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ジョコンダ夫人の肖像

レオナルド・ダ・ヴィンチのことを描いたこの本を読んだのは、トリノオリンピック開催の少し前。そのせいだろうか。さすがイタリアは、芸術発祥の地といたく感心しながら、開会式をテレビで観た。

『ジョコンダ夫人の肖像』
 E・L・カニグズバーグ作
 松永ふみ子訳
 岩波書店

 サライは10歳のとき、盗みをしようとして、レオナルド・ダ・ヴィンチにつかまり、弟子となる。サライは芸術がわかるわけでもないし、不器用だった。そのうえ、ときには貴族たちから盗みをした。それでも、レオナルドはサライを生涯離さず、遺言にまでサライのことを書きのこした。それは、なぜか? そして、一介の商人の妻、ジョコンダ夫人――モナ・リザの肖像画を、引く手あまたの天才レオナルドが描いたのはなぜか?

 ひとつめの謎の答えは、レオナルドが仕えたミラノ公の妻ベアトリチェが、作品のなかでずばりいいあてる。ベアトリチェは、美しくないが知性といたずら心にあふれた内的魅力を持つ女性だ。
 作品は、そのベアトリチェとサライ、レオナルドの交流を描き、天才レオナルドの人間像が浮かび上がらせる。そのなかに、ふたつめの謎の答え――レオナルドがジョコンダ夫人の肖像画で描こうとしたものが見えてくる。

 いままで、レオナルド・ダ・ヴィンチと聞いても「モナ・リザの微笑」を描いた天才と、わたしは漠然と考えていた。だがこの本を読んでから、彼の人間像とその時代背景が、頭の中に現実のものとして広がってくるのを感じた。意外に小さな度量のレオナルドは、天才にちがいないけれど、ひとりの人間としてその時代を生きていたのだ。

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コメント

本日、仕事に行く前に図書館に寄って、借りてきちゃいました!
「世界でたったひとりの子」もおもしろそうなので、悩んだのですが、こちらを優先してみました。楽しみです。

こももさん

ぜひぜひ、楽しんで読んでくださいね。

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