを互いにかんじとる
グリフィンとライラのつながりに、人と人の心がかようことのあたたかさ、心強さを感じる。

 さて、あこがれるのは、ゆっくり生きている登場人物の心豊かさだ。気に入った答えがみつかるまで考えるのか好きなおとうさん、ごっこ遊びにさりげなく加わるおばあちゃん。彼らの心像だけでなく、まわりの景色や自然をていねいに描写する文章は、読むものに、グリフィンやライラとともにすごす、ゆったりとした時間をはこんできてくれるようだ。

 

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コメント

そらこさん、この本読まれたんですね。
わたしも、ふしみさん一押しの読み物だと言われて即求めて帰って読みふけり、知らない間に泣いていました。
>小さな本の中に、人のやさしさ、あたたかさがぎゅ>っとつまった、心の琴線にふれる珠玉作品。
本当にそうですね! そばに置いて何度も読めるのがうれしいです。

フラニーさん

フラニーさんのところで紹介されていたのを見て、読んだのです。わたしも、おしまいの方のお父さんの言葉を読み返すたびにジーンとしてきます。何度も読みたい本ですね。

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