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K図書館本館 ストーリーテリングによるおはなし会 小学生向けだげど

昨日に引き続いて、図書館でのストーリーテリングによるおはなし会。夏休みの小学生向けにもうけられた枠で、3日間、午前と午後にいろいろなお話会や人形劇が行われる。わたしたちストーリーテリングの会がトップランナーだ。

プログラム
 おばけ学校の三人の生徒 松岡享子作 *
 わらべうた いちじくにんじん *
 かえるの王さま グリムの昔話

 雨が降ったこともあって、いつもより子どもたちが多くて、子ども16名、大人8名だった。ただ、小学生向けだけれど小さな子が多い。小学生は4名ぐらいで、あとは2~5歳の子ばかり。絵本や紙芝居がないので、小さな子はわからないかもしれません、と一応はお伝えしたが、みなさん聞いてくださった。
「おばけ学校の三人の生徒」の始まりのところで、ひとりの子が大きな声をたててぐずり出し、心ここに非ずで語ってしまったために、なにか抜かしたかもしれない。でも、そのまま語り続けると、小さな子も含めて、こちらを見て静かに聞いてくれた。おばけたちがどんなふうにやるのか、興味をもっいてるようで、笑っている子もいる。ぐずっていた子もぽかんとて私の方を見ていた。はあ、まずまずと手遊びへ。小さな子が多いので昨日とは違うバージョンでやった。
 つぎの「かえるの王さま」は、ほとんどの子が聞けなかった。寝転んだり、おしゃべりしたり。でも、小学生の何人かとお母さんがよく聞いていて、語り手はその聞き手を頼りに、しっかり語った。素晴らしい。
 今週末は、普段の図書館のお話会で、小さな子向けのプログラムを用意している。なんとか、おはなしが面白いと思ってもらいたい。

K児童館 夏休みのストーリーテリングによるおはなし会 最多記録

 小学校の隣にあるこの児童館では、お弁当持ちで大勢の子が朝早くからやってきて、何人かが小学校のプールにもここから行ってここに帰ってくる。雷の予報がでている今日はプールが休みだったので、なんと65人もの子が集まった。この児童館では最多記録。図書室いっぱいに座っていて、圧倒されそうだ。

 プログラム
 はじまりのうた ろうそくぱっ
 おばけ学校の三人の生徒 松岡享子作 *
 わらべうた いちじくにんじん *
 かえるの王さま グリムの昔話
 おしまいのうた ろうそくぱっ

 わたしは「おばけ学校の三人の生徒」を語った。人数が多く、ちょっとざわついているので、音量をあげるのと子どもたちに届くようにと、いつもよりゆっくり目になった。低学年の子はとくに喜んだが、大きな子たちも結構楽しんでくれたように思う。1年生おばけは可愛らしくやって、特におもしろがってもらえた。3年生おばけは、やりすぎぐらいに大げさにやってみた。納得したり、笑ったり、まずまずの反応だ。最後の脅かすところは、あまりうまくいかなかった。でも、話し終わるとみんな大笑いしたので、まあまあのできだろうか。
 「かえるの王さま」は、かえるが食堂に入れてくれと押しかけてくるところから、真剣に聞く子が増えてきた。でも、長いお話だけに、ざわざわしだした子たちもいて、語り手が気にしてしまったようだ。一度お話が終結した(かえるが王子になる)あとの、ハインリヒのお話は、子どもたちはなかなかついていけないところなので、今日は語ったけれど、やめておいた方がよかったかもしれない。ここを語るか語らないか、判断が難しい。

 明日も図書館で同じプログラムで語る。今日とは全く違う雰囲気になるんだろうな。
 

S保育園 年少中長さん ストーリーテリングによるおはなし会 小さな子におすすめ「ねずみのおむこさん」

 毎月、会員のだれかが朝の時間に行って、ひとつだけお話をしているS保育園。今日は私の当番だった。語ったのは、「ねずみのおむこさん」。
 子どもたちの前で語るのは2回目。前回は静かに真面目に聞いてくれたが、いまひとつ反応がわからなかった。
 今回は「ねずみのおむこさん」といったところで「知っている?」との声。ほほぉ、ほんとかな?と思いつつ語り始めた。でも、「誰が世界一偉いのかなあ」というと「ねずみだよ」という声がして、ああ本当に知っている子がいると思った。
 それにしても年少さんまで実によく聞いている。
 雲さんより強いのは風さんというところでは、「風かあ」という声が上がった。そんな反応が返ってくるとは思わなかったので、びっくりして一瞬とまってしまった。でも、すぐ気を取り直して語る。そのあとも、興味深げに聞いてくれるので、最後まで気持ちよく語ることができた。終わると「ねずみのお嫁さんだね」という声。すごいほんとによく知っていると思った。
 あとで園長先生から、昨年、劇で年長さん(今は1年生)が「ねずみのお嫁さん」やったので、それを見た子どもたちは、とくに興味を持っただろうとのことだった。なるほど。
 今回でこのお話は、年少さんのような小さな子たちでも楽しめるお話だと分かった。小さな子たちに、どんどん話していきたい。


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  出典本

7月のおはなし広場 プールのあと

 おはなし広場は3限目。準備のために2限目の終わりごろ学校へ行くと1年生がプールに入っていた。着替えもあるし、少し遅れてくるかなと心配したが、ちゃんと時間通りに集まって並んでくれた。みんな髪の毛が濡れている。慌ててきたのかもしれない。

プログラム
 大型絵本 でんしゃにのって (うららちゃんののりものえほん) とよたかずひこ作 アリス館
 おはなし アリョーヌシカとイワーヌシカ ロシアの昔話 *
 絵本 にじ (かがくのとも絵本) さくらいじゅんじ文 いせひでこ絵 福音館書店
 紙芝居 ふくろうのそめものやさん (ともだちだいすき) 下田 昌克脚本 水谷章三画 童心社 *
 絵本 たいせつなこと (ほんやく絵本) マーガレット・ワイズ・ブラウン文  レナード・ワイスガード絵 うちだややこ訳 フレーベル館

