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S幼稚園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 本に興味を持つ

 隔月でグループの人がかわるがわる行っているS幼稚園。今日は2回目。前回は、緊張していたのか、とてもお利口だったのだが、今日は、慣れてきたのだろう。また、暑いこともあるのだろう。初めに、ひとり廊下に出ていて、もうひとりは、語り手の後にいて、話の途中でも、何人かが立ち上がって。よくも、悪くも、自由奔放だった。

プログラム
 おはなし おいしいおかゆ グリムの昔話 *
 手遊び ミミズのたいそう *
 おはなし こすずめのぼうけん ルース・エインワース作

「おいしいおかゆ」は、とてもゆっくり語った。しっかり聞いているような子と、もぞもぞ動いている子と、そして、突然立ち上がる子と……。語り終わるころ、ひとりの子がとてもよく聞いていたので、その子を見ていたら、語り終わるとともに「おしまい」と、口を動かしていた。分ってくれていただろうか? 「こすずめのぼうけん」も同じような感じだった。
 お話が終わって帰るときになると、「本のなかが見たい」と言い出した子がいた。『こすずめのぼうけん (こどものとも傑作集)』の絵本を、1ページ1ページ開けて見せると、今度は『子どもに語るグリムの昔話〈1〉』も見たいという。字だけなんだよー。といって、1ページあけて見せた。もう少しじっくり見せてあげたほうがよかったかもしれない。本に興味を持ってくれたのは嬉しい。

    

K幼稚園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 1回目 おはなし会は一期一会

 この園は、昨年度1回だけ秋にうかがった。そのあと、冬にも予定していたが、その日なんと大雪に見舞われ、園がお休みでなくなってしまった。今年度は、今の時期と、秋に行かせてもらえることになった。
 今年は、園児が増えて、3クラスの80名程度。みな、お利口に座っていた。

プログラム
 はじまりのうた ろうそくぱっ *
 おはなし ひなどりとネコ ミャンマーの昔話 *
 手遊び ミミズのたいそう *
 おはなし ついでにペロリ デンマークの昔話
 おしまいのうた ろうそくぱっ

 先生が、ストーリーテリングの説明をしてくださったので、「おばさんの顔が見えるところに座ってね。」とだけ言って始めた。
「ひなどりとネコ」を語り始めると、はじめ、なんだろう?という感じでポカンとした顔をしていたが、怖いネコが出てくると、真顔になった。ネコにあげるはずのケーキをひな鳥が食べてしまうと、「ええっ」と、成り行きを心配してる子が何人か。これは、反応がいい子たちだとわかった。お母さん鳥がひな鳥のくしゃみを許してしまってからの子どもたちの反応が、おもしろかった。驚きの声を上げたり、肩を竦めたり、なかには、大きなくしゃみが聞こえると思ったのだろう、耳をふさぐ子も。ネコが逃げて行ってしまうとほっとしていた。
 次の「ついでにペロリ」では、ネコがなにかを食べるたびに、ええーっと大きな歓声が上がった。言葉が積み重なっていくところは、静かに聞いていて、「ペロリとのみこんでしまいました」ど「えーっ」となる。おはなしの最後まで、そういった感じだった。語り手もそれに合わせて、ゆっくり語っていた。聞き手の子どもたちによって、語り手によって、いろいろな面白さが変わってくる。

 前回同じプログラムでのD保育園での失敗と、今朝の小学校での失敗で、落ち込み気味だっただけに、今日K幼稚園で楽しく聞いてもらえて、とても助けられた。ありがとう!
 お話会って本当に一期一会だ。

朝の読み聞かせ 1年1組 よくばりすぎて失敗

 本当は先週のはずだったが、台風で暴風雨が予想されて休校になったので、今日、させてもらった。朝から暑い。でも、おととしぐらいから教室にもエアコンがついたので、さわやかだ。ありがたいことに、ずいぶん早くからクラスに入れてもらえた。これが、失敗の原因だったのだが……。

プログラム
 絵本 ぼく、あぶらぜみ (かがくのとも絵本) 得田之久文 たかはしきよし絵 福音刊書店
 おはなし おいしいおかゆ グリムの昔話
 絵本 まゆとかっぱ 富安陽子文 降矢なな絵 こどものとも2015.04 福音館書店

 実は、時間に合わせて、お話ひとつと、『ぼく、あぶらぜみ (かがくのとも絵本)』『まゆとかっぱ』のどちらかを読むつもりでいた。ところが、思ったよりはずっと早く入れてもらえたために、3つできそうな気がしてしまったのだ。『ぼく、あぶらぜみ (かがくのとも絵本)』は、ちょうど大雨の後、登校途中の子どもたちが、まだ抜け出していないセミの子の死骸を見つけたことあり、ぜひ、読みたかった。『まゆとかっぱ』は、子どもたちが絶対喜ぶ話だから、読みたい。そして、ストーリーテリングは一つ入れておきたい。と欲張ってしまったのだ。
 初めの『ぼく、あぶらぜみ (かがくのとも絵本)』は、子どもたちの興味をひいてよかった。でも、途中で始業の鐘(本当はここからが読み聞かせの時間)が鳴ってしまい、これは時間が足りない!!と思った。
 お話をおわり、『まゆとかっぱ』は、子どもたちの気持ちを置いて、超特急で読むしかなかった。それでも、かなり時間をオーバーしてしまった。時間がオーバーしただけでない。子どもたちもお話を十分に楽しめていない感じがした。そう、お話、読み聞かせは、じっくりと味わいながら、読み手と聞き手、聞き手同士が、気持ちを確認し合いながら進めると、一層楽しく心に響くのだ。失敗した!!と思った。
 機転を利かせて、また、欲を捨てて、「おいしいおかゆ」を抜かすか、絵本をどらかだけにしなくちゃいけなかった。欲張っていいことない。少し、少ないくらいがちょうどいいのだ。
 深く深く反省した。今日のこと、忘れないようにしよう。(最近、すぐ忘れちゃうから、どこか見えるところに書いておこう) 

        

7月のおはなし広場 みんなで楽しもう

 今、町は恐ろしい雷雨に襲われている。おはなし広場のあった午前中は、かっかとお日様が照りつけていたのに。近年、雨の降り方が本当に激しくなった。また、各地で被害がでないといいが……

