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チェンジ! ぼくたちのとりかえっこ大作戦

 小4の息子が表紙を見て絶対に読みたいという。いや、いくらなんでもまだ難しすぎるでしょうと思ったが、まあ試しにと、読ませてみた。すると、夢中になって、どんどん読んでいく。実はわたしも積読で、読んでいなかったので、それからは親子で本のとりあいをして読むことに――。

『チェンジ! ぼくたちのとりかえっこ大作戦』
 アレックス・シアラー作 奥野節子/佐々木ひとみ訳

 ビルはふつうの家庭のふつうの学校に通うふつうの、いやどちらかというとさえない男の子。いっぽうベニーは超有名サッカー選手の息子で、豪邸に住み、上流階級の子が行く学校に通う。本人がすごいわけではないけれど、みんなに注目されている。ふたりは、年齢が同じというだけで、まるっきり正反対。接点はあろうはずもなかった。。
 ところがある日、奇跡が起こった。ビルが、ドライヤーで髪の毛をちりちりにさせると、ベニーと瓜二つになったのだ。そのときからビルは、さえない男の子から、学校の人気者になった。学校でいちばんきれいな女の子も近づいてきた。
 ある日、ビルはベニーと出会い、一日だけ入れかわることにした。プールのある豪邸、おかかえ運転手つきのリムジン……映画スターのような暮らしにわくわくするビルだったが、なにかがちがう。そして、さらに、大変なことが――。

 なんといってもひきつけるのは、主人公ビルの一人称による語り口。彼独自の視点でものごとを冷静に分析し、大げさに、すっとぼけた調子で語っていく。有名サッカー選手のベニーのパパ、デニー・スピンクスの収入について、こんな風に言う。

 たった一週間で、パパが生涯かけてかせぐお金の何倍もかせぐ。パパが宝くじを当てたら話は別だけど。でも、当たったとしても、それはたぶん一度きりだ。それにひきかえ、デニー・スピンクスは、まるで毎週宝くじを当ててるくらいかせぐんだ。

 その語りに加えて、まったくの他人(ビルとベニー)が見分けがつかないほどそっくりいう設定。偶然が重なる、速い展開のストーリー。身近にいそうな、だがはっきりくっきりした個性を持つ登場人物。どきっとするような会話。この上ないと思われるほど、読者に楽しませサービスしてくれる。

 だがエンターテイメントだけではない。「自信をもってかけがえのないすばらしい自分でいよう」というメッセージを、わかりやすく、まっすぐに伝えている。
 とくに、さえないはずのビルが、自分の機転で窮地から脱し、外から与えられたのではなく自分の内にある力に気づき、自信を持っていくところは、読んでいるわたしたちまでうれしくなる。そう、自分のすばらしさを読者にも十二分に感じさせてくれる作品なのだ。

 息子がこの本に出会ってよかったと思う(息子の感想はこちら)。息子をこの本に導いてくれた表紙絵(汞りょう)に拍手。
 ぜひぜひぜひ、もっと多くの子どもたちに楽しんでもらいたい。

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