でんしゃにのって (うららちゃんののりものえほん)』では子どもたちは大はしゃぎ。最後にここだ駅で「まもなくはっしゃします」とアナウンスがあるとき、うららちゃんがまだ電車から降りていないので、降りそびれるのではと心配する子がたくさんいた。こういう反応は、今まであまりなかったと思う。
 子どもたちがあまりはしゃいでいたので、お話をちゃんと聞けるだろうかと心配して「アリョーヌシカとイワーヌシカ」を語り始めた。最初のうちは「アリョーヌシカとイワーヌシカ」のふたりの名が両方とも「シカ」で終わるのを面白がったりしていたが、次第に静かに耳を傾ける子が多くなり、イワーヌシカがお姉さんの言うことをきかずに子ヤギになってしまったところでは、ほとんどの子が真剣にきいていた。10分かかるお話だが最後までよく聞けたと思う。
 でも、やはりプールのあと、子どもたちは次第に疲れた顔になってきた。そこで紙芝居『ふくろうのそめものやさん (ともだちだいすき)』の前で少し背伸びをしてもらう。フクロウがカラスにいろいろな色をいっぺんに書けたところで、「あーあ」という声。こういう由来話は、子どもたちは好きだ。
 最後の『たいせつなこと (ほんやく絵本)』は、疲れた心身には難しかったかもしれない。少し時間が余ったが、子どもたちがあまりぼーっとしていたので、おまけ話はやめておしまいに。プールの後のおはなしはちょっときつい。

  

課題図書を読む『耳の聞こえないメジャーリーガー ウィリアム・ホイ』

 絵本のタイトルのとおり、「耳の聞こえないメジャーリーガー、ウィリアム・ホイ」の伝記なのだが、この人は、1862年生まれ。南北戦争の時、生まれた人がプロ野球選手になっていたというアメリカのプロ野球の歴史に、まず、無知な私は驚いてしまった。ウィキベディアで調べると、1860年代初めにはプロ野球選手が存在していて、1868年に初めてプロだけのチームができたという。ラジオ放送もまだ行われていない頃のプロ野球とはどんなだろう? 人々は、じかに観戦するほかに、新聞などで勝敗や試合の状況を知ったのだろうか? 絵本とは全く関係ない素朴な疑問ですが……。。

耳の聞こえないメジャーリーガー ウィリアム・ホイ
 ナンシー・チャーニン文
 ジェズ・ツヤ絵
 斉藤洋訳
 光村教育図書

     

 ウィリアム・エルスワース・ホイは、耳が聞こえない障がいを持ちながら、1886年、野球選手になり、1888~1902年メジャーリーガーとして活躍した。彼は、ろう学校の野球チームに入りたくて練習に励み上達したが、身長が低いという理由でチームに入れなかった。卒業後、靴の修理店につとめていたとき、偶然ある野球チームの人に認められ入団のチャンスを得る。だが、耳が聞こえないからと給料を下げられたり、同僚から陰口を言われたりした。それでも、ウィリアムはチームをいくつも移り、がんばり続けた。
 ある日、3振したがストライクという審判の声が聞こえず、そのままバッターボッスに立ち続けて選手や観衆から嘲笑を受ける。この時代、審判は声だけで判定を表していたのだ。ここの出来事を機に、ウィリアムは審判のジェスチャーを審判に提案、さらにはチーム内のサインを考える。それが、今の審判のジェスチャーやチームのサインにつながる。その後、彼はメジャーリーグの選手となり活躍する。

 ウィリアムは、大好きな野球をたゆまず努力し続けて夢を達成した。しかも、たに障がいを乗り越えただけでない。障がいに関係なくプレイできるよう、野球のやり方を変えたのだ。さらにその新しいやり方は、他の選手や観衆にとってもよいものとなった。
 学校のチームに入れなかった時も、プロに入って障がいのために不公平な扱いを受けた時も、ウィリアムは前向きだった。つねに自分を卑下することなく、プライドを持っていたのだと思う。それは、お母さんが、ウィリアムの生まれた時からずっと、彼の成長をにこにこと笑って見守って、彼の自尊心を育ててきたからだろう。彼とお母さんとのつながりが、絵本ではさりげなく描かれていて、あたたかい気持ちにしてくれる。

 前向きな努力の素晴らしさを伝える一方で、この絵本はバリアフリーの素晴らしいお手本にもなっている。ウィリアムは、他の選手と同等にプレイする権利を堂々と主張し、審判やチームメイトはそれを真摯に聞き入れ、野球をさらに魅力あるスポーツにした。
 障がい者の困難を、他の人たちは気づけなかったり、理解できていなかったりする。分っていながら、多数派である自分たちのやり方を意固地に守りたがることもある。そうした障がい者とそうでないもののバリアをウィリアムは、野球への愛で取り払った。また、ウィリアムの提案を真摯にうけいれた当時の審判や選手たちも素晴らしい。
 すべての人を励ますバリアフリーな絵本。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 小学校中学年の部 課題図書

G児童センター未満児さん おはなし会 いろいろな子がいる

 この児童センターは、4年前に改築されたとのことで、バリアフリー構造になっていて、とてもきれい。初めて入った私は、その心地よさに感激した。

プログラム
 わらべうた くまさんくまさん *
       おちゃをのみにきてください *
 絵本 なにたべてるの? いちかわけいこ文 たかはしかずえ絵 アリス館 
 絵本 ちゃぷちゃぷ ぷーん 得田之久文 及川賢治絵 こどものとも0.1.2. 201702号 福音館書店 
 わらべうた じーじーばー
       ももやももや
 紙芝居 はーくしょい (せなけいこのえ・ほ・ん)の紙芝居版 せなあいこ作 教育画劇
 絵本 たんたん ぼうや (0.1.2.えほん) やぎゅうげんいちろう作 福音館書店
 わらべうた さよならあんころもち