 さて、おはなし広場。10分休みのあとの2時限目。でも、子どもたちは時間より早いぐらいに部屋へ入って、並んでくれた。部屋の移動もすっかりなれたようだ。

プログラム
 絵本 とべバッタ (田島征三) 田島征三作 偕成社
 おはなし さるの生き胆 日本の昔話
 紙芝居 かりゆしの海 (ひろがるせかい) (まついのりこ・かみしばいひろがるせかい) まついのりこ作 童心社 *
 絵本 おっきょちゃんとかっぱ (こどものとも傑作集) 長谷川摂子文 降矢なな絵 福音館書店
 大型絵本 せんたくかあちゃん (こどものとも傑作集) さとうわきこ作 福音館書店 *

 今年の子は、無邪気というか、反応がいいというか、とにかく、よく声を出す。『 とべバッタ (田島征三)』では、絵の中の生き物に興味津々で、友だちと指をさしながら、見ていた。ヘビやカエルがバッタを逃したり、バッタがついに飛んだりなどで大はしゃぎだ。絵本の内容がわかっているんだろうかと少し不安になる。でも、「さるの生き胆」は真面目な顔をして聞いていた。石もち鯛やクラゲの由来を聞くと、「へえー、おもしろい!」との声。
 海続きで『かりゆしの海 (ひろがるせかい) (まついのりこ・かみしばいひろがるせかい)』。はじめ、わいわい言っていたので、不安になったが、やはり1年生。「ユガフ タボーリ」という言葉を言うと、海に色がはいるとわかると、真剣に声を合わせて言ってくれた。最後の沖縄の海が見えると、またまた大はしゃぎに。ものすごくテンションが高くて、圧倒されそうだ。
 しかし、『おっきょちゃんとかっぱ (こどものとも傑作集)』は、絵をじっと見て真剣に聞いている。ただ、おっきょちゃんが、はだかんぼうで、伸びをして立つシーンでは、恥ずかしそうに笑う子が何人も。もう、そういう年頃なのだ。
 ラストの『せんたくかあちゃん (こどものとも傑作集)』は、「知っている~」という声が多かったが、それでも、ページを捲るごとに喜んで見てくれた。雷様に顔がなくなって、子どもたちに書いてもらったり、他の雷たちが自分たちも顔を書きなおしてもらおうと、大勢で押し寄せてきたりするところでは、笑いに笑っている。それで、雷様たちが、何がそんなに面白いんだろうと、この町にもやってきたのかもしれない。
 まあ、とにかく、みんなで楽しむ、よいお話会になった。

    

7月のK図書館分館おはなし会 雨の日は家族で

 大雨が続いて、全国で被害が出ている。お見舞い申し上げます。

 幸い、私たちの地域は特別警報が出ているもののも、豪雨ほどは降らず、避難勧告などもない。こんな日のおはなし会。みな自宅にいて、誰もいないだろうと思っていたが、なんと3組の親子がそれも家族できていた。0歳さん1人、2、3歳さん2人、小学生低学年2人だ。

プログラム
 わらべうた いなかのおじさん *
 絵本 ねられんねられんかぼちゃのこ やぎゅうげんいちろう作 こどものとも年少版201806 福音館書店 *
 絵本 ピッツァぼうや ウィリアム・スタイグ作 木坂涼訳 セーラー出版 *
 わらべうた だいこん かぶら にんじん/いもにめがでて *
 絵本 チトくんと にぎやかな いちば (児童書) アティヌーケ文 アンジェラ・ブラックスバンク絵 さくまゆみこ訳 徳間書店 *
 紙芝居 あめこんこん (松谷みよこかみしばいちいさいモモちゃん) 松谷みよ子脚本 鈴木未央子画 童心社 *
 エプロンシアター かえるののどじまん

 子どもたちは一列に並んで、とても楽しそうに絵本を見て聞いてくれた。『ねられんねられんかぼちゃのこ』と『ピッツァぼうや』は、いちばん小さな子も、きゃっきゃっと笑っているし、大きな子も面白がっていた。『チトくんと にぎやかな いちば (児童書』は、アフリカの市場の様子がおもしろくて、じっと見ていた。タクシーがバイクなのに驚いた様子だ。
 わらべうたでの手遊びでは、お兄ちゃんが弟に教えながらやっていたのが微笑ましい。弟も笑いながら一生懸命やっている。ああ、こういうのいいなあと思う。
 最後のエプロンシアターでは、子どもたちが、演じ手にマイク(フェルト製)で「お名前は」と聞かれて、恥ずかしそうに、でもとても嬉しそうに名前を言う姿が可愛らしかった。
 外は、断続的に大雨。でも、お話の部屋では、家族の穏やかな時間になった。

     

D保育園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 1回目 語りなれたお話こそ怖い。

 大雨警報がでて、市内の小中学校は自宅待機だったので、保育園もお休みだろうと電話してみると、意外にも「大雨暴風警報以外は通常通りなので、園児たちも来ています」とのこと。では……と出かけていった。でもやはり園児は通常の半分の14名。延期してもらえばよかったかもしれない。

プログラム
 はじまりのうた ろうそくぱっ *
 おはなし ひなどりとネコ ミャンマーの昔話 *
 手遊び だいこん かぶら にんじん *
 おはなし ついでにペロリ デンマークの昔話
 おしまいのうた ろうそくぱっ

 背筋をぴんと伸ばして聞いている。でも、なんだろう、あまり表情が動かないなあ、あれ。男の子はたった二人だ。なんて余分なことを考えながら「ひなどりとネコ」を語っていたら、肝心なセリフをひとつ抜かしていた。すぐに気づいて、うまく修正できないかと大急ぎで画策したが無理だと思った。仕方がないのでいったん止まり「ごめんね、ひとつ大切なことを言い忘れたから少し戻って話すね」といって、少し戻って語った。そのあとは、自分では動揺せずに巧く語ったつもりなのだけれど、なんだか子どもたちが最後まで、のってこないままになってしまった。
「だいこん かぶらのにんじんのほい」の手遊びは、ほいでじゃんけんをした。私がずっとグーをだしつづけると、とちゅうで、何人かが気がついた。最後に全員わかったところでおしまいに。次にピーを出して、またしばらくピーをだしてもよかったかもしれない。
「ついでにペロリ」の時は、クーラーの音が突然静かになり、語り手がびっくりして止まるというハプニングがあった。こちらのおはなしもどうも子どもたちは静かだけれど、なにか反応がないままに。
 なんでだろうなあ。人数が少なかったからなあ。雨続きで気分が沈んでいたからかなあ。といろいろ考える。

