声のトレーニング
わたしの声は、ふだん小さくてききとりにくいらしい。話しかけているのに無視されて悲しい気持ちでいると、じつは相手に聞こえていなかったというときもよくある。そんなわたしも、読み聞かせをするようになって、少しずつ声が出るようになってきた。でも、大きな声を出そうとして、がんばりすぎた声になったりもする。そこで自然にいい声をだせるようになりたいと思ってこの本を手にした。でも、ただの声のトレーニング法の解説を超えた、魅力がある本だった。
『声のトレーニング』
福島英著
岩波ジュニア新書
はじめに、話し手が聞き手にあたえるインパクトの3要素(視覚情報、聴覚情報、言語情報)が示される。3要素それぞれの聞き手への影響力のパーセンテージを見て、わたしは驚いた。いちばん肝心と思われる言語情報は7%と意外に小さい。そして聴覚情報は……。
このようにして、声がコミュニケーションに果たす役割が説明された後、声のトレーニング法が具体的に紹介される。
しかし、この本がおもしろいのは、声をよくする方法を紹介するだけにとどまらず、著者が子どもたちにむけるメッセージを熱く語っていること。著者は、情報に囲まれ情報に振り回されて失敗をおそれがちな子どもたちに、成功も失敗もふくめた体験を重んじて、前向きで行動的な生き方をしようと説き、激励する。
「できないことをやり続けるのが人生の醍醐味」など、後半は、心に留めたい言葉が満載だ。
声のトレーニングと人生論?、一見、ふしぎな取り合わせだが、この本を読めば、なにげなく使っている声が、精神的にも身体的にも、じつは大きく人生に関わってくると、わかってくる。声で人生が変えられるかもしれない。
となれば、日常の暮らしのなか、いろいろな場面で、声を上手に使いたくなる。
この本は子ども向けだが、著者は大人向けのヴォイストレーニングの本も多数だしている。つぎは、そのうちどれかを読んでみたいと思う。
著者の設立したヴォイス・トレーニング研究所も興味深い。
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