 大勢集まって親子15組17名の子。失敗したのは、幅広くすわってしまったこと。できるだけ中央に寄るようにお願いしたけれど、1度座ってしまうとなかなかつまない。
「くまさんくまさん」や「おちゃをのみにきてください」は、いつも図書館でやっているようにクマの人形を使い、ひとりひとりのところへ出かけていった。たいていの子は喜んでいたけれど、はずかりがやさんや怖がり屋さんは嫌がるので、あまり近寄らないようにする。
 絵本『ちゃぷちゃぷ ぷーん』では、「もういいかい?」と呼びかけると「まあだだよ」と答える子がいて読み手がとても嬉しそうだった。
 「じーじーばー」と「ももやももや」はハンカチを使った。子どもたちは立ち上がって喜ぶ子、とちゅうでやめちゃう子など、さまざま。人数が多いので、なかなかまとまらなくて、歩き回る子が出てしまった。
 でも、紙芝居の舞台を出すと、みんな珍しいのか、しんとして舞台を見いった。最後は「さよならあんころもち」で、いろいろなあんころ持ちをつくっておしまい。

 終わってからお茶をいただいていると、お母さん方が、にこやかに「ありがとうございました」と挨拶して下った。楽しく思ってくださいますように。

  ←読んだのは紙芝居版

 

J保育園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 1回目 話の流れを理解する 

 今日は気温こそ30℃を超えたけれど、からっとして爽やかな晴天となった。J保育園は今年度はじめて園にいくと、外国籍の子が何人かいてお話が理解しにくく、動き回って、他の子も落ち着かないかもしれないと、先生が心配しておられた。さて、お話を始めてみると……

プログラム
 はじまりのうた ろうそくぱっ *
 おはなし ひなどりとネコ ミャンマーの昔話 *
 手遊び 木がのびる *
 おはなし ついでにペロリ デンマークの昔話
 おしまいのうた ろうそくぱっ

「ひなどりとネコ」は「ひなどり」が鳥の子どものことだと説明してから始める。語り初めはできるだけゆっくりと語った。半分くらいの子が、真剣な顔でじっと聞いてくれる。後半の壺にひな鳥たちが隠れるところでは、壺を手で形造ったり、ひなどりがくしゃみをするところで、いっしょにくしゃみのまねをする子がいた。ただ、お話の流れとして理解しているのは、やはり半分くらいだろうと思う。「ついでにペロリ」も、そんな感じがした。女の子を七人、ネコが呑み込むところで、「ええーっ七人もー、食べ過ぎ」といった反応を示した子がいて、何人かとそのことでおしゃべりを始めたが、その子はその場面を想像しているだけで、その前の積み重なりが理解できていないのではないかと思う。わかっていたら、次は何を呑み込むだろうと聞き耳を立てるはずだ(その子の内面はわからないのでただの予測だが)。語り終わると「ネコはどうなったの?」と聞く子がいた。この子はきっと話の流れを理解していてたと思う。
 次は9月にお話に行く。ううーん、どんなお話をしようか? 話をきちんとおっていけるお話がいいか、あるいは、言葉の音感やリズムの楽しいお話がいいか? 今から準備しておかなくては。

朝の読み聞かせ 4年1組 いろいろな「バナナです」

 台風あけの今日、雲っていたけれど、昨日までと比べたら、蒸し暑さが減って楽になった。さらに教室に入るとエアコンが入っていて、とても心地よくて、一日中いたいくらいだった。

プログラム
 絵本 バナナです 川端誠作 文化出版局
 おはなし カメの笛 ブラジルの昔話
 絵本 ジローとぼく 大島妙子作 偕成社  

 時間より前に入らせてもらえたので、予備に持っていった『バナナです』を読む。「バナナです」の連続に爆笑。でも、バナナが木になっている絵には、「ふーん、そうなんだ」の声。カバがバナナを食べるところでは「かばってバナナを食べるんだ」。終わると「もう終わり?」でも、しっかりこちら側に気持ちを惹きつけることができた。「カメの笛」は、途中まで真剣に聞いていた。カメがヒョウをだますところで、にやにやと笑う子もいた。最後のおちはよく分かったようで、何人の子が楽しそうに笑みを浮かべてくれた。最後は『ジローとぼく』。ジローが小犬から大きくなったところで「でっかい」と声が上がったが、あとは静かに聞いていた。時々こっそり子どもたちの顔を見るとにこにこしていてくれている。
バナナです』が一番楽しそうだったのが、ちょっと気がかりなのだけれど楽しんでくれたかなあ? 

     

7月のK図書館分館おはなし会 4匹の子ブタ

 今日から7月。今年ももう後半に入ったかと思う、時の流れの速さに驚いてしまう。今日は4人の子どもたちが来てくれた。一番大きな子は1年生。他の子は年中さんくらいかなあ。横一列に並んで、にこにこしていてくれる。

プログラム
 わらべうたであてっこ おてぶしてぶし *
 絵本 いしぶたくん (チューリップえほんシリーズ) あきやまただし作 すずき出版
 紙芝居 おかしだいすきくいしんぼ王さま (ゆかいな6人の王さまシリーズ) 飯島敏子脚本 相沢つる子絵 教育画劇
 手遊び ぶたがぶたれた *
 絵本 ちゅうちゅうたこかいな (講談社の幼児えほん) 新井洋行作 講談社 *
 絵本 おばけのたんけん (こどものとも絵本) 西平あかね作 福音館書店 *
 エプロンシアター 若返りの水

「おてぶしてぶし」では、手づくりのさくらんぼうを隠すのだが、そのさくらんぼがちょっと大きめなために、小学生のお兄ちゃんにはすぐにわかってしまい、他の子はお兄ちゃんを見て、真似するので、2回やって、2回とも当てられてしまった。でも、子どもたちは嬉しそうだった。
いしぶたくん (チューリップえほんシリーズ』は、意外に子どもたちは真面目な顔で見ている。お兄ちゃんだけがちよぴりくすくす笑っている。ブタのお話が続いたので手遊びは「ぶたがぶたれた」最後にゴツンと頭を拳でぶつのだが、4人いるので、4人分やった。4匹の子ブダだ。少人数おはなし会では、こんなことができるのがいい。
ちゅうちゅうたこかいな (講談社の幼児えほん) 』は、新く、たぶんあちこちのおはなし会で読まれている人気絵本。「ちゅーちゅーたこかいな」をふしを付けて歌いながら読むと、子どもたちもいっしょに歌い出し、次に出てくるのは何かと考えていた。すべて「な」で始まるのだが、そのあたりは年中さんたちにはまだわからないらしい。『おばけのたんけん (こどものとも絵本)』は、とても可愛らしいお話で、小さな子たちが共感できそうなので選んだ。絵が全体に暗く、登場するおばけたちも小さいが、少人数のおはなし会ならなんとかなると思ったのだ。子どもたちは静かに聞いていた。あとで、仲間に聞いてみると、「私の目ではあんまりはっきり見えなかった」「それより、よくあんな細かい字が読めるね」と、話が別の方に飛んでしまった。(読み聞かせをするものにとって、年とともに近くが見えなくなるのは、大問題です)
 エプロンシアターでは、4人の子は木になったり、エプロンに流れる水にさわったりと、楽しそう。おばあさんが赤ちゃんになってしまったのをけらけら笑って聞いていた。