 その前に私は、もっと集中して語らないと。語りなれたお話こそ怖い。

課題図書を読む『クニマスは生きていた!』

 あっというまに7月。もう、図書館の課題本は子どもたちへ。ということで、今年はこの作品で最後です。

クニマスは生きていた!
 池田まき子作
 汐文社

     

 秋田県にある、日本で最も深い湖、田沢湖。かつては、そのの美しさから「神秘の湖」と呼ばれ、20種類以上の魚が生息していた。だが、1940年の戦時、国を強化する国策により、水力発電と灌漑のためのダム湖となり、玉川の水を引き入れることになった。玉川は、玉川温泉からの強い酸性の水が流れ込むため「毒水」と呼ばれる酸性水だった。田沢湖の魚はほとんど死滅し、「死の湖」となる。世界中で田沢湖にしか生息していなかったクニマスもまた、生態も習性も解明されていないまま、姿を消した。
 だが、2010年、山梨県の西湖で、クニマスがみつかる。

 クニマスと田沢湖の歴史を、最後のクニマス猟師、三浦久兵衛さんの生涯を中心にして表した作品。とにかくたくさんの情報が盛り込まれている。人名、数値を正確に明記し、資料写真もある。ほぼ時系列で進むが、ときどき時間が前後し、江戸時代の記録や湖の辰子姫伝説まで差しはさんまれているので、歴史的、地理的な感覚が劣る私は、ときどき迷子になり、読むのに時間がかかってしまった。予備知識のないものが読めるよう、専門的なことを丁寧に説明してくれているのはありがたいが、その量が多岐にわたり、しかも多いので、読み物としては、焦点がぼやけてしまった感がある。

 テーマは、作者が「はじめに」で書いているように、「人と野生生物との共存」。

 作品の軸である三浦久兵衛さんの生涯は、8歳(1930年)からはじまる。三浦家は、さかのぼると江戸時代、十代以上前からクニマス漁をしてきた、言わば、クニマス漁師の名家だ。そのため、家に古い文献、書簡が保存されていた。さらに、祖父は漁業組合の理事もしており、人工ふ化に関わっていた。それが久兵衛さんの代になって、漁場の「ホリ」を発電所に渡すことになり、廃業せざるを得なくなった。その口惜しさ、クニマス猟師としての誇りが、久兵衛さんを突き動かし、家に残る資料をもとにクニマス探しが始まり、人々にクニマスが知られるようになる。
 
 この久兵衛さんの物語を進めるうえで、当然、二つのことが絡んでくる。ひとつは、クニマスの絶滅と再発見までの経緯。もうひとつは、田沢湖の変遷と今後だ。

 田沢湖で絶滅したはずのクニマスが、遠く離れた西湖にいたのは、実は、人工ふ化卵の分譲という人為的な行為からだった。その分譲は祖父の代1935年に行われており、そこからなんと75年の期間をえて発見されるのは、本当に驚くべき奇跡である。
 だが、ひねくれた見方をすれば、人為的な行為により絶滅させらたクニマスが、人為的な行為で命を繋いだということになる。人工ふ化と分譲は、クニマスに希少価値があるから行われた。人を豊かにするための人為的行為だ。でも、繁殖しにくいクニマスは、西湖の生態系を(おそらく)壊すことなく、喝采して迎えられた。
 一方で、田沢湖のダム建設も、戦争という背景があるもののやはり、人を豊かにするための人為的行為のはずだった。電気が必要だったし、玉川の水をひいても湖の水で薄めれば何の影響もないと役人たちは考えていた。だが、結果として、田沢湖を死の湖にしてしまった。
 ここに、自然に影響を及ぼす人の身勝手さと責任を感じる。人は、より豊かに生きるために自然を都合よく変えてきたし、これからもそうするだろう。でも、そのやり方によって、良い結果も、悪い結果も生まれる。この地球で人がいつまでも豊かに暮らせるかどうか、人の叡智が試されているのだ。

 くずれた生態系が、巡り巡って、人に脅威を与えるようになって、人ははじめて、生態系、生物多様性の大切さに気づいた。「人と野生生物との共存」は、きれいに聞こえるけれど、やはり人が中心だ。あくまでも人の未来永劫の生存のために、どうバランスをとっていくのか、なのだ。作品を読んで、そんなことを考えた。

*第64回青少年読書感想文全国コンクール 小学校高学年の部 課題図書

6月のひよこちゃん なんかうまくいかない日

 雲がどんよりして蒸し暑い日。おはなし会に使っていた部屋は自習室になり、今日から、おはなしの界の部屋は絵本の部屋に移動。前の部屋より広めだ。まず3組の親子で始め、途中で2組はいってきた。

プログラム
 わらべうた くまさんくまさん *
       お茶を飲みに来てください *
 絵本 あかいボール 高部晴市作 こどものとも0.1.2. 2016.07 福音館書店
 絵本 とまとさんがね‥ (おいしいともだち) とよたかずひこ作 童心社
 わらべうた あめんなかから/じーじーばー *
       ぎったんばったん *
       いもむしころころ *
 絵本 のせて のせて (松谷みよ子 あかちゃんの本) 松谷みよ子作 東光寺啓絵 童心社 *
 絵本 おーい はーい (はじめてえほん) 和歌山静子作  ポプラ社 *
 紙芝居 いもむしころころ (年少向けおひさまこんにちは) 長野ヒデコ作 童心社 *
 紙芝居 だっこだっこ 黒井健作 教育画劇

