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2006年7月31日 (月)

西の魔女が死んだ

旅行中に読んだ本

ユニバーサル・スタジオで観劇した「ウィケッド」(つまりは『オズの魔法使い』)の「西の魔女」? 本の表紙を見た息子は、何度も質問してきた。「さあ、どうだろう、最後まで読んでみないとわからない」と答えながら読む。
さて読み終えて、直接の関係はなかったけれど、きっと作者が「オズ」を意識して使ったのではないかなと思う。

『西の魔女が死んだ』
 梨木香歩作
 新潮文庫

「西の魔女」は、田舎で一人暮らしをする、まいのおばあちゃん。イギリスから英語教師として日本に渡ってきたおばあちゃんを、まいとママは、こっそり「西の魔女」と呼んでいた。
その「西の魔女」が突然なくなったと連絡が入り、まいとママは車で田舎へむかう。まいは2年前の中学に入学したばかりのころ、登校拒否になり、1ヵ月ほど、おばあちゃんのもとでとすごしたことがあった――。物語ではその日々のことが描かれていく。

おばあちゃんは、「人には多かれ少なけれ透視力などの超能力があり、超能力は遺伝する。おばあちゃんの祖母はとくにその力がとくに強かった。つまり、おばあちゃんとまいの家系は魔女の家系だ」と、まいに教える。まいは、魔女になるための基礎トレーニングをはじめる。
さて、トレーニングといっても、魔女らしいものではない。早寝早起き、きちんとした食事といった、当たり前の健康的な生活だ。まいはおばあちゃんに素直に従い、家事を手伝い、学校の勉強もし、庭を散策する。おばあちゃんは、まいのすべてを受け止めてくれ、まいは癒されていくのだ。
このふたりの静かで清らかな生活を乱し汚すのが、隣のゲンジさんだ。悪い人ではなく、田舎の一般的なおじさんだろう。だが、まいの目には下品にうつる。そのゲンジさんとの近所づきあいを、おばあちゃんが大切にしているのが、まいには許せない。ゲンジさんは、まいが逃げ出した世俗的なもの、日常の象徴的存在なのかもしれない。
まいは、自分のやりきれない日常から逃げ出しておばあちゃんのもとに来た。けれど、おばあちゃんとて、日常はあるのである。

さてわたしは、日常から離れた旅行中だったためだろうか、いっそう、おばあちゃんとまい――魔女とその見習いの暮らしに、まいと同様、心癒されていく気がした。
畑や野生の植物を食べるだけでなく、生活にとりいれる。庭を見て、変化を楽しむ。ふきんをなべで煮沸消毒して干す。まわりをしっかり感じとり、ひとつひとつのことをきっちりこなしていく。毎日をていねいに生きることで充実した日となり、その毎日の積み重ねが人生となるのだ。そう、当たり前のことながら、大きな感動をもって再認識した。

おばあちゃんは超能力には精神力が必要だという。そして、その精神力というのは、「正しい方向をきちんとキャッチするアンテナをしっかりと立てて、身体と心がそれをしっかり受けとめるっていう感じ」だと教える。

魔女とは、つまり、雑多な日常のなかで、自分にとってなにが正しい方向かを見極めて行動できる女性のことではないだろうか。そんな魔女になりたいと思い、魔女になる修行をわたしもしようと思うのだ。まずは、規則正しい生活から。

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コメント

おかえりなさい!そして、すぐさま精力的なおはなし会続きなのですね。
西の魔女・・・梨木作品で一番はじめに読んだ本で、わたしも大好きです。
丁寧に繰り返される毎日がとても新鮮で、わたしも草の上に干したくなってしまったり・・・。影響力大でした。
わたしもしばらく出かけていたので、「からくりからくさ」を読み終えましたよ。
「りかさん」とつながっていたんだなぁと、こちらも相関図を書きながら、再読したい衝動にかられています。
しばらく現実から離れると、たくさん本が読めてうれしいですね!

フラニーさん

お帰りなさい。
ご実家、わたしの住んでいる県と同じだったので、うれしく思っていました。

『からくりからくさ』
私も読みたいと思っていたところです。『りかさん』は読んだので、楽しみです。

え~、そうなのですか!
関西にお住まいなのかと思っていました。
わたしもなんだかうれしいです。

このテンプレート、すてきですね。
トップの女の人の髪がすてき!
アートンから出ている「ながいながいかみのおひめさま」を思い出してしまいました。

私も、この本を、新潮文庫の夏の100冊キャンペーンに合わせて購入しました♪
でも、買ってしまうと、期限がないから、ついつい後回しに・・・よし、来週こそ!

フラニーさん

『ながいながいかみのおひめさま』
アートンのHPで絵を見ました。インドのおはなしなのですね。異国の雰囲気があっておもしろそうです。今度、ぜひ読んでみます。


こももさん

わたしも、しばらく積読状態だったのですが、文庫版で旅行に持っていくのにちょうどよいということで、読むことができましした。これから、ちょくちょく読み返しそうです。

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