   

課題図書を読む『霧のなかの白い犬』

 この作品は、昨年に1度読んだ。そのときは、あちこちに話が飛ぶ前半にほとほとに疲れ、謎が解き明かされる後半で一気に読み終えた、読み応えがあるというより、なぜこれほど複雑に書くのか?と疑問ばかりだった。けれど、再読の今回は、あちこち飛ぶ話題の意味がはじめからわかり、そのつながりも理解でき、メッセージがよりくっきりとした。小学生高学年の課題図書としては、難易度がかなり高い作品だ。

霧のなかの白い犬
 アン・ブース作
 杉田七重訳
 橋甲賢亀絵
 あかね書房

     

 イギリスが舞台。ジェシーの祖母は認知症を発症し入院する。だが、何かに脅えていてひどくとり乱し、飼うことにしていた白い子犬を、ジェシーといとこのフラン、友だちのケイトに世話を頼む。
 ケイトはジェシーの親友で、車いすに乗っている。だが、率直で活発。スポーツも万能でシッティング・バレーボールでは、パラリンピックの出場の可能性があるくらいだ。祖母はこのケイトのことを特に心配し、JMと書いた紙きれを、ジェシーやケイトにお守りにと渡したりする。
 いとこのフランは、両親が離婚して、ジェシーと同じ学校に転校してきた。以前は親切だったが、今は祖母に対してもケイトに対しても思いやりがない。弱いものいじめをする悪い友だちとつきあっていて、生活も荒れている。
 町には外国人労働者が増えていて、人々はあまりいい顔をしていなかった。ジェシーの父親も、外国人労働者が増えたせいで、事業が立ちいかなくなり、持ち家を売り払い、フランスに出稼ぎに行ったのだ。
 ある日、祖母の家に、ドイツから宛名違いの絵葉書が届く。また、祖母の家から、白い犬をつれた少女の写真がみつかる。絵葉書の真の宛先と写真の少女の正体を探っていくうちに、ジェシーは祖母の意外な過去を知る。それは、学校でちょうど学んでいた第2次世界大戦のいまわしい歴史とつながっていた。

 第2次世界大戦の体験を語れる人の数が減ってきた最近では、あの悲劇を繰り返さないために大戦のことを語り継ぐ作品が児童文学でも増えてきたように思う。この作品は、現代の社会問題を描きだして、今があの時代に似てきていないか? 人々の考え方はななにかに踊らされゆがめられていないかか? 何かを思い込まされていないか? 警鐘を鳴らしている。

 ナチスといえば、ユダヤ人の虐殺が第一に頭に浮かぶ。だが、障害者、高齢者も役に立たないものとして抹消されていた。退廃芸術として、ヒットラーの基準にそれた絵画が押収され、音楽が禁じられ、本が焼かれた。雑種犬は嫌われ、黒毛のシェパードのみを真のジャーマン・シェパードとして認められ、ユダヤ人の飼っているペットは殺処分された。

 なぜ、人々はナチスのいいなりになったのか? 信じられないと、今の私たちは思う。ジェシーたちが学校の授業で、ちょび髭のヒットラーの演説のフィルムを見て、「どうしてみんな、こんな人についていこうと思ったのか、わたしにはわけがわからない」と思い、彼の号令で行進する兵士たちの姿を滑稽に思ったように。
 なぜ、こんな理不尽なことが許されたか?の答えを、ジェシーの同級生ベンの祖母が、学校に招かれて授業で語る。ベンの祖母は、ユダヤ系ドイツ人で、強制収容所に入れられたが生き残りだった。彼女の話は子どもたちにショックを与えた。当時のドイツの学校の教科書にとんでもないことが書かれていて、子どもたちはそれを信じていたのだ。ナチスの考えにほんの少しでも反対する人たちは、残酷な仕打ちをされて、人々はナチスの言いなりになるしかなかった。社会はナチスにのみこまれ、人々はその流れにのってしまったのだ。

 現代はどうだろう。こうした負の歴史から学んでいするはずだし、人種差別は否定されているし、言論の自由もあるから大丈夫……本当にそうだろうか? 外国人に対する偏見はないのか? 外国人が起こした犯罪を私たちはどう感じるのか? ヘイトスピーチはなぜされるのか? 私たちはどう感じてるのか? どう考えるのか? その感情や考えはどこからくるのか? 私たちだって、いつ恐ろしい道に誘導されるかもしれないし、知らず知らずもう足を向けてしまっているかもしれない。

 ジェシーは体験を通して偏見に気づいていく。外国人労働者は、ジェシーにとって、父親の事業が失敗させた原因となった人たちでとても好きにはなれない。母や町の人たちも疎ましく思っている。ジェシーの叔母も病院で祖母が外国人より優先してみてもらえないのに憤っていた。新聞にも「不法就労移民」が国民のお金を奪っていると書いてあった。なにか事件が起これば、外国労働者がまず疑われる。でも、父親も出稼ぎ先のフランスでは外国人だ。
 いとこのフランの仲間たちは、おそらく深い考えもなく、障害者や外国人労働者など弱い立場を馬鹿にしてからかう。フランは、自分の考えは違っても、その仲間から外れたくなくて、なんとなく合わせざるをえない。そうした考えのない小さなことからなにが招かれるか、フランは身を持って知っていく。
 こうして作品は、ジェシーとフラン、障害者のケイト、さらにアフガニスタンから亡命してきたヤスミンを通して、読者に社会についての自分との関係を考えさせる。