 9か月の赤ちゃんがひとり。あとは1~2歳さんだ。図書館で絵本を読んでもらうのは慣れていないのだろう。はじめのわらべうたの間は、じっと見ていたが、絵本になるとなかなか 絵本の方を注目してくれない。それでも、ハンカチを使って、「あめんなかから」「じーじーばー」は、喜んでやってくれた。特に赤ちゃんが大喜び。きゃっきゃっと笑っている。でも「いもむそころころ」になると、赤ちゃんは泣きだした。反対に1、2歳さんは大喜びしている。そして、絵本となると、また、注目してくれなくなった。でも、『おーい はーい (はじめてえほん)』は知っている動物が出てくるので、ときどき見て、動物の名をいっていた。この間に、3組の親子が、出ていってしまった(悲しい)。2組は用事があるとのことだから仕方ないけれど。
 紙芝居『いもむしころころ (年少向けおひさまこんにちは)』もうまくいかなかった。1歳さんは舞台の方が興味があって、後へまわったり。でも『だっこだっこ』のときは、お母さんのおひざに座ってじっと見ていた。なにか自分なりに思うところがあったのだろうか?
 そんなこんなで、今日はちょっとうまくいかない日になってしまった。うっとおしい天気だし、子どもたちも、いつもよりごきげんななめだったのかな?

    

課題図書を読む『すごいね! みんなの通学路』

 途上国の子どもたちを支援してきた国際NGOプラン。そのなかのプラン・カナダによりつくられた絵本。巻末の作者紹介によれば、ローズマリー・マカーニー氏はプラン・カナダの前代表だそうです。

すごいね!みんなの通学路
 ローズマリー・マカーニー文
 西田佳子訳
 西村書店

     

 世界の子どもたちの通学路を写真で紹介する写真絵本。
 最初に出てくる通学路は、地震・津波のあとの日本と、台風のあとのフィリピン。でも、これは非常時。次はアメリカのバス通学。これは、日本でもあるかもしれない。あまり珍しくない。
 そのあとから、ええーっと驚きの声をあげたくなる通学路が次々と登場する。川を渡るのに、半ズボンのすそをたくしあげて歩いたり、舟をこぐのは、まだ序の口。空中に渡したロープをたぐったり、ワイヤーを上下に2本渡しただけの橋をつたったり。まるで、フィールドアスレチックをしているみたい。楽しそう? でも、遊んでいるんじゃない。とても危険だ。
 危険といえば、険しい山のある中国の通学路も恐ろしい。文字通り一歩間違えたら、滑落事故になってしまう。
 いろいろな動物を利用していく子もいる。これは、日本の子には、うらやましいかもしれない。カナダの犬ぞりは、かっこいい。

 通学路は学校へ行く道。なのに、世界じゅうで、こんなに違っている! 通学路を見るだけで、いろいろな国の知らない世界が見えてくる。子どもたちの身近な通学路を通して、世界を見る、世界の窓となる絵本。

 なお、中表紙前には、ノーベル平和賞を受賞したマララさんの寄付で開校された、シリア難民キャンプの学校、中表紙を捲ると、フィリピンのストリートチルドレンと思われる女の子の写真がある。この2枚の写真から、世界中のすべての子が、学校で学べることを願ってつくられた絵本であることが感じられる。
 
*第64回青少年読書感想文全国コンクール 小学校中学年の部 課題図書

南K小学校 春の図書館祭 お昼休みのおはなし会 低学年向 みんなで「あー」

 低学年向けの今日は、1年生の先生が、ほぼ学年全部の子を連れてきてくださった。
その子たちの後ろに2年生、3年生がちらほらで全部で44名となった。

プログラム
 絵本 ケロリがケロリ (いとうひろしの本) いとうひろし作 ポプラ社 *
 絵本 すずめ だいすきしぜん22 唐沢孝一指導 内藤貞夫絵 フレーベル館
 絵本 あーと いってよ あー (幼児絵本ふしぎなたねシリーズ) 小野寺悦子文 堀川理万子絵 福音館書店

 担任の先生がいらっしゃるだけに、まるで授業のように、とても静かに聞いてくれた。私の読んだ『ケロリがケロリ (いとうひろしの本』も、次の『すずめ』も、本当にじっと見つめて聞いていたのだけれど、最後の『あーと いってよ あー (幼児絵本ふしぎなたねシリーズ)』ではじけた。いろいろな「あー」を本と一緒にいう絵本。読み手の誘い方も、分かりやすくて、子どもたちはとても楽しそうに「あー」と言っていた。でも、言い終わると、ちゃんとまた静かにして、次がどういう「あー」か、待っている。「あー」一つで、こんなにも世界が広がるんだと思った。おはなし会の時間は、少し短めで終わってしまったけれど、子どもたち大満足したと思う。「あー」よかった!!

  

課題図書を読む『太陽と月の大地』

 表紙、見返しの絵が美しい本。スペインのほんの短い期間を描いた歴史ものだが、「はじめに」と「あとがき」に歴史的背景が解説してあるので、知識がなくても読める。ただ、地理的な感覚がつかめないのと、やたらと長い名前が出てきて、読むのに苦労した。本文が156ページと短いなかに、たくさんの物語が詰め込まれているせいかもしれない。

太陽と月の大地 (世界傑作童話シリーズ)
 コンチャ・ロペス=ナルバエス文
 宇野和美訳
 松本里美絵
 福音館書店

     

 1492年、スペインでは、カトリックの王であるイサベル女王とフェルナンド王が、アラブ人のイスラム王朝が支配していたグラナダを制圧し、スペインを支配した。初めイスラム教徒は、キリスト教徒と共存できたが、1502年より、キリスト教に改宗しなければ国を去るよう勅令が下る。改宗したイスラム教徒は「モリスコ」と呼ばれた(イスラム教徒は「モーロ」)。さらに1526年にはアラビア語、アラビアの生活様式の禁止令がでて、1567年にはモーロの習慣が禁止された。1567年モリスコたちは王をたてて蜂起を決心。1568年12月に始まった反乱は2年以上続いて鎮圧され、1609年にはモリスコの国外追放令が出た。
 
