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おとぎ話を信じた王女様

 キャンディの包み紙のようなピンクとゴールドのきらきらな背景に、少女漫画を思わせるゴージャスで貴族的な男女が寄り添い立つ。この表紙に驚かされて、思わず手にした本。女の子を意識しての装丁、児童読み物と思ったのだが、一般書だった。

『おとぎ話を信じた王女様』
 マルシア・グラッド作 住友進訳 小林智美絵 竹書房

 むかし、ある国にヴィクトリアという繊細な王女がいた。ひとり娘の王女は、王様とお后様から、王女らしくするために厳しくしつけられて育った。
 王女は、お后が毎晩読んでくれるおとぎ話のような王子さまと、いつか出会い、永遠に幸せになるのを夢見ていた。そして、ほんとうに理想の理想の王子と出会い恋に落ち結婚。永遠の愛と幸せを手にしたと思われたのだが、王女が、舞台女優や料理人として才能をあらわし世間に認められるようになると、王子に変化がおきる。自分への愛が足りないと王女に罵声を浴びせるのだ。だが王子は、しばらくするともとの思いやりのある完璧な王子に戻る。王子の極端な性格の変化は繰り返され、王女は神経過敏になっていく。

  自分自身でいることを否定され、王女さまになるように育てられ、シンデレラ願望を抱く王女さまが主人公。王女は自己再生のために冒険の旅に出て、フクロウ、イルカなどに助けられて目的地へ到達する。
 ファンタジー小説の形をとってはいるが、実際には自己啓発書。そのため、小説として読むには、メッセージがあまりにもあからさまで深みに欠けるように思う。
 メッセージは、自分自身がはじめから完璧な存在であること。自分自身を愛さなければ幸せはこないこと。弱み、苦しみなと゜マイナス面は学ぶチャンスであることなど、自己啓発書としては、とりたてて新しいものではないし、ひとりひとりが壮大な計画の一部であるといつたスピリチュアルな面もある。しかし、物語になっているので、感情移入しやすくわかりやすいだろう。アメリカで200万部を超える大ベストセラー(あとがきより)というのも、うなずけないではない。

 読後、多くの自己啓発書と同様に、メッセージはいちいちごもっともだが実生活でいかすにはどうしたらいいか、それを教えて!と、言いたくなった(この作品では、実践をはげます終わり方になっている)。
 とはいえ、はっとさせられ、気分を上向きにしてくれる部分もあちこちにあった。飛び跳ねるのがこわいうさぎや、さえずるのがこわい小鳥のはなし、あきらめと見切りのちがい、平常心を保つにはつねに出来ることに目を向けること……。
 だから、自己啓発書って、やめられない。

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