 また、昔話が、世界を理解させてくれるものとして利用されているのも興味深い。グリム童話が出版される前に語り継がれいた「赤ずきん」、ぞっとするグリム童話の「盗賊の花嫁」が作中で紹介される。ジェシーが学校の宿題で書いた現代のおとぎ話では、子どもの時のおばあちゃんを主人公にして、ナチスに翻弄された当時をわかりやすく描きだしている。『昔話の魔力』の著者ブルーノ・ベッテルハイムの名も出てきて驚かされた。
 昔話がこの世を映しだしているのなら、私たちも日々暮らすことで、自身のお話を紡ぎ出しているともいえよう。そのお話が、どうか、どんな困難があってもハッピーエンドでありますように。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 小学校高学年の部 課題図書

I南小学校 朝の読み聞かせ 4年2組 ありがとう、エパミナンダス!

 I南小学校はボランティアの数が増え(うらやましい!)、助っ人で行く回数も減ってきた。今年度は今日が初めてで、楽しみに行ったのだが、教室で何か問題があったようす。昨年とても反応がよかった学年だったので、今回もそれを期待して、楽しいお話ばかり用意していた私は、こんな時にこんなお話でいいかしらん?でも、他に何も用意していないしと、ハラハラしながらのおはなし会になった。

プログラム
 絵本 ジローとぼく 大島妙子作 偕成社
 おはなし エパミナンダス ブライアント作

ジローとぼく』は、とても楽しくて笑いがまきおこるお話なのだが、子どもたちも(おそらく)、私もとても動揺していて、しーんとして終わってしまった。再起を願い、「犬を飼っている人る?」などと雑談をし、子どもたちとの気持ちを近づけつつ、自分の気持ちを落ち着けて「エパミナンダス」へ。初め、沈んだ顔で聞いていた子どもたちだが、次第に、おもしろがって笑顔になる子がひとり、ふたりと増え、とうとう小犬が現れるころから、笑いが巻き起こり、ついに他で語った時と同じような反応になった。心からよかったと思った。どうか、このお話で、朝のいやーな気分が、子どもたちの心から吹き飛んでくれましたように。ありがとう、エパミナンダス!

     

南K小学校 春の図書館祭 お昼休みのおはなし会 高学年向け

 先週の低学年に引き続いて、今日は高学年向け。学年を分けたところで実際には全学年が来ているのだけれど、私たちは高学年対象の絵本というつもりで選んでくる。

プログラム
 絵本 かようびのよる デヴィッド・ウィーズナー作 当麻ゆか訳 徳間書店
 絵本 多摩川のおさかなポスト 山崎充哲文 小島祥子絵 星の環会
 絵本 つみきのいえ 平田研也分  加藤久仁生絵 白泉社 (

 今日は前回よりも子どもたちがお利口で、委員さんの挨拶からちゃんと静かにすわっていた。私は最初の『かようびのよる』を読んだというか、見せた。最後のおちで「ええーっ!」。すぐにバトンタッチして『多摩川のおさかなポスト』へ。今、話題になっている外来種のお魚のお話。前の方の子はとくに魚の名前を読み手に何座も聞いたりして、よく聞いていた。最後は『つみきのいえ』。ちょっと絵が小さいので、心配したのだが、言葉でお話はつかめるので、静かに聞いていたようだ。今日は、2冊目と3冊目の間に数人が帰っていったが、あとは落ち着いている。先生の指導があったのかなあ。子どもたちはどういう思いで聞いているのかなあ。

      

課題図書を読む『干したから…』

 表紙はカラフルなドライフルーツ、後表紙は茶系配色の魚や穀物の写真。みんな干した食べ物だ。干した食べ物がこんなに多いことに改めて気づいた。

干したから… (ふしぎびっくり写真えほん)
 森枝卓士写真・文
 フレーベル館

     

 中表紙のタイトルの下には、オレンジがかった茶色をした楕円の乾物の写真があって、「さて、問題です。これ、なーんだ?」。ページをめくると、左ページに真っ二つにした、瑞々しい細長いトマト、右ページでは、干されてしわしわなっていく様子が紹介されている。ドライトマトは日本の家庭ではあまりなじみではないから、その変化に目を見張る小さな読者もいるのではないだろうか。

 かつおぶし、するめ、切り干し大根、のり、干しブドウ……。私たちは、すでに干されて袋入りになったものを買ってくるから、干すという過程を、普段意識しないが、考えれば、日本ではたくさんの干した食べ物がある。
 では、干すとどうなるのか? そのままでも食べられるのに、わざわざ干すのはなぜか? 世界では他にどんな干した食べ物があるか? この絵本がたくさんの写真を使って、きちんと言葉にして、わかりやすく教えてくれる。そこには驚きの発見がいくつもある。
 まず、イカと大根。干す前と後の姿を写真で並べて見てみよう。こんなに姿が違う。大根は、同じ重さでこんなにかさが違う! 普段、調理し、食べているものなのに、その差は本当に驚きだった。ページをめくるとミカン。ミカンを使って、干すことで変わるのはなにか、なぜ干すのかを、絵と言葉でしっかり説明してくれる。ミカンだからこそ、とてもわかりやすい。

 世界各地の乾物も多数紹介されている。魚や唐辛子は日本にもあるが、その国ならではのものもたくさんある。ネズミの干物には、ぎょっとしないではいられない。でも、それ以上に、はっとさせられたのは、米、パスタも、干した保存食だということ。日常当たり前に食べているからだろうか? 米やパスタが保存食と考えたこともなかった。さらに、米などの干した穀物が主食になった所以にも、気づかされ、なるほどと納得した。
 干した食べ物には、栄養素がギュッと凝縮されているのと同じように、食べて生きるための祖先からの叡智が凝縮されているのだ。

 巻末には、自分で干す方法が載っている。100円ショップの品物を使って干せることが付記されているから、これはもう、自分でやってみるしかない。
 さらにあとがきで、干すとはまた違う、一風変わった保存方法も紹介されていて、これまたなるほどと感心した。