 この作品は、最終章の手紙をのぞいて、1566年春から、おそらくは1571年の9月末まで。グラナダの地にずっと暮らしてきたモリスコの家族と、その地をおさめるキリスト教徒の伯爵家――両家が悲惨な争いに翻弄されていく様を、モリコスの若者エルナンドと伯爵の娘マリアの悲恋を中心に描いている。
 二つの家族は、領主・領民の立場の違いがあるものの友好関係で結ばれていた。特に祖父ディエゴが少年のころは、互いの宗教と風習を尊重し合っていた。老いたディエゴが切なく思い出すのは、伯爵家ゴンサロ少年と過ごした無邪気な時間だ。シエラネバダの山に登ってアフリカの海岸を二人並んで見る場面は美しい。キリスト教とイスラム教の狭間にあるその地に、立場が反対の二人が、唯一無二の友として立つのだ。二人はたがいに、宗教、人種、身分の関係ない、ひとりの人間と人間として向き合っている。
 エルナンドとマリアも、そうしたわけ隔てのない幼馴染だったが、年頃になり、互いに恋心を抱くようになる。伯爵の娘マリアは素直な気持ちをままでいられたが、モリスコとして苦渋を味わうエルナンドは、キリスト教徒たちに支配された恨みや悲しみに打ちひしがれてしまう。

 イスラム教とキリスト教が対立するなか、それぞれの側で、人々の気持ちは一応ではない。異教徒を徹底的に排除したいもの、宗教にかかわりのなく人間として相手を見るもの。伯爵はモリスコがこっそりイスラム教の儀式をするのに寛容だが、伯爵の息子でマリアの兄イニゴは、モリスコを疑い、危険だと感じている。エルナンドの兄ミゲルは、キリスト教徒と傷害事件を起こして逃げ、反乱軍に参加しながらも、罪のないキリスト教徒たちを逃そうとする。エルナンドのように、反乱に参加しないイスラム教徒もいる。
 だが、時の流れは容赦なく、その土地の人々を呑みこんでいく。この戦いでエルナンドの一家にも、伯爵家にも死者がでた。多くの人が無駄に亡くなり、幸せを奪われる。この無慈悲な戦いを見ていると、なぜ、争わなければならなかったのかと思う。ディエゴ少年とゴンサロ少年のように、共存する道もあるはずなのに。支配欲、権力を脅かされる恐れ。そんな人間の愚かさ弱さが、悲しい戦いを生み出す。
 この愚かな戦いは、今も世界中で繰り返されている。人をひとりの人間として見た時、宗教や人種、文化、風習の違いなど、とるに足らない違いで尊重し合えるはずなのになぜ?と思う。

 ところで作中には、サンフアンの夜やラマダーンの儀式が描かれ、グラナダに残る恋の伝説が挿入されている。血なまぐさい戦いの物語のなかに、異国情緒あふれるロマンチックな香りがふっと漂い、読者をひととき楽しませてくれる。

 表題の「太陽と月の大地」は、作中に出てくる魔女が、エルナンドとマリアの将来を予言し、そのなかで「太陽はキリスト教徒の味方」「モーロに寄りそう月」とつぶやいたことからわかるように、キリスト教徒とイスラム教徒を暗示している。グラナダは二つの宗教が交わる大地だ。
 魔女は、太陽の強い日差しが月の光を隠すという。でも、太陽と月はいつも、空に共存しているのだ。
 
*第64回青少年読書感想文全国コンクール 中学校の部 課題図書

南K小学校 春の図書館祭 お昼休みのおはなし会 高学年向 聞きたい子が来ている

 毎年、図書委員のやり方によって変わってくるる図書館まつり。今回は、スタンプはお話を聞いた後に、廊下で。司会はボランティアに任せるという形だった。
 良い天気であることも手伝ってか、子どもたちはなかなか集まらず。ようやく読めるようになったのは、開始予定より5分経過後。それで、読んだのは2冊のみとなった。

プログラム
 絵本 ウエズレーの国 ポール・フライシュマン文 ケビン・ホークス絵 千葉茂樹訳 あすなろ書房
 絵本 こしぬけウィリー (児童図書館・絵本の部屋) アンソニー・ブラウン作 久山太一訳 評論社

 集まったのは35名ぐらい。初めに来たのは、2年生くらいの小さな子たち。5、6年生が何人か入ってきたところで、始めた。

 総じて静かによく聞いていた。1冊読んだ後に出て行く子もいなかった。聞きたい子が来てくれたのかなと思う。私の『こしぬけウィリー (児童図書館・絵本の部屋)』は、遠目が聞くかどうか、少し心配だ。ゴリラの絵にはじめ笑っていたけれど、お話が始まると、しんとしたので、少し驚いた。ラストで主人公が棒にあたって謝ると、最前列の2年生が「棒だよ」の声。くすりとさせる面白さ、分かってくれたかなあ。

   

課題図書を読む『がっこうだってどきどきしてる』

 クリスチャン・ロビンソンは、イラストを描いた『おばあちゃんと バスにのって』でニューベリー賞を受賞、コールデコット賞ではオナーに選ばれている。『おばあちゃんと バスにのって』のほかに、『ガストン (講談社の翻訳絵本)も、私は好きです。

がっこうだって どきどきしてる
 アダム・レックス文
 クリスチャン・ロビンソン絵
 なかがわちひろ訳
 WAVE出版

     

 建てられたばかりのぴかぴかの学校は、自分が何者か知らない。ドアの上に「がっこう」と書いてあるので学校だと知り、用務員さんから、じきに子どもたちが大勢来て勉強したり遊んだりすると教えてもらう。子どもたちが初めて来る日、学校は、たくさんの子どもをどきどきして見る。いろんな子がいる。走り回る子、ジャングルジムによじのぼる子。学校が嫌いな子もいる。それを知ると、学校も嫌な気持ちになる。給食、勉強とにぎやかな一日が終わり……。、

 子どもにとって、はじめての学校はどきどきわくわく。期待と不安の入り混じった気持ちを、視点をくるりと回転して学校側から描き、学校がどんなところか、子どもたちに紹介する。学校が擬人化され、まるで、読み手の子どもたちの、友だちの一人のようだ。
 白地の背景にしたクリスチャン・ロビンソンのカラフルな絵は、、必要なことを、すっきりと見せている。そこには、アメリカの絵本らしく、多種多様の子どもがいる。肌の色、髪の色、服装が違うだけでなく、スケボーの子や車いすの子、活発な子や内気な子……。教室での授業の様子は、日本と思うとずいぶん自由な感じだ。でも、給食のときの牛乳で遊ぶ子は、日本でもありそう。
 日本の子には、学校のことだけでなく、世界の多様性を知るきっかけにもなるだろう。