 干物なんて地味なものに驚きの発見があって、世界に視野が広がっていく。課題図書にふさわしい作品。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 小学校中学年の部 課題図書

南K小学校 春の図書館祭 お昼休みのおはなし会 低学年向け スタンプ目当て

 今年の図書館祭は、お話会にくるとひとつスタンプがもらえるようで、おそろしく大勢の子どもたちが来てくれた。それはいいのだが、ほとんどの子のお目当てはスタンプ。わいわいと騒いで、なかなか座らない。図書委員さんたちが一生懸命声をかけているのだが……。ようやく始まって、私が読み終わると、何人も席をたって出ていこうとした。うんうん、騒ぐなら出て行って!と思っていたら、先生が「まだあるから、だめ!」と制した。そこで、また戻ってきてしまった。
 次のは静かに読みたい絵本なのに……もうっ!と思ってしまう。それでも前列にいた子たちはきっとお話が好きなのだろう。喧騒などものともせずにじっと聞いていた。
 先生と相談して、次からは、1つだけ聞いたら、次の絵本が始まる前に出ていっていいとしてもらうことになった。

読んだのは、
 絵本 ノボルくんとフラミンゴのつえ (絵本・こどものひろば) 昼田弥子文 高畠純絵 童心社 *
 絵本 あかりの花 (日本傑作絵本シリーズ) 肖 甘牛採話 君島久子再話  赤羽末吉画 福音館書店

   

6月のひよこちゃん 『いないいないばあ』はやっぱりすごい

前回、2歳さんばかりで慌てたけれど、今日は5~9か月の乳児ばかり。ほんとうに予測がつかない。

プログラム
 わらべうた くまさんくまさん *
       お茶を飲みに来てください *
 絵本 かさちゃんです。 (たのしいいちにち) とよたかずひこ作 童心社
 絵本  みゃーんみゃーん 村松カツ作 こどものとも0.1.2. 2016.06号 福音館書店
 わらべうた じーじーばー *
 絵本 いないいないばあ (松谷みよ子 あかちゃんの本) 松谷みよ子文 瀬川康男絵 童心社 *
 わらべうた こーりゃーどーこのじーぞーさん *
       こまんかなみ *
 絵本 かさ さしてあげるね (0.1.2.えほん) はせがわせつこ文 にしまきかやこ絵 福音館書店 *
 紙芝居 ワンワンワン とよたかずひこ作 童心社
 紙芝居 いろいろ めしあがれ! (0・1・2かみしばい にっこり げんき うれしいな) マリマリマーチ作 教育画劇

 どの子もママのおひざに入ってご機嫌で、ときどき声をあげながら、楽しく聞いてくれた。『いないいないばあ (松谷みよ子 あかちゃんの本)』では、ページをめくると、6か月さんが手足をばたばたさせて大喜び。やはりこの絵本の威力はすごいと思う。あとから読み手3人で話して、「ページをめくると動物が左ページから右ページに変わるので、動物が飛んでいるように見えるのではないか」と分析した。『かさ さしてあげるね (0.1.2.えほん)』も、擬音にひかれてか、誰かが、ときどき嬉しそうに笑ってくる。
『ワンワンワン』は、ママたちがとても喜んでくれた。紙芝居とともに子どもの口をさわったり、ほっぺをつついたり、スキンシップのできる紙芝居だ。『いろいろ めしあがれ! (0・1・2かみしばい にっこり げんき うれしいな)』の方は、まだ乳児さんたちには早かったけれど、9か月の子が指をさして反応していた。さすが!
 赤ちゃんもママも穏やかで、楽しい時間をすごせた。ありがとう。

   

朝の読み聞かせ 6年1組 アイルランドの妖精ばなし

 梅雨入り後晴天が続いてい、やっと雨が、それも大雨が降った昨日のおはなし会。身支度なんかに時間がかかって、いつもよりおそめに学校に着いた上に、学校内で迷ってしまい(6年生はあまり行かないんで……(^_^;))、ぎりぎりに教室へ。でも、なにかクラス内で問題があったらしく、先生が廊下で数名の子と話をしていて、ちょうどよかったようです。(ほんとかな?)

 短い絵本も持っていたけれど、時間が足りないと思ったのでお話をひとつ。

お話を知らなかった若者 アイルランドの昔話

 パティという若者が、古い家に泊まらせてもらうと、棺桶をひきずった3人の男が現れ、棺桶を墓場に運ぶのを手伝わされて、穴をほらされ……という、恐ろしげなお話。子どもたちは気味わるそうにじーっと聞いていた。最後に種明かしがされるが、アイルランドの文化になじんでいない子どもたちがどのくらい分ってくれたかは不安だ。
 アイルランドに興味を持ってもらえるように、アイルランドの他の本を合わせて紹介できるといいかなあ。それには私自身がもっとよく知っていないと……これからの課題だ。

      

課題図書を読む『ストロベリーライフ』

 作者は直木賞作家。主人公は36歳。「えっ? 課題図書?」と思ったのだが、未来に向ける明るい展望に、高校生に読んでもらいたいと思った。

ストロベリーライフ
 荻原浩作
 毎日新聞出版社

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 恵介は、東京に出てグラフィックデザイナーとなり、妻子を持って、2年前に独立したが、最近仕事は途絶え、行き詰まっていた。そこへ、静岡で農業を営む実家の父が倒れたと連絡が入る。帰郷すると、父親は脳梗塞で、一命はとりとめたものの先が見えない状態だった。
 しばらくは3人の姉と恵介、母親で順番に父親に付き添うことになった。だが問題は両親二人だけでやっていた農業だ。今は、ハウスで育てている苺の出荷の真っ最中。母親ひとりにまかせこともできず、恵介は手伝い始めるが、苺栽培はまったくのド素人。妻の美月はいい顔をせず、5歳の息子と帰ってしまった。
 恵介はグラフィックデザンの仕事をあきらめるつもりはなかった。けれども、苺が育っているかぎりはやめるわけにはいかない。今シーズンだけ頑張ろうと、恵介は、東京と静岡を行き来しながら、父親の農業日誌やガイドブック、母親の言葉足らずの説明、友人の苺農家の教えをたよりに、試行錯誤して奮闘する。そして、いつのまにか、東京へ帰るまを惜しんで苺栽培やほかの農作業をするようになり……。

 やむをえず農業をおろおろと手伝っていた恵介が、心を決めてある計画に向けてつき進んでいく。それとともに、家族が、大きな単位でも小さな単位でも再構成がなされていく。農業の現状と新しい形のひとつを示す物語であり、家族の物語と言えるだろう。
 恵介が抜群の行動力を見せる後半は、爽快で非常におもしろい。冷静に考えれば、農業経験2年目でそんなに思い通りにいくはずないだろうが、読んでいる間はみじんも疑問を感じない。恵介を応援して、夢中で一気に読んだ。
 それというのも、事細かく丁寧に描かれた前半がリアリティに満ち、後半の展開に説得力を持たせているからだろう。物語はほとんど恵介の視線からだが、ときおり妻美月の視線が挟み込まれ、特に人物がありありと見えるように描かれている。恵介にも美月にも共感できるところがたくさんある。たとえば、私がまず共感したのは、恵介がいつからか帰郷して東京へ帰るとき、「脱出」の気分を感じて、一抹の安堵を感じるようになったと考えるところだ。私もいまだにそうだ。
 父親が倒れるという突然の変化に、恵介夫妻や姉妹の家族が心配しながらも、先を案じて戸惑い、いざこざがおきる様子は、実際によくある家族の姿だろう。母親は、夫のやりかけた仕事を続けようと、もくもくと頑張る。働き者でいかにも農家の主婦らしい。でも私は思う。夫が倒れたのはたいへんだった。でも、子どもたちが集まってきて、母親は嬉しかったんじゃないだろうか。、また、農作業をするなかで、いままで頑固としか感じていなかった父親の心情を、恵介が次第に理解していくのが、心に触れてあたたかい。
 農作業についても事細かに描かれている。農薬についてや苺の収穫や出荷について、葉かきや芽かきといった作業……。私は家庭菜園ぐらいの知識がないが、とても興味が持てた。苺栽培について、いっぱしの知恵がついた気がしている。
 また、静岡が舞台のこの物語では、富士山がうまく使われている。富士山のふもとに暮らすものにとっては富士山は当たり前の存在で、恵介にとっては大きくそびえる姿は鬱陶しい、でも消えてほしいと思ったことはにないと初め書かれていたのが、私には新鮮だった。その富士山への恵介の気持ちは、恵介の心の変化とともに変わっていき、恵介は文字通り富士山を使う。
 他にも恵介の姉たちの家族の問題が挟まっていたり、農地の相続についての説明があったり、おいしそうな野菜料理のしかたがあったり、作品のなかに、なまの人間がいて、現実的な生活があって、私は最初から最後まで物語にはいりこんで読むことができた。ぜひ、読んで欲しい。思い通りにいかない現実のなかで、生きる元気をもらえる。

*第63回青少年読書感想文全国コンクール 高校の部 課題図書

2017.06.22加筆

H小学校 朝の読み聞かせ 1年2組 子どもたちにわかりにくいところ

 今年の梅雨はどこへいった? 今日もこの地域はさわやかだ。1年生の教室の前にいくと、男の子がひとり出てきて、「ああーっ、この人知っている!」という。どうやらD保育園に行っていた子らしい。この小学校でD保育園に行っていた子は、おそらく年に1人か2人いるかいないかぐらいなので、自分だけ知っているのがとても嬉しそうだった。

プログラム
 絵本 ながいいぬのかいかた (矢玉四郎のあいうえほん) 矢玉四郎作 ポプラ社
 おはなし ひなどりとネコ ミャンマーの昔話
 絵本 まるさんかくぞう 及川賢治・竹内繭子作 文渓堂

ながいいぬのかいかた (矢玉四郎のあいうえほん)』は、最初と最後、長い犬は犬小屋に入っている。そっくりの絵、場面なのだが、最初は「なんでながいの犬なの?」と思い、終わりは「どうやって入っているの?」と思う。そんな、絵本の中での心の旅がおもしろいと思う。
「ひなどりとネコ」は、とてもよく聞いてくれた。この子たちも、前に語った園と同じように、くしゃみが繰り返されるくだりを笑って楽しんでいる。くしゃみの音でネコが逃げて行ってしまうと、ひとりの子が「どういうこと?」と声を出した。そのあとの、「雷が落ちたとでもおもったにちがいあません」という文章がその答えになったならいいのだが……。このあたり、聞き手が大人だとさっとわかるのだが、小さな子だと理解を超えてしまうらしい。できるだけゆっくり語っているが、なにかいい方法はないかと思う。
 最後は少し時間が余ったので、『まるさんかくぞう』をみんなで声を出して言ってもらった。「しかく」を正確に「ながしかく」という子もいた。「しかく」に合わせて呼んでもらったが、そのまま「ながしかく」でもおもしろかったかもしれない。
 おはなし会のあと、他のボランティアのみなさんと交流会があった。わたしよりおそらく一回り以上若い方々が、自分の読んだ絵本をしっかり紹介してくださっている姿を見て、素敵だなと思った。読み聞かせはいろいろな人との出会いも楽しい。

      

課題図書を読む『フラダン』

 表紙で6人の男女の若者が、お日さまのように明るく笑いかけてくる。タイトルから見て、フラダンスのお話のようだ。男性のフラダンスってあるの? などと思いながら読み始めた

フラダン (Sunnyside Books)
 古内一絵作
 小峰書店

     