*第64回青少年読書感想文全国コンクール 小学校低学年の部 課題図書

6月のおはなし広場 1年生、最初のおはなしは「マメ子と魔物」

 朝、台所で片づけものをしていたら、いきなり、ぐらっと来て、目の前にひっかけてあった計量カップが、ぶらぶら揺れだしたので、びっくりした。結構揺れている時間が長いので、もっと大きなのが来るのだろうか、と慌ててテレビをつけたら、大阪で震度6弱とのこと。私の地域は、震源地から遠く、大丈夫そうなので、そのまま学校へでかけた。

 さて、おはなし広場。今日は新しい方が2名入ってくださったので、早めに行って打ち合わせした。いつも使う机がなくて、先生にお願いしたり、新しい方に説明したりで、気が落ち着かない。でも、子どもたちが入ってくる前に準備は終わり、新しい方はともに素晴らしく読んでくださり、とても勉強になった。力強い仲間がふえた。

プログラム
 紙芝居 天からのおくりもの (あたらしい民話でてこい 第 1集) 市川 和子脚本 すずき はつお画 教育画劇
 おはなし マメ子と魔物 イランの昔話 *
 絵本 おなら (かがくのとも絵本) 長新太作 福音館書店
 大型絵本 こすずめのぼうけん (こどものとも劇場) ルース・エインズワース作 堀内 誠一 絵 石井桃子訳 福音館書店
 大型絵本>キャベツくん (ぽっぽライブラリ みるみる大型絵本) 長新太作 文研出版

天からのおくりもの (あたらしい民話でてこい 第 1集)』では、セリフを演技して読んで下さったので、子どもたちにもよくわかったようだ。へびなどが入った壺がでてくると驚いていた。
 私は「マメ子と魔物」を語った。このお話は今まで何回か語ったことがあるが、1年生に語るのは初めて。しかも、今日子どもたちは小学校で初めて「ストーリーテリング」を聞く。ちゃんと聞けるだろうかととても不安だった。初めのうちは案の定、もぞもぞしている。でも、魔物が出てくるあたりから、まっすぐこちらを見て聞き出した。マメ子が、おかしな、でも機転の利いたことを言ったりすると、笑って楽しんでいる。1年生なのにザルで水がくめないことを理解する子がいた。このお話にしてよかったと思う。
 次の『おなら (かがくのとも絵本)』は、子どもたちはもう大はしゃぎだ。なにせ、大好きなおならだから。その上、読み方がとても自然でよかった。ああ、こんな風に子どもたちと会話するように読めるなんてすごいなと思った。
大型絵本 こすずめのぼうけん (こどものとも劇場) 』は、読み手は小さな絵本を読んで、他のものが大型絵本を持って、捲った。私は捲る係。ストーリーテリングでお話を覚えているので、こっそり次ページの言葉を見て、タイミングをあわせてめくるようにした。これは、1度練習しておいた方がよかったかもしれない。
 15分ほど時間が余ったので、おまけの『大型絵本>キャベツくん (ぽっぽライブラリ みるみる大型絵本)』。もちろん、子どもたちは大喜び。読んでいる声が聞こえないほど、わいわい言うのだが、次の動物の名が出てくるときには、しんとして耳を傾ける。楽しみ方をよくわかっている。長新太さんが2冊なってしまったのは、失敗と思ったが、ま、子どもたち喜んでくれたから、よかったということにしておこう。

       

課題図書を読む『きみ、なにがすき?』

 絵本から本への綱渡しにぴったりとなる作品。作者のはせがわさとみさんは、たくさんの絵本作家を輩出している「あとさき塾」出身なのですね。

きみ、なにがすき?
 はせがわさとみ作
 あかね書房

     

 森の奥に住むあなぐまは、庭の草を抜いて畑をつくろうと思い立つ。

  くさぬくよ ほい
  いらないくさ ほい
  くさをぬいたら
  ぼくのはたけ   (p7)

 と歌いながら、なかよしのこぶたが好きなジャガイモをつくろうと思いつく。さっそく種イモを買いに行くと、途中でこぶたにばったり。こぶたは自分の畑でとれたじゃがいもをあなぐまの家に持ってくるところだった。じゃあ、じゃがいもはつくらなくていい。そこで、あなぐまは、家に帰って草をぬきながら考えた。そうだ、りすのの大好きなりんごの木を植えよう。そこで、りんごの苗を買いに出かけると、今度は、りすに出会う。りすは自分の家の裏庭でとれたりんごをあなぐまに持ってくるところだった。じゃあ、りんごの木はもう植えなくていい。それなら……。あなぐまは、うさぎの好きな人参、はりねずみの好きなきいちごと、畑で育てるものを考えるけれど、ことごとく、自分が作るまでもないと分って、とうとう、怒り出す。

 大好きな友だちを喜ばそうと張り切ったのに空回り。喜ばすつもりが、いつのまにか、腹をたてて八つ当たりして、いじけてしまう。そんなつもりじゃなかったのに……。子どもの心に寄り添った、なんてかわいらしいおはなしだろう。やさしい色使いの絵も、ほのぼのとかわいらしい、このお話にぴったりだ。

 いいことを思いついたあなぐまが家を出て、こぶた、りす、うさぎ、はりねずみと出会う。この繰り返しで話が進んでいく。読む者は、先が容易に予測でき、あなぐまの気持ちが、嬉しさと落胆に、大きくアップダウンするのがおかしくてかわいい。一方で、あなぐまの気持ちには、焦りが少しずつまじりはじめ、出会うタイミングも早くなり加速して、あなぐまが怒りを爆発させるクライマックスに向かう。この変化が面白く、一層楽しく読める。

 友だちが大好きなこぶたが、庭につくったものは……。だれもが納得して、いいなあと思えるラストが素敵だ。

*第64回青少年読書感想文全国コンクール 小学校低学年の部 課題図書

課題図書を読む『最後のオオカミ』

 課題図書に選ばれない年が珍しいんじゃないかと思えるぐらい、よく選ばれているマイケル・モーパーゴ。歴史が絡む作品が多いせいでしょうか? 本作は、ロンドンの国立美術館テート・ブリテン付きの作家である(このことを、私は、この本のあとがきで初めて知りました)彼が、美術館の絵の1点にまつわる物語をと頼まれて書いた作品だそうです。

最後のオオカミ (文研ブックランド)
 マイケル・モーパーゴ作
 はら るい訳
 文研出版

     

 肺炎をこじらせ、家で安静治療をしているマイケル・マクロードは、孫娘から教わりながら、パソコンで自分の家のルーツ調査を始める。
 スコットランド人である父方の家系をさぐるうち、アメリカに住む女性マリアンからメールが届く。マイケルとマリアンは遠縁のいとこで、ふたりの祖先は、1700年代、スコットランド北部インバネス州にいたロビー・マクロードだろうというのだ。さらに彼女は、祖先ロビーの遺言書をみつけてスキャンしたから、送信してくれるという。送られた遺言書には、ロビーの驚くべき一生が物語られていた。

 ロビーは幼くして父母を失い、インバネス州の叔父に引き取られる。だが、ひどい扱いをうけ12歳のとき逃げ出し、物乞いや盗みで飢えをしのいだ。ある日、子どものいない親切な夫婦に引き取られ、実子のようにかわいがってもらう。3年の幸せな時を過ぎたあと、チャールズ王子ひきうるスコットランド軍が、イングランドめざして挙兵した。ロビーと養父は、養母の反対を押し切って入隊。カロデン・ムアでの戦いで養父は銃に撃たれて死亡する。ロビーは家に逃げ帰ったが、養母もイギリス軍に殺されていた。反乱軍兵士としてイギリス兵に追われる身となったロビーは、スコットランド高地へ逃げこんだ。
 逃げまどうなか、ロビーは、「スコットランド最後のオオカミ/この石の近くで射殺される/一七四六年四月二十四日」と印された石をみつける。その近くには、オオカミの子どもがいた。ロビーは、そのオオカミの子をチャーリーと名付け、ともに逃亡生活を続ける。
 ロビーは、チャーリーが大きくなってからは、猟犬に見えるように毛をかって連れて歩いた。そして、エジンバラに出て、仕事をみつける。だがイギリス兵も大勢いたので、目立たないように気をつけた。
 ある夜、港を散歩しているロビーとチャーリーに、アメリカへ渡らないかと、ペリカン号の船長が話しかけてきた。船長はロビーがイギリス兵に追われていること、チャーリーが実はオオカミであることを、はっきりと口にしないが見抜いていた。ロビーは船長に身をゆだねることにする――。

 かなり大きな文字でたった約80ページの遺言の手記に、ロビーの波乱万丈な人生がおさまっている。そのため、物語の展開がものすごく速い。出来事だけを追ってどんどん読み進める。
 イギリス兵を逃れて多くのスコットランド人がアメリカへ逃げた歴史、オオカミの子の成長とロビーとの気持ちの交流、新天地での自由、ルーツ探し……短いページに、ぎっしり詰め込まれているが、そのすべてが、ざっくりしている。読者によって興味を持つ対象は違うだろうが、興味のその先のへと進む入口となる作品となるかもしれない。
 ただ、やはり、ダイジェスト版のような読後感で、もっとみっちり書かれた物語で読みたかったと思ってしまう。日本の小学生たちは、おそらく歴史的背景になじみのないだろうが、この作品をどう読むだろうか?

*第64回青少年読書感想文全国コンクール 小学校中学年の部 課題図書

H小学校 朝の読み聞かせ 1年2組 今回も『まゆとかっぱ』が喜ばれる

 今年度からH小学校は、学級委員がお世話をしてくださることになった。ボランティアを部屋に案内して、子どもたちと一緒に聞いてくれる。ボランティアと子どもたちを見て、読み聞かせを自分でもしたいなと思う方が出てくるといいなと思う。

プログラム
 手遊び 頭にぼうし目にめがね
 おはなし おいしいおかゆ グリムの昔話
 絵本 まゆとかっぱ 富安陽子文 降矢なな絵 こどものとも 2015.04号 福音館書店

 これぞ1年生。とっても元気がいい。担任の先生が子どもたちを読み聞かせの体勢に座らせるのに、苦労されている。おはなしと絵本を用意し、もし時間があれば、お話の前に短い絵本をと考えていたのだが、その時間はなさそうだ。だが、この元気が有り余っている子たちに、知らないおばさんが、いきなり、しっとりと、おはなししても聞いてもらえるだろうか? そこで、手遊びを少しだけして、お話を始めた。
 はじめ、きょろきょろしたり、ひとことひとことに過剰に反応を示していた子どもたちも、次第に静かに聞き出した。よしよしと思ったところで、チャイムならぬ音楽が……。ああ、この学校はそうだったと、内心苦笑いしつつ、ここは頑張るしかないとかまわず語り続けた、子どもたちは、めげずに語る私を見て、ちゃんと聞かなくちゃと思ったのか、それまでよりさらに一生懸命、聞いている。気持ちは通じるものだ。語り終わると、「じゃあ、おかゆがいっぱい食べれる」と今まで聞いたことのない感想をいってくれた子がいた。おかゆがたくさんあることが悪いことではなくて、いいことなんだ。なるほど~。
『まゆとかっぱ』は、机の後ろにいた子が、まゆシリーズを知っている子がいて、「すごい力持ちだよ」と説明して、前の方に出てきた。ああ、この本を選んでよかったと思う。子どもたちは、とてもよく聞いていた。カッパが次々出てくるのをとても面白がった。まゆがデッカマルを投げ飛ばすと、大喜びだ。
 読み終わって、まゆシリーズはまだほかにもあるから、市立図書館などで探して読んでね。というと、「まゆとかっぱがいい」という声。他も面白いから、読んでほしいと思う。

H児童センター 未満児さん おはなし会 自由参加で楽しく

 前回道を間違えてしまったH児童センター。今日はまちがえないようにと思っていたのに、また、曲がる交差点を通り過ぎてしまった。でも、今回はすぐ気づいてUターン。無事つきました。

プログラム
 わらべうた くまさんくまさん
 絵本 ぽつぽつぽつ 増田純子作 こどものとも0.1.2. 2013.06 福音館書店
 絵本 ちょうちょうひらひら まどみちお文 にしまきかやこ絵 こぐま社 *
 わらべうた ちょうちょう *
       ぎったんばったん *
       ももやももや *
 絵本 ちゅうちゅうちゅちゅちゅ 村田エミコ作 こどものとも0.1.2. 2018.05 福音館書店
 紙芝居 くいしんぼうのまんまるおに (かずとかたちのファンタジー) 松井エイコ作 童心社
 わらべうた くまさんくまさん

 いつものように、まずはセンターの先生と親子のリズミ遊びを3つ。ジャンプをしたリ、お母さんのおひざでバス旅行に行ったり。ミックスジュースの手遊びもあった。それから私たちのおはなし会になる。13組の親子が集まっていた。ほとんど2歳くらいの子たちで、1組は下の子が1歳ぐらいだった。
 2歳くらいだと、歩き回ったりする子もいるけれど、絵本にも興味があって、よく見ていた。『ぽつぽつぽつ』では、いっしょに「ぽつぽつ」といってみたり、かえるを見て「カエル!」と叫んだり。そのあと私が『ちょうちょうひらひら』を読んだ。「ちょうちょうひらひら」のところだけ、わらべうた調に歌うと、歌の力は大きくて、やっぱりよく見てくれる。淡い絵はちょうちょうが少しわかりにくいので、「あっ、白いちょうちょうさんが飛んできたよ」と説明も入れた。ゾウがでてくると「ぞうさん!」との声。大きなゾウは子どもたちの人気者だ。そのあとねハンカチを「ちょうちょうひらひら このこにとまれ」と歌いながらハンカチをくばってわらべうた遊びをした。ここでも、やらない子はいる。でも、やっている子はとても楽しそうに一生けん命やっていた。まだ小さいもの自由参加でいい。「ももやももや」は3回やったのだが、3回目にとてもうまくてきた子がいたそうだ。
 とても喜んだのは紙芝居『くいしんぼうのまんまるおに (かずとかたちのファンタジー)』だ。まずは舞台に興味津々。沢山の子が前に出てきて触りたがる。初めのうちは、その子たちを座らせるのに先生とお母さん方が大わらわ。でも、途中から、絵をじっと見ている。どこまでお話を理解しているかどうかはわからないが、オニが泣くと「おなかが痛いの」と言う子がいたり、グネグネ道をなんだろうという顔をしてみたり。子どもたちが惹きつけられているのがわかった。
 おわっから別室でお茶をいただいていると、「くまさんくまさん」を歌っている子がいる。ここいうのを聞くと、とても嬉しくなる。

  

朝の読み聞かせ 4年1組 強行スケジュール山越えの日

 今週は5日連続のおはなし会。明日以外はみなストーリーテリングで、年齢や場所が違うために、毎回ちがうお話を語ることになってしまった。きょう語ったのが、いちばん慣れていないので、山越えだと思っていた。さて……

 語ったのは「小石投げの名人」。ラオスの昔話だ。
 朝、さらっとおさらいしたとき、あれ?なんだか、最初のあたりが怪しいぞと思ったのがいけなかっただろうか。初めのうち、少し語っては空白、また少し語っては空白という感じになってしまった。それでも、途中からは調子を取り戻したので、安心して、最後まで語り終えた。子どもたちは、じっときいていた。王様が大臣の口の中に土の粒を投げ込むようタオ・カムに命じ、それが成功したあたりは、面白そうにする子もいて、いちばん子どもたちが面白そうに聞いたところだ。ラストのところは、チャイムが鳴ってしまったので、子どもたちの気もそれた。おはなしの筋は終わり、教訓的なところも入っているので、子どもたちにはつまらない部分かもしれないが……。
 先生からは「こんなに長いお話を覚えられてすごいですね」というお言葉。うーん、たどたどしくて覚えた!という感じになってしまっただろうか? だとしたら嫌だなあ。いや、そんな風にとってはいけない。思うように語れないと、素直に受け止められないんだよね。

 今回、わたしには強行スケジュールすぎて、気持ちよく語るまでいかなかったかもしれない。子どもたちには私のスケジュールなど関係ないわけで……だから、もっと無理のない計画をたてないと……。でも、おはなし会って重なるし、新しいお話も覚えたいし……。
 悩みは尽きないけれど、なにはともあれ、最後まで大過なく語ったのだから、よしとしよう。

K第2幼稚園 年長さん ストーリーテリングによるおはなし会 子どもたちに届くことを願って語る

 もう何年、この園に行かせてもらっているだろうか? 年長さんに、年に3回。子どもたちに喜ばれるお話をと考えるうちに、だんだんプログラムが決まってきた。今回も手遊び以外は同じ内容。でも、子どもたちは毎年変わるから、それでいい。

プログラム
 はじまりのうた ろうそくぱっ *
 おはなし ひなどりとネコ ミャンマーの昔話 *
 手遊び ふくすけさん *
 おはなし ついでにペロリ デンマークの昔話
 おしまいのうた ろうそくぱっ

 たいてい落ち着いている園なのだが、今年の子はとりわけお利口な感じがした。全員きちんと背筋をのばしてお山すわりをしている。はじめてのことなので、緊張しているのだろうか。
「ひなどりとネコ」は、とてもよく聞いてくれたように思う。ひなどりが何度もくしゃみをしたいとおかあさんどりに言うところでは、何人かが、にこにこと笑っている。とうとうくしゃみをしてしまうと、いちばん前の子がびくっと飛び上がったのは、驚いた。
 でも、それで疲れたのだろうか?「ついでにペロリ」では、反応がいまひとつだ。語り手も語りにくそうだ。それでも、おはなしのあとで、先生がネコはどんなおなかだろうね?というと、「赤ちゃんがいるくらい」とか、手でお腹を大きくして見せる子もいて、ちゃんと聞いていたんだと思う。
 お話をきいているとき、子どもたちの頭の中でどんなことが起きているのか、わからない。語る私たちは、ただ、お話が届くことを願って、素直にきちんと語りたい。

«課題図書を読む『なずず このっぺ』

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