 主人公の穰は、高2になって水泳部をやめた。同学年でそりの合わない松下が次期主将になるからだ。松下は、穣に勝手にライバル心を燃やし、弱いものに強く、強いものにへつらう。そんなやつと部活をやる気はない。とはいうものの、穣は放課後、暇を持て余す。そんな穰の前に、フラ愛好会アーヌエヌエ・オハナの会長、詩織が突然現れ、強引に入会を勧める。しかも穣の「体が目当てだ」とまで言って迫ってくる。穣はことわり続けるが、同じころ転校生がやってきて、彼と一緒に無理矢理入会させられてしまう。
 転校生は、宙彦(おきひこ)といい、前はシンガポールのインタースクールにいた。抜群に素晴らしい容姿に恵まれ、帰国子女のせいか、何をやるのもスマートだ。女の子たちにもモテモテで、すべての子に平等に愛想をふりまく。
 フラダン愛好会の会員は2年女子が詩織と副会長の基子、穣と同じクラスのマヤ。1年女子が4人。そして、1年男子は、柔道部兼任の夏目と色白でもやしのような薄葉の2人だった。
 初めは、女のやる腰ふりダンスなんか、ちゃらくて、とてもやっていられないと思った穣だが、やり始めてみると、意外に身体能力が必要で、きついとわかる。フラダンスやタヒチアンダンスの歴史を読んでその深さを知り、会員たちの真剣さに打たれる。練習を重ね、慰問訪問へいくうち、次第にフラダンスにのめりこんでいく。
 詩織たちの目標はフラガールズ甲子園の男女混合フラでの優勝だった。
 入会者がさらに増え優勝まっしぐらのはずだったが、あることで詩織がショックを受けて落ち込み、会員の間にも亀裂が入り……。

 こうあらすじを書くと、友情と恋愛をからめた高校生の熱血部活物語と思われるだろう。確かにそうなのだが、実は、ずしんと重いテーマを抱え込んでいる。舞台が福島県立工業高校といえば分るだろう。転校生の宙彦以外は、みな小学生(穣は6年生)だった時、震災に遭っているのだ。だが彼らを「被災者」とひとからげにしてはいけない。それぞれ事情が異なる。被害のほとんどなかったもの、家族をなくしたもの、家をなくしたもの、家はあるのに帰還困難区域のため帰れないもの、原発の関係者家族……。被災者の苦しみは、いろいろな感情や思いが複雑にからみあい、被害者同士でも計りかねている。だから、互いに口にすることを避けてしまう。思春期で、ただでさえ他者を意識し始めるころに、常識を覆す不条理な体験をし、極端な差が生まれ、その混沌から抜け出すことができずに立ちすくんでしまう。自分では何もできない。それを主人公の穰は「閉塞感」と言っている。作品では、それぞれ事情の異なる高校生たちが、フラダンスをともにする中で、自分のことを語りはじめ、ぶちまけ、分かりあい、開放的になっていく。
 福島から遠く離れた地に住む私は、福島の子どもたちが、現在も体験している苦しみをまったく気付いていなかったので、まずその実情に驚かされ、読んでよかったと思った。

 だがこの作品のすごいのところは、このように重いテーマをしっかりと伝えながら、とんでなく楽しく読ませてくれることだ。まず、物語を、穣の心の声が高校生らしい視点と言葉で語っていくのだが、それがとても軽妙で、非常に面白い。空気を読まずに入会を迫る詩織(ストーカー女)と宙彦(シンガポール男)を「非日常コンビ」と呼び、色白をかくすために全身に濃いファンデーションを塗られたもやし男子を「瀕死のナナフシ」と比喩する。自分を慕っていると思いこんでいるマヤへの敏感な視線と、マヤの言動への穣の気持ちの微妙な揺れや、穣と宙彦の軽いノリの会話も楽しく、わたしは何度も吹き出しそうになって読んだ。その同じ口が、震災なシビアな側面を真剣に語っていくと、心にずしんと入ってくる。
 登場人物がすべて個性的で、際立っているのもいい。とくに宙彦は日本人に珍しいタイプだけに楽しい。震災を体験していない帰国子女の彼が登場人物に加わることで、風穴をあけ、希望を吹きこんだといえるかもしれない。外見がまったく違うけれど仲のよい1年生男子の夏目と薄葉のつながりには泣かされた。そして、ひときわ魅力的なのは、後半にでてくるヤンキーな浜子だ。包み隠しのないまっすぐな人だと思う。表紙裏に並んで描かれているのはこの浜子ともやしみたいな薄葉。読み終わって見て、ふふっと思う。

 クライマックスは、フラガールズ甲子園でのパフォーマンス。課題曲の歌詞と彼らの思いが重なって、全力で踊る彼らに涙が止まらなかった。愛好会の名前、アーヌエヌエ・オハナ(虹のファミリー)ができあがる瞬間を見ることができた。

 さて、エピローグのラストを手帳に書き写しておきたいと私は思う。現実社会を生きていて、ときに閉塞感に襲われるとき自分をはげますために。
 
*第63回青少年読書感想文全国コンクール 高校の部 課題図書

 面白く読めるし、考えさせられるところがたくさんあるし、読書感想文が書きやすいんじゃないかと思う。

J保育園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 はじめて語るおはなし

 前回、工事のために通行禁止で迷走してたどり着いた園。今日は工事も修了していて無事たどりついた。しかし、涼しい。5月に行ったときよりも涼しいさわやかだ。

プログラム
 おはなし 鳥のみじい 日本の昔話
 おはなし おおかみと七ひきの子やぎ グリムの昔話
 手遊び 木がのびる *
 おはなし ねずみのおむこさん 日本の昔話 *

 おはなしは2回目とあって、子どもたちも慣れたのだろうか?涼しいせいだろうか? 前回より、全体によく聞いている気がする。「おおかみと七ひきの子やぎ」では、オオカミが来て子どもたちをたべてしまうころから、子どもたちの体の動きがとまってよく聞いているのがわかった。でも、さすがに長いお話なので、終わると「はぁーっ」とため息。「木がのびる」の手遊びをしてから、「ねずみのおむこさん」を私が語った。このお話は、他に語っている人をまだ見たことないし、私も初めて子どもの前で語るのでとても心配だった。子どもたちは長い話を聞いて疲れているので、できるだけ、楽しい感じで語ることを心がけた。反応は……どうなのだろうか? 何人も体を揺らしているから、すべてを集中してきいているわけではない。でも、お日さま、雲、風、壁にネズミのおとうさんが呼びかけるところ、それに答えるセリフのところになると、子どもたちがぴっと止まって、興味をもって聞いている感じがする。そんな繰り返しだつた。もし、一番目に語ったら、また違う聞き方をしてくれたかもしれないと思ったりする。また、どこかで語りたいお話だ。

        ←「ねずみのおむこさん」の